【1万字越え】成果が出ない時に読むnote
弊社に転職してから約10年の月日が流れました。その間、ずっと同じポジションではなく、7つの異なるポジションを経験してきました。長くても3年間、短い時で約半年間といった非連続なキャリアを歩んで来ました。
勿論、全てが順風満帆だった訳では無く、沢山の失敗や挫折を繰り返して来ました。その経験を通して、自分なりに構築してきた成果を出す為のプロセスは再現性が高く、誰にでも応用が可能かと思い、今回ドキュメント化してみました。
「成果を出す」とは
まず、「成果を出す」とは何か?私はこれを下記の通りに定義しています。
「そのポジションで期待される通常のアウトプット(いわゆるBAU=Business as usual)に加えて、期待以上の良い結果を出す事(EE=Exceed expectation)」
ここで重要なのは、①BAUを出しつつ、②EEも出す事です。たまに①をおざなりにして②ばかりを追い求める人がいますが、それは本人以外の周りの同僚に迷惑が掛かりますし、企業にとっても望ましい状態ではありません。
また、一口に成果を出すといっても、その時期によって期待値も異なると思っています。下記はそれをPhase毎に切り分けた図になります。これに沿って説明していきます。
Phase1 : On-bording to 3 months
新入社員や異動した直後、または転職したばかりのタイミングから約3カ月の期間をこのPhase1としています。この時期は右も左も分からないため「自分は本当に役に立てているのだろうか?」と不安になると思います。その気持ちを払拭しつつ、成果を出す為にすべき事は何かを考えました。
BAUを浮き彫りにする
【質問】
皆さんが新しいポジションへ異動後、すぐに実施するアクションは何でしょうか?
成果を出す為に、早く仕事を覚える事でしょうか?それとも、何か今までに無いような新しいアイディアを考える事でしょうか?これまでのご自身の経験を是非振り返ってみて下さい。
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私が異動した先で、真っ先に取り掛かるのが「引き継ぎ書」の作成です。
かなり突拍子もない事に思えるかも知れませんが、これにはメリットが4つあります。
①BAUの全体像を把握出来る
②週次・月次のスケジュール感を把握出来る
③本来取り組むべきイシューを把握出来る
④それ自体が「成果」となる
「引き継ぎ書」は、例えばExcelのシート毎に各アウトプットの目的や期日、その作成方法等を誰が見ても分かるように記録します。もし、自分が異動してきた時に「コレを渡されたら、独りで作業が始められる」というのが理想的な完成度です。
一度作成したら終わりではなく、自分がそのポジションにいる間に変更があった場合は随時、更新していく必要があります。なぜなら、その記載された内容が古くなった時点で、価値が無くなってしまうからです。
「引き継ぎ書」を作成する4つのメリット
①BAUの全体像を把握出来る
通常、引き継ぎ書が存在する職場であれば、異動した初日や数日はそれを読み込み、分からない事があれば都度、前任者や上司へ確認する事で自身のポジションですべき業務の全体像を把握出来ると思います。
ただ、私が転職した企業では異動した当初に受けるインダクションと呼ばれる部門紹介や業務説明等のみで引き継ぎ書と呼ばれるものは皆無。前任者は転職しているか別部署に異動している為、十分な引き継ぎは受けられないという環境が普通でした。そのため、慣れないうちは期限内に提出すべきアウトプットが漏れたり、理解が乏しい為にうまくいかない事が往々にしてありました。
これには当時の自分にも非がありました。それは「無知な自分は当然、教えてもらえる立場にいる」と思っていた事です。分からない事が出てきても都度、教えてもらえば良いという甘えだったと思います。
業務説明等を受けた時に、誰しもが聞かれる「これまでの説明で、何か分からない事がありますか?」という質問があると思います。それに対して、多くの方が「(現状、何が分からないのか分からないが、これまでの説明内容については理解しているつもりなので)大丈夫です」と回答した事があると思います。
ただ、このような機会は大変貴重です。誰にとっても有限な時間を割いて、説明してもらえる機会は異動した当初以外ほとんどない。いや、今後無いと理解して下さい。そう理解した私は「この初めて聞く業務を自分が別の人へ引き継ぐとしたら?」という想定で、引き継ぎ書を作成しながらメモを取るように姿勢を改めました。
基本的には、その業務毎に5W1Hの項目を埋めていくように準備をしてインダクションへ臨みました。
そうすることで、下記の様な質問が自然と出てくるようになりました。
- そもそも、この業務を実施する本来の目的は?
