見出し画像

富山成長戦略会議とは。注目を浴びる富山の姿

9月はじめ、「プロの投資家が驚いた、いま「富山県」ですごいことが起きている」というネット記事が話題となりました。

「富山…どこだっけ?」「田舎の富山で何が起きているって?」と思いながら記事をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、この記事で取り上げられている「富山県成長戦略会議」についてご紹介することにしましょう。

◎立ち上げの経緯と目的

富山県成長戦略会議」は2021年2月に立ち上がりました。

人口減少・少子高齢化が進む中、現下の新型コロナによる厳しい経済情勢を乗り越え、新しい富山県の更なる発展に向けたビジョンや戦略を検討するために設置しました。(富山県庁HP より)

「プロの投資家が驚いた、いま「富山県」ですごいことが起きている」の記事でも指摘されている通り、「やることが目的」の会議が多い中で、本会議は実のある議論が交わされています。時には、富山に対して厳しい指摘も。

当然といえば当然なのですが、決められた原稿を読み上げるだけの会議って未だにたくさんありますよね…。

◎メンバーが…尖っている!

この会議の大きな特徴は、そのメンバー構成。富山にゆかりのある経営者や有識者が集い、喧々諤々議論を交わします。

高木新平さん(株式会社ニューピース代表取締役社長)

Visioning Company NEWPEACEの創業者である高木新平さんは富山県出身です。

1987年、富山県生まれ。2010年早稲田大学卒業後、博報堂に入社。企業ブランディングに携わった後、独立。2014年「多様性が爆発する社会」をビジョンに掲げ、NEWPEACEを創業、代表取締役CEOに就任。ブランディングの対となる新概念として「ビジョニング」を提唱。数十社のスタートアップのビジョン・ブランド開発を手掛け、これまで自動運転・シェアリングエコノミー・SDGs・人生100年時代などの社会ビジョンを仕掛けてきた。その中で、最大の社会課題は「孤独」と考え、現在自社にて様々なコミュニティビジネスを立ち上げ・展開中。(NEWPEACE HPより)

・土肥恵里奈さん(株式会社ママスキー代表)

「今のママが楽しむ姿で次の世代がママに憧れる社会を作る」ことをビジョンに掲げ、未就学児ママのための情報サイト「mamasky」の運営、親子向けイベントの企画・運営、ママの就労支援などを行っている株式会社ママスキーの創業者です。「mamasky」は富山のママの2人に1人が閲覧する情報サイトとなっています。

2005年4月から求人広告会社、2008年4月から地元フリーペーパー発行会社にて勤務。2010年に結婚し、翌年に出産。自身の出産経験がきっかけとなり、富山県の子育て世代に情報を届けるため2014年よりmamaskyを立ち上げる。2015年夏に退職し、mamaskyを事業化した。とやま未来起業塾12期 商業・サービス業コース修了。

・中村利江さん(株式会社出前館エグゼクティブアドバイザー)

日本最大級の宅配ポータルサイト「出前館」の代表を約20年にわたり務めた中村利江さんもメンバーに加わりました。(現在はエグゼクティブ・アドバイザー)

関西大学在学中、女子大生のモーニングコール事業を立ち上げ、学生起業家として活躍。 大学卒業後、株式会社リクルートに入社。 出産退職後、ほっかほっか亭本部の株式会社ハークスレイに入社、マーケティング責任者となる。 2001年日本最大級の宅配ポータルサイト「出前館」を運営する現・株式会社出前館のマーケティング担当役員として、同社の事業を構築。2002年同社代表取締役社長就任。2006年大証ヘラクレス(現ジャスダック)上場。 その後、CCC、オプト等複数の上場企業の取締役を経験。 2012年出前館の社長に復帰後、時価総額2000億円を超える企業に育てた。

・藤井宏一郎さん(マカイラ株式会社代表取締役CEO)

藤井宏一郎さんは「Advocacy for Changemakers」をミッションに、テクノロジー、カルチャー、ソーシャルの3領域のイノベーションの社会実装を目指す変革者たちを支援する、パブリックアフェアーズの専門ファームであるマカイラの創業者。

テクノロジー産業や非営利セクターを中心とした公共戦略コミュニケーションの専門家として、地域活性化から国際関係まで広くカバーする。科学技術庁・文化庁・文部科学省にて国際政策を中心に従事した後、PR 会社フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社にて企業や非営利団体のための政策提言・広報活動を行った。その後、Google 株式会社執行役員兼公共政策部長として同社の日本国内におけるインターネットをめぐる公共政策の提言・支援活動や東日本大震災の復興支援活動などを率いた。
(マカイラ株式会社HPより)

