【ためスモインタビューvol.2】ヨガで繋がる人と人、人と富山ーー山村麻梨さん
今回お話を聞くのは、都会での子育て生活を経て、富山へUターンされた山村麻梨さん。
育児を機に本格的に学び始めたヨガで独立され、現在は富山県内で多くのヨガイベントを開催されています。
富山で行うヨガの魅力は?
富山での子育ては?
県外での暮らしを経験したからこそ、富山の良さに気づけたと言う山村さんに、お話を伺いました。
◎精神的に落ち込んだ時に出会ったヨガ
24歳の時、ヨガを始めた山村さん
ーー山村さんがヨガを始めたきっかけを教えてください。
「家業を自分が継ぐんだろう」と漠然と思い、勉強のためにインテリア関係の会社に就職しました。しかし、いざ社会に出てみると、いろんな制約があることや、会社での人間関係に戸惑いを感じたんです。体調的にも精神的にも落ち込んでしまって。
そこでストレス発散のために24歳で始めたのがヨガでした。
ーー最初は会社に勤めながら、ヨガを始められたんですね。
最初の先生は「内面とのつながり」を大切にする人でした。ストレス”発散”のつもりだったけれど、内面を整えることで何かが変わっていくことに気づかされたんです。
ヨガを始めたことで、それまでストレスの根源と感じていた社会が、ものすごく居心地の良い場所に変わりました。気力も湧くし、体調もいいし、付き合う人も変わっていったんです。ヨガが、これがあればどんなことがおきても大丈夫、と思えるようなお守りのような存在に。
しかし、再び子育てで精神的にダウンしてしまったんですよね。つながりが分断されているような、自分の無力さを突きつけられているような気がして。子育てしていると、自分の心の動きに敏感になってしまうんですよね。
ーー「つながりの分断」とは、社会からの分断ということでしょうか。
そうですね。その時、旦那の転勤で知り合いのいない千葉県で子育てしていたのも理由だと思います。コミュニティに属していない場所での子育ては本当に大変。当時、虐待のニュースも多かったんですが、人ごとに思えなくて。本当に、子育ては一人でするもんじゃないです。
でもその「分断」って、自分の心が決めているはず。その気持ちの向き方を変える方法を知りたくて、ヨガを本格的に学ぶことにしました。マインドセットを変えて行かない限り、何か起きるたびに落ち込んでしまうと思ったので。
ーー周りを変えようとするのではなく、自分の内面を見つめ直されたのですね。ヨガの学びの中で、山村さんご自身が一番変わった学びは何でしたか。
ヨガの基本的な考え方である「非暴力」ですね。この言葉は、他者への暴力だけでなく、自己への暴力も含んでいるんです。自分に対しても暴力を振るわないということ。行動に関しても、本当に自分がやりたいからやっているのか、「こうあるべき」という社会の常識に合わせて無理しているのではないかと、自分に問うようになりました。
自分の本当の思いを大切にしてもいいんだと思えたことで、軸を自分に置くことができるようになりました。その結果、「無力な自分で当たり前」だと認めることができて、肩肘はらずに他人に頼れるようになり分断を感じなくなりました。
◎「小さな一歩」から始めた独立
ーーヨガをどのようにお仕事にされたんですか。
ヨガの養成講座を受けた頃から、小さいレッスンを始めました。
ーー新しいことを始めるって大変ですよね。すんなり挑戦できたんでしょうか。
いいえ。最初は独立することにものすごく抵抗がありました。最初のハードルは、小さな子供を置いて土日に外に出ること。そしてヨガのインストラクターとしては未経験、しかも社会人としてもブランクがある中で、「SNSなどでイベントの告知をする」「自分の名前を出して活動する」ということ自体に抵抗があって。当時は、人からの見られ方が気になってましたね。
そこを乗り越えられた時が一番自分の中では大きかったかな。
ーーどんな風にその葛藤を乗り越えられたのでしょうか。
母親だけが子育ての担い手ではなく、父親や祖父母も含めた家族全員が協力していくことで、子供が伸び伸びと育っていくという話を家族でしました。
すると、挑戦してみようという気持ちが湧いてきたんです。
自然の中で行うヨガイベントを多く実施している山村さん
ーー県内でのイベントを多く実施されていますが、どのようにして活動を広げられたのですか?
自分のアンテナにピンとくるところに足を運んで、価値観を共有できたり、一緒にいて楽しい人たちと仕事をしています。
「仕事の話をしよう」ではなく、人と人との温かいつながりの中で自然と仕事が生まれていくんですよね。
ーーどんなイベントをされることが多いですか?
月、太陽、山、海といった自然を感じるイベントや、音楽など文化的なこととのコラボレーション、生活と密接につながる「食」に関するイベントが多いです。いろんなこととのつながりの中にいる自分に改めて気づいてもらう機会にしたくて。
例えば、自給自足をしている農家の人と交流できるイベントにしたりとか。自給自足の生活をしている友人が身近にたくさんいるんです。
ーー富山でやるヨガの魅力はなんでしょうか。
富山県人にとって、「立山」とのつながりはものすごく大きいと思います。立山が近くにあるということ自体、財産ですよね。
私がやりたいことは、自然の力を借りながらありのままの自分とつながり、それを表現しながら生き、それをたくさんの方と共有する場を作りたい、ということなので、富山はぴったりの場所です。
ーー県外からの移住者が、コミュニティへ入りづらさ、社会からの分断を感じることって多いと思うんですが…。
確かに富山に限らず、どこにいても、人と人とのつながりって必要ですよね。富山を楽しんでもらうには、その地域の人たちとのつながりを持ち、土着の雰囲気を感じてもらう必要があると思います。
コミュニケーションツールの多くがデジタルになっているから、直接のコミュニケーションが苦手になっている人も多い気がするんですよね。だから、ヨガの場での交流を作り、心を開くお手伝いをしながら、地元の人と移住者の方をつなぐナビゲーター的な存在になれれば良いな、と思います。
◎富山での子育て
ーー富山での子育てと、千葉での子育て、どう違いますか?
子供がいると、車での移動がすごく楽。都会での買い物ってすごく大変ですよね。
そして富山には、「1時間だけ子供を見ていてほしい」と言える存在が近くにいるのがとてもありがたいです。子供が小さいと、トイレひとつする時間がないですもんね。外で子供が泣き喚くのが嫌で、千葉にいた頃はずっと家の中にいましたし。
人とのつながりができれば、富山での子育てはものすごく楽です。
人口が少ない分どこにいっても知り合いに会うので、その分交流が生まれやすいし、分断は感じづらいと思います。
ーー「地域が肌に合う」というのは、「その地域の人と合う」ということなのかもしれませんね。
県外から移住してきた方が疎外感を感じてしまうのは、一種の緊張感のようなものだと思うんです。ヨガを通じて、心の安定感を作れたらいいなと思います。
「シェアリング」が私のヨガのキーワードです。気持ちや、知恵や、情報をシェアリングしながら人と人とのつながりが生まれる場所をヨガを通じて作っていきたいですね。
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移住には「コミュニティに入っていけるか」という不安が伴うと思います。ヨガというツールを通じて、富山の自然の中で、富山の人たちとコミュニケーションをとってみませんか?
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