- 必要な情報は誰から、いつ共有されるのか?
- いつまでに提出する必要があるのか?
5W1Hの質問をする事で、説明された内容だけでは不明瞭な部分が明らかになっていきます。その上で、業務説明をした人も分からない点は、自分が確認すべきタスクだと認識する事も出来るでしょう。
「引き継ぎ書」のコンテンツとして、BAUを可能な限り正確に記録する事で、自ずとその全体像も把握する事が出来るようになります。
②週次・月次のスケジュール感を把握出来る
いつ何のアウトプットを提出しなければいけないのか把握出来ていない状態は、誰にとっても好ましくないと思います。それを解消するためにも、上記で作成した「引き継ぎ書」は役立ちます。
「引き継ぎ書」の構成要素として、各アウトプットはいつ迄に提出しなければいけないのか期限を定義しています。それを活用して、私は週次・月次のスケジュールに当てはめて、何曜日に何をすべきかExcelで管理しています。週次・月次のすべきアウトプットを自動でカレンダーに反映させる為に関数を入れて、その上で曜日周りや祝日に応じた微調整を入れて運用しています。
そのメリットは仕事の抜け漏れを防ぐだけでなく、自分のスケジュールの何処に「余白」があるのか把握する事が出来ます。
この「余白」を見つける事が重要です。
かつての自分がそうだったのですが、BAUの業務は何も考えずにこなしていると、一週間はあっという間に過ぎてしまいます。自分なりにがむしゃらに取り組んでいても、上司からしてみると期待通りなので、評価としては当然ですが普通。全然報われないと嘆いていました。
では、そのような状態から脱する為に何が必要なのかというと「期待以上の良い結果を出す事」です。
そのためにも、自分のリソース全てをBAUへ注いでいては当然、時間が足りなくなってしまう為、しっかりと自分自身のスケジュールを明確にして「余白」が何処にあるのか把握しましょう。
③本来取り組むべきイシューを把握出来る
BAUの全体像が把握出来ると、自ずと自分の仕事が1つ上のレイヤーまたは部署全体、ひいては企業全体でどのような役割を担っているのか理解出来ると思います。
例えば、あなたが消費財メーカーで某エリアの中小規模の店舗を担当するセールスだった場合、その至上命題としては自身のKPI達成になるかと思います。ただ、一旦その視点をセールスに関わる部署全体まで引いてみると、どう変わるでしょうか?