・藤野英人さん(レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長)

『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』の著者でもある藤野英人さんもメンバーのお一人。今回話題となった記事を書かれた方です。

野村投資顧問(現:野村アセットマネジメント)、ジャーディンフレミング(現:JPモルガン・アセット・マネジメント)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て、2003年レオス・キャピタルワークス創業。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持つ。「ひふみ投信」シリーズファンドマネージャー。投資啓発活動にも注力する。JPXアカデミーフェロー、東京理科大学上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師。一般社団法人投資信託協会理事。
(レオス・キャピタルワークス株式会社HPより引用)

・前田大介さん(前田薬品工業株式会社代表取締役社長)

前田大介さんはジェネリック医薬品の外用剤では売上高国内トップ5に入る医薬品メーカー前田薬品工業株式会社の3代目。不祥事がおきた2013年の翌年に社長を継ぎ、事業の立て直しを成し遂げV字回復。2020年3月には立山連峰を臨む富山県立山町の田園地帯に、美容と健康をテーマにした施設へルジアン・ウッド」をオープンして注目を集めています。

1979年富山県生まれ。富山高校卒。2008年に前田薬品株式会社入社し、2014年代表取締役社長就任。

・藻谷浩介さん(株式会社日本総合研究所主席研究員)

『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』の著者である藻谷浩介さんは、全国各地を実際に歩き、統計数字や地域特性を詳しく把握した上で、その都市のまちづくりの提言を行ってこられました。

(株)日本総合研究所 主席研究員。(株)日本政策投資銀行 地域企画部 特任顧問 (非常勤)。特定非営利活動法人 ComPus地域経営支援ネットワーク 理事長。山口県立徳山高校卒。東京大学法学部私法コース卒業。1994年コロンビア大学経営大学院卒業。
((株)日本総合研究所HPより一部抜粋)

安宅和人さん(慶應義塾大学環境情報学部教授、ヤフー株式会社 CSO)

『イシューからはじめよ』『シン・ニホン』の著者である安宅和人さんは、記事の中でも発言が多く取り上げられていました。富山県のご出身で、「富山を出た立場」から富山を客観的に見ておられます。

データサイエンティスト協会理事。東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程終了後、マッキンゼー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学。2001年春、学位取得(Ph.D.)。ポスドクを経て2001年末マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2008年よりヤフー。2012年7月よりCSO(現兼務)。全社横断的な戦略課題の解決、事業開発に加え、途中データ及び研究開発部門も統括。2016年春より慶応義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教える。2018年9月より現職。内閣府 人間中心のAI社会原則検討会議 構成員、官民研究開発投資拡大プログラム (PRISM) 運営委員、経団連 未来社会協創TF委員なども務める。(https://pixiedusttech.com/ より引用)

▶︎委員名簿はこちら
https://www.pref.toyama.jp/documents/16041/05iinmeibo.pdf

◎中間報告から見るこれからの富山

8月、中間報告がまとめられ、今後ワーキンググループがそれぞれの分野で活動していくことになります。

① 真の幸せ(ウェルビーイング)戦略WG
② まちづくり戦略WG
③ ブランディング戦略WG
④ 新産業戦略WG
⑤ スタートアップ支援戦略WG
⑥ 県庁オープン化戦略WG

これからの県庁の役割は「資金配分・管理」から「協働・支援」へ。「流出を止める」ではなく「出入りを活性化」し、富山をサンゴ礁的なハッカブルな空間へ。そして日本一ではなく世界のトップ水準を目指していく

こう言った前向きな議論が交わされました。次は実行のフェーズへと移っていくことになります。大事なのは提言が確実に実行にうつされ、結果が出ること。これからに注目が集まります。

◎YouTube配信も

この会議は富山県のYouTubeでライブ配信されています。これだけオープンに、厳しい意見も含めて発信されるのは珍しいことではないでしょうか。政治がより身近に、自分ごとに感じられます。

中間報告がなされた7月の回でも、委員の方々から忖度や遠慮のない、本気の意見が交わされていました。興味のある方はぜひ一度ご覧になってみてください。

***

「新しい富山」を感じられた、富山成長戦略会議。もしこの新しい富山に興味を持ったら、一度、富山の地を訪れてみてください。

ためスモは皆さんの来富を心からお待ちしております。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?