「寝ても、覚めても」:人生、不安定。
第一印象は、現実味のないマンガの世界の恋愛物語。
だけど、友人がこの映画の良さを熱く語ってくれて、監督やプロデューサーのインタビューなどもみて、後から見方が変わりました。
「寝ても覚めても」にまつわる論考等々を熟読した友人によれば、映画は東日本大震災の描写を盛り込み、ただの恋愛物語ではなく、人間やこの世界に普遍的な“不安定さ”を表現しているとのこと。
そういう視点から振り返ると、たしかにいろんな伏線が散りばめられていたように思います。
映画の本筋とは関係ないのですが、何だかんだ、私の脳裏にもっとも焼き付いているのは、主人公ふたりの友人だった岡崎がALSになった姿でした。
映画の中とはいえ、誰にでも起こりうるその変化がすごくリアルに感じられてショックだったのです。
あんなに元気でおちゃらけていた岡崎が、年齢や見た目は大して変わらないのに、話すことも動くことも、反応すらできなくなってしまった。
主人公ふたりの恋愛自体もそうですが、人の人生も人間関係も一瞬にして変わってしまうという現実を目の当たりにしました。
* * *
以下は余談。
①この作品のなかで東出昌大は一人二役を演じているのですが、まったく別人のオーラを出せる演技力に感嘆。声音から雰囲気まで本当に別人みたいでした。麦は怖くて、「あれ、こんなんだったけ……?」と少しびっくりし、その後に出てきた亮平は安心感がある人でした。役者に対して持っている印象が物語を純粋にみることを邪魔をしているとも言えますが。
②noteを書く前に東出昌大や唐田えりか、濱口竜介監督のインタビュー記事をみたのですが、東出昌大の顔が綺麗すぎてこれにも感嘆。
こんな綺麗な顔の人はなかなかいないのでは、というほどの美形男子なのだと知りました。
③そして唐田えりかはまだ20歳という若さでした……
④監督はかなりアカデミックな人らしい。映画館に貼ってあったインタビュー記事をみていてもそのストイックさが伝わってきました。
濱口竜介監督は、1978年生まれ。東京大学文学部在学中は映画研究会に所属。2006年に東京藝術大学大学院映像研究科に入学。大学院の修了制作である「PASSION」が、いきなり海外のサン・セバスチャン国際映画祭に出品され高い評価を得る。その後、東日本大震災を題材としたドキュメンタリー「なみのおと」「なみのこえ」を発表(酒井耕との共同監督)。
花を買って生活に彩りを…