各部署それぞれに売上目標はあるものの、最終的には企業全体の売上最大化が本来取り組むべきイシューとなります。
勿論1人のセールスとして、各々が自身のKPIを達成する事はその企業の売上最大化へ寄与する事が出来ます。ただ、大勢のセールスがいる中で自分だけが目標に対して100%以上の達成をしても、その貢献度は微々たるものです。
つまり、上記の例を言い換えると、自身のKPI達成は「BAU」であり、企業全体の売上最大化に貢献する事が「期待以上の良い結果を出す事」となります。
そのため、日々を自身のKPIだけに盲目的に取り組むのではなく、一度視座を高くして企業として目指すゴールから逆算して、自分が貢献出来る最も大きなイシューを把握しましょう。
④それ自体が「成果」となる
これまで、成果を出すとは「そのポジションで期待される通常のアウトプットに加えて、期待以上の良い結果を出す事」と定義してきましたが、実はこの「引き継ぎ書」自体も成果と成り得ます。
私の所属している会社では、これまで説明してきた様な引き継ぎ書が無く、あったとして数年前に更新が終わっていて、リンクが切れてしまったようなものしか存在しません。
そのような会社において、この生きた引き継ぎ書は非常に重宝がられます。
よく外資系企業では、自身のポジションを守るために秘伝のタレと揶揄されるようなExcelファイルを作成したり、それをPCの共有フォルダではなく自身のデスクトップにのみ保存している場合があります。
注:冗談でも都市伝説でもなく本当の話です。
そういった属人的な仕事を排除し、誰にでも分かり易い「引き継ぎ書」という形で記録していく事は、新入社員へのトレーニングにかかる既存社員の負担を減らす事が出来るため、企業にとっては見えないコストが減り、本来取り組むべきイシューへの未来のリソースを確保出来るという点で、「成果」と評価されるべきものです。
実際、今の部署では四半期に一人は新人が入ってくるので、こういったものがあるだけで新人が自律して学習する事が出来、自分の時間を確保出来ます。異動してすぐは存在していなかったので、毎度同じ内容を説明するのが大変でした。
私が引き継ぎを受けた時は、8種類のアウトプットに対して1種類のみ手順書があっただけで、あとは一子相伝の如く前任者から口伝で教えてもらいました…
それらを口伝のままにせず、ドキュメント化してチームへ共有したところ、大変喜ばれたのを覚えています。マネージャーから別のメンバーへ、同じ様に自分のタスクを言語化しておけよという指示が出ていました。
注:ただし、既にそのような「引き継ぎ書」を常時運用している企業にとっては「成果」とはならないのであしからず。
Phase1 まとめ
Phase1で成果を出す為にすべき事は、自分のBAUを誰よりも理解し、「引き継ぎ書」という形でドキュメント化する。その作成を通して、そのポジションで求められる役割やその上のレイヤー、企業全体のイシューを把握する事です。
そうすることで、影響範囲は自分自身に留まりますが、「引き継ぎ書」というアウトプットが将来、自分の後任やチームの未来のリソースを確保する事に繋がります。
Phase2 : By 6 months
Phase2は、新しいポジションに来てから、一通りのBAUを経験して慣れてきた頃だと思います。ここで安心して手を抜かず、しっかりと成果を出す為にすべき事は何かを考えましょう。
期待以上の良い結果を出す事
Phase1の期間で、本来取り組むべきイシューの大枠が把握出来たかと思います。ここからはそのイシューに対して、どのように解決していくかにフォーカスしていきたいと思います。
改めて、説明すると「成果を出す」=「そのポジションで期待される通常のアウトプットに加えて、期待以上の良い結果を出す事」と定義すると、この本来取り組むべきイシューの解決に貢献する事が「期待以上の良い結果を出す事」に直結します。
イシューを解決する方法
本来取り組むべきイシューを特定する事自体は、そこまで難しいものでは無いと思います。この「期待以上の良い結果を出す事」で1番難しい事は、特定したイシューをどう解決していくかだと思います。
イシューを解決する方法は、自分のやり方がベストだと思っていませんし、他にあれば是非教えて欲しいと思いつつ、自分なりの方法を説明させて頂きます。
具体的には、下記のステップで進めています。
①本来取り組むべきイシューとBAUの間にある共通点を具体と抽象を行き来しながら、何処で最大のインパクトが出せそうかを探る
②最大のインパクトを出すために素早く、小さく、泥臭く試行錯誤を繰り返す
①本来取り組むべきイシューとBAUの間にある共通点を具体と抽象を行き来しながら、何処で最大のインパクトが出せそうかを探る
上述の消費財メーカーで某エリアの中小規模の店舗を担当するセールスだったとして考えてみましょう。
下記の図で言えば、あなたのBAUは自身の担当エリアのKPI達成です。そして、本来取り組むべきイシューはその上のレイヤーの売上最大化に貢献する事とします。そうすると東京支店、東日本エリア、セールス本部と幾つかのレイヤーと北日本エリア、西日本エリア、またはEC等の別のセールスに関する部署もあると思います。
この中で、自分の担当エリアでのKPIの達成(=BAU)を実現する事と各レイヤーとの共通点を探ります。
一般的に、達成すべきKPIには下記の様なものがあると思います。
A. 同月比に対して今期105%以上の売上達成
B. 新製品の取り扱い店舗数の90%以上の達成
C. 陳列棚の自社占有率20%以上の達成
これらの抽象度を上げていくと今期の売上最大化であったり、新製品の取り扱い店舗数の最大化、陳列棚の占有率の最大化となっていきます。この中で、何処が最も売上最大化に寄与するか考えましょう。
前提となる業界や企業で正解は異なるかもしれませんが、上記の中ではC. 陳列棚の占有率の最大化です。陳列棚の占有率を上げる事は、今期だけでなく将来の売上の最大化へ繋がり、新製品の取り扱い店舗数の最大化も、陳列棚に余裕があれば満たされる可能性が高くなります。
このように、自身へ課されているKPIの中から、上のレイヤーへ視点を広げる事で、何のKPIが最もインパクトが出せるのかという気付きを得る事が出来ると思います。最初は難しく感じるかも知れませんが、なぜ?を繰り返すと前段のような企業や部署がKPIを設定した意図も読み取れるかと思います。
反対に、本来取り組むべきイシューから自分が貢献出来るエリアまで逆算する方法もあります。例えば、コストの最小化を目指すのであれば、そのRoute causeは何なのかに思考を巡らせる事で、インパクトを最大化出来る分野を特定出来ると思います。
例えば、サプライチェーンとして昨年発生したコストを今年は最小化したいと考えた場合、最も大きな割合を占めるコストの種類は何だったのか?それはなぜ発生したのか?今年も発生し得るのか?といった問いの中に、そもそも所属する部署ではなく、関連する他部署からのインプットの精度が低い事が大きな原因なのであれば、上司や他部署も巻き込んでその変数を動かす事へリソースを集中すべきと気付くはずです。
②最大のインパクトを出すために素早く、小さく、泥臭く試行錯誤を繰り返す
試行錯誤を分解すると、「仮説」と「実行」と「記録」と「振り返り」になると思います。
「仮説」
まずアクションを起こす前に、必ず自分なりの仮説を立てましょう。大雑把な仮説よりも、出来るだけ具体的で小さな仮説が理想的です。あらかじめ言語化しておく事で、あとの振り返りが容易になります。また、仮説を立てる癖がつくと、次に同じような状況に直面した際に以前の出来事との共通点に気づき易くなります。
「実行」
仮説に基づいて、目標を達成する為にあらゆる手段を泥臭くトライ&エラーをしていきましょう。
「記録」
アクションの始まりと結果を具体的な数値で記録しましょう。可能であれば、その過程も残しておく方がベターです。人間の記憶力は曖昧なので、定量的な数値だけでなく、仮説や打った施策等の定量的な情報も記録しましょう。
「振り返り」
一連のアクションの結果、見込んだ結果を得られなかった場合は次に素早く移行しましょう。ただし、その過程で得た知見等で有用なものはしっかりと言語化しておきましょう。
ここでお伝えしたいのは、これまで誰もやった事が無いような飛び道具を発明する必要はありません。
- 誰かが過去にやった成功事例の横展開
- 自分のこれまでの経験から導き出した効率的な方法の応用
- 皆んながアクセス出来るデータから自分なりに分析した結果、見つけた気付きといったものを共有
上記の中で、特に「記録」と「振り返り」は多くの方が出来ていません。あなたも職務経歴書を書いている時に「あれ?あの時って、幾ら位の結果が出たんだっけ?」「いつからいつまでやったんだっけ?」という事が多々あると思います。次のアクションに繋げる為にも、必ず記録と振り返りというアクションを継続して下さい。
Phase2 まとめ
Phase2で成果を出す為にすべき事は、まず第一にKPIの達成に目途をつける事です。または、残りの期間でKPIを達成する為にすべき事がクリアになっているのが理想です。この過程で、自分なりの試行錯誤を繰り返し、その記録と振り返りを徹底して行いましょう。
その影響範囲は、自身のKPIの達成を見込めるという点でチームへと拡大します。この時点で、新人というラベルは自然と無くなっているでしょう。
Phase3 : By 1 year
Phase3は、同じポジションで1年が経過して、新人としてではなくメンバーの一人として業績評価が行われるタイミングです。その前に6カ月を経過した辺りから、成果を出す事にフォーカスしていきましょう。
成果を自分以外の人でも、再現出来るような形で共有する
Phase3の試行錯誤する中で、本来取り組むべきイシューに貢献出来るアクションが幾つか出せたかと思います。
ただし、このままでは「お、今回はKPIに対してよく頑張ったな」という評価に留まる可能性が高いです。そこから脱する為の最後のステップとして「成功事例の共有」をしましょう。
「成功事例の共有」としては、①前提条件、②成功事例の選定、③共有方法に分けて説明します。
①前提条件
このPhase3で最も重要な事は、KPIの達成率が上位10%以上という圧倒的な成果を出している事。またはその可能性が高い事です。
成功事例という言葉の通り、成功している人が共有する事が重要であり、そうでない人が共有しても、その内容次第ですが、基本的には説得力に欠けるものとなってしまうでしょう。
そうならない為に、Phase2で試行錯誤を繰り返し、自分のKPIの達成確度を高めておきましょう。
②成功事例の選定
成功事例と一口に言っても様々なケースがあると思いますが、大前提として「貢献度のインパクトが大きい」「再現性が高い」ものである必要があります。これが満たしている成功事例は、企業全体にとってメリットのあるものです。
「貢献度のインパクトが大きい」というのは、本来取り組むべきイシューの根源に可能限り近い、1丁目1番地の大通りに貢献出来るものが良いでしょう。自分で工夫した事が自身のエリアでは、ホームランと呼べる程の効果が出なかった事でも、それがセールス全体に波及すれば、インパクトが大きくなるかも知れないと考えてみて下さい。
反対に、自身のエリアでホームラン級の効果が出たとしても、それがユニークな前提条件が必要であった場合、それは「再現性が高い」とは言えません。そうなると、途端に成功事例としての価値が薄まります。
自分よりも上のレイヤーの人にとって、ボトムアップで彼等が伝えたい事を積極的にシェアしてくれる人の存在は大変貴重であり、高く評価されます。
例えば、あなたが10人の部下を持つセールスマネージャーの立場だとしましょう。
AさんというKPI達成率はいつも上位の成果を出すが、その方法は言語化されておらず、同じチーム内で自分の仕事の進め方等を教えるような事はしない方。一方でBさんというKPI達成率に波はあるものの、自分の業務を通じて見つけた気付きや効率的な仕事の進め方について、頻繁にメールや資料にまとめて共有している方がいるとした場合、どちらの存在がありがたいでしょうか?
Aさんが幾ら優秀な方であっても、その他の同僚がうまくパフォーマンスを上げられない状態はチームにとって望ましくないと思います。それよりも、Bさんが小さな成功事例を頻繁に共有してくれる事でチーム全体のパフォーマンスを底上げしてくれる方が歓迎されるでしょう。
自分よりも上のレイヤーの人が直接指示した施策は、トップダウンのため全員が実行するかも知れません。しかし、その実行する事自体に注力するあまり、柔軟性を欠いた画一的な施策となり、散々な結果となってしまったというのは誰しもが経験した事があると思います。そうなってしまっては元の木阿弥。
反対に、ボトムアップで同僚から上がってきた成功事例は、参考にしつつも猿マネと言われない様に各自でアレンジを加えたり、もっと良い方法を編み出してくるといった展開も多く見受けられました。それはお互いが切磋琢磨し合う理想的な形であり、これを期待する上司は「何か成功事例は無いか?」とよく聞いてくるものです。
③共有方法
共有する成功事例を決めたら、それを他者へすぐに共有したいのですが、自分の実施したアクションと結果だけでは単なる自慢話となってしまいます。
そうならないために、成功事例の共有資料の中に必ず下記のコンテンツを含めましょう。
1. 実施した背景 (どんな課題があって、何を実現する為に実施したのか)
2. 実施した結果 (実施前、実施後の定量的な情報)
3. 型化された再現性のある方法 (前提条件、提案資料の共有)
それらを網羅したパワーポイントやエクセルを可能な限り、少ない枚数(理想的には1枚ペラ)でまとめましょう。
それを最初は直属の上司へ共有。チームまたは部署全体へ共有したい旨を提案しましょう。その内容やインパクト次第ですが、それを共有する場が欲しい事も合わせて相談しましょう。理想的には、部門全体が参加する場でのプレゼンが良いですが、リモート会議での共有でも良いでしょう。次点としては、同じチーム内のみでの共有する機会。またはメールへのパワーポイントの添付による共有等でしょうか。
どのような形であれ、自分自身で試行錯誤の末、大きな成果を出し、その方法を出し惜しみする事無く、再現性のある形で他者へ共有しようとする事は非常に評価される行為です。
そして、その行動は同僚や上司、ひいては部門長や他部署にも知れ渡る可能性があり、あなたのPresenseを高めてくれます。それは今後の大きな機会を運んでくれるかも知れません。そのため一度、成功事例を共有したのに反響が無かったからと諦めずに、継続していきましょう。
Phase3 まとめ
Phase3で成果を出す為にすべき事は、まずはKPIの圧倒的な達成。それなくしては、期待する効果を得られません。何を言うかよりも誰が言うかが大事です。ただし、成果が思うように出せない中で、見つけた成功事例があれば共有しましょう。
その影響範囲は、チームを飛び越え、部署全体や他部署へ拡大する可能性が高く、一般的に「最近、アイツは成果を出している」と周りから言われるような状況にあるでしょう。
Phase4 : 1 year onwards
Phase4は、部署内での評価をある程度得て、その言動に一定の信頼感が醸成されてくる状態かと思います。その上で、今後取り組むべき事は、企業全体へ大きく貢献するイシューへの挑戦です。
企業全体に貢献出来る大きなイシューの特定
Phase3の成功事例の共有という取り組みは、自分と同じRoleの人が複数いる場合、非常に効果的な手法です。
例)セールス、セールスマネージャー等
ただ、反対に同じようなRoleが自分と上司しかおらず、成功事例の横展開のleverageが効かない場合もあると思います。後者の場合、Phase3はスキップしてPhase4の企業全体への貢献する活動に取り組む必要があります。
Phase3までは、自身のKPIを起点として延長線上で把握し得るイシューが主な貢献範囲だったかと思います。具体的には、自身の上のレイヤーと所属している部門がそれに該当したかと思います。
Phase4は、その影響範囲を更に抽象化して、企業全体まで俯瞰した時に自身が起こすべきアクションを具体化していく必要があります。そのイシューを特定する方法は様々ありますが、分かり易い例を挙げると・・・
「この施策によって達成出来る目的って、インパクト小さいよな・・・」
「あの部署がこうすれば、もっと柔軟な対応が出来るのにな~」
「そもそも、この新製品を発売して効果あるのかな?それよりも、もっと既存品のサポートを継続した方が良いんじゃないか?」
約1年間も同じ業務にあたっていると、上記のような気付きや疑問、不満等が出てくると思います。それこそが、本来取り組むべきイシューであり、言い換えるならば・・・
「今、存在する全ての制約・制限を排除し、本来あるべき理想から逆算して、それを実現する為に必要なアクションを考える事」です。
そうする事で、自ずと理想を達成する為にすべきアクションが明確になると思います。その過程には、他部署のこれまでの慣習を変えてもらうよう働きかける事や、自分の部署内でも大きな変化を伴う場合もあるかと思います。ただ、企業を1つの大きなチームと捉えれば必要な変化であり、それを推進する事こそが大きな貢献へ繋がります。
How To Exceed Expectation
では、企業全体へ大きく貢献出来るイシューへ、具体的にどのように挑戦するのか?
答えはシンプルで「自分よりも上のレイヤーの仕事を奪う事」です。
上記のように、自分よりも上のレイヤーの仕事は自身のBAUよりも、影響範囲がより広く、よりインパクトが大きくなっていきます。すなわち、それを奪う事はExceed Expectationの状態と言えるでしょう。
ここで奪うべき仕事は、上司が現在取り組んでいる仕事そのものを奪う事ともう1つの意味があります。
本来、上のレイヤーの上司や部門長のポジションが取り組むべき領域において、まだ手を付けられていない空白地帯に対して、自身のポジションからの気付き等を基に、まだ存在していないアプローチ方法を提案。その仕事を自身がオーナーシップを持って推進して行くのが理想的です。
この段階に至ると、業界や職種、現在の職位等の様々な変数の組み合わせとなる為、抽象度の高い説明しか出来ないのが正直な所です。
私の具体的な事例
セールスマネージャーとして、ある低価格帯の新製品の導入直後、自身の担当エリアでの売れ行きが全国平均以上である事が判明。当初、取得可能なデータ分析から特定の都道府県でのパフォーマンスが良いという事実は分かったが、正確な理由は不明でした。その理由を探る為に、自身のチームメンバーや他の都道府県のマネージャーへ連絡を取ったり、各取引先の営業所長や店舗責任者へヒアリングを実施。その中で、某チェーン店の未出店エリアでのパフォーマンスが著しく良い事が共通点として挙がった。
某チェーン店では、本部主導で他社の低価格帯の製品を全店での取り扱いを推進していた事実も判明。その結果、そのエリアで低価格帯製品への消費者の認知度が高かったと推測。その反面、未出店エリアにおいて、今回の弊社の新製品は市場で初めて発売された低価格帯製品として扱われ、消費者の購買意欲を強く刺激したという仮説を導いた。
市場の空白地帯へ投入された製品を全国の施策同様、一時の売り込みで終わらせず、先駆者として価格訴求を継続的に行う事で、消費者の認知度を一気に高めていく必要性を強く感じた。そのため、全国の施策と並行して低価格製品の認知度を高める為の施策を独自に考え、本部担当者や取引先の営業所長へ事前に許可を得て、各店舗責任者の合意の元、自身のエリア全体で約半年間継続して実施した。結果、昨年対比のSOM伸び率が全国2位という実績に繋がった。
その施策内容や背景、その期待される効果を資料にまとめ、同様に某チェーン店が出店していない都道府県にもSOMを伸ばす機会がある事も合わせて上司へ共有した。本来であれば、自分の上のレイヤーがその機会や原因の特定、施策の立案や企業間での交渉等を段取りして実施すべきですが、自身の気付きからスピード感を持って、現場で出来る最善と思われる施策をチームで進める事が出来たと思います。
Phase4 まとめ
Phase4で成果を出す為にすべき事は、自身のBAUからの単純な延長線上の目標からではなく、企業全体としての理想から逆算する必要があります。それは「他部署が〇〇だから実現出来ない」といった制限を無視して、本来こうあるべきというゴールから着想する事です。
それを推進する過程で、自身よりも目上の他部署の人を動かさなければいけないのであれば、自身も上のレイヤーの人を巻き込んで、彼等の力も借りて進めていく必要があるでしょう。それこそ影響範囲は企業全体となり、大きな成果へと繋がるでしょう。
最後に
このnoteが何処かで成果を出せずに悩んでいる、かつての自分のような誰かの役に立てれば幸いです。ご意見やご感想、個別に聞きたい事があれば、お気軽にTwitterでリツイートやDMでお知らせ下さい。
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