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目に見えないものを表現すること

サイバーエージェントのコーポレートブランディングの裏側についてのはなしを読んで、おもしろいなあと思った。私はこういうの好きなんだなあ、と。

だけど、「こういうの」ってなんだろう?
という疑問が生まれたので、今まで考えていたこと、感じていたことも踏まえて、自分は何をおもしろいと感じているのか考えてみた。

確認できたことは、まだ明確になっていない想いや思考などが、これだ!としっくりいくかたちになるときに、私の心が喜んでいるということ。

このときの喜びは、先日noteに書いたお気に入りの服を見つけたときの喜びと似ている気がする。あとは、自分がなんとなく思っていたことが言語化できたときの感じ。つまり、「あ、これnoteに書かなきゃ!」と思うときだ。

そして、これをチームでやるときには、そこに至るまでのプロセスにもおもしろさがある。

以前に、ワールドカフェの問いを4人の大切なメンバーで真剣に話し合ったことがある。高円寺の落ち着くレトロな喫茶店で何時間もかけて、自分たちにとって大切な問いを探究した時間は、私にとってかけがえのない贅沢な時間だった。

このコーポレートブランディングの話もそうだけど、そんなふうに、個々人の持つ想いや哲学を、コンセプトや問いに落とし込んでいく時間が尊い。

チームでおこなうことは、根気がいるし、時間がかかればイライラしたり、ピリピリした雰囲気になることもある。

それでも、お互いが目的を共有しながら、納得いくものを目指して、妥協なく、そのときに感じていることを大事にして、ぴったりとはまるものを探す過程はワクワクする。人によって感じていることや考え方、その人の持つ経験が異なるからこそ、それらがぶつかって、新しいものを生み出せたときは純粋に嬉しいし、達成感も大きい。

表現方法は、言葉でも、絵でも、映像でもなんでもいいのだけど、何かのかたちにすることが大事だと思う。その過程で微妙なズレが明確になり、こだわりがぶつかり合う。そして、コンセプトや問いがブラッシュアップされていく。

チームメンバーそれぞれの役割を発揮して、喧々諤々の議論をして、自分ひとりじゃ生まれないものを生み出すのは、美しい人間の営みだと思う。

サイバーエージェントのコーポレートサイトづくりには、こうした要素が詰まっていたと感じた。抽象と具体を行き来するプロセスが描かれている。

ブランドを1人の人間に例えたらどんな人物像なのか」というところです。そういう話を共有していきますと、曖昧なものがだんだん言語化されていって、だんだんと共有できていくことになっていくんです。ここまで来たら今度は「じゃあ実際にどんな人物なの」というのを、みんながわかる有名な方をピックアップして、ここも喧々諤々だったんです(笑)。ここも今1回目って、3回目ぐらいまで行っています。 ーー 僕と一緒にブランディングをやっているクリエイティブディレクターも一緒に、代官山蔦屋に行ってサイバーエージェントっぽい本をみんなで2時間で持ち寄って、1人ずつプレゼンするということをやりました。安成 それは、本の中身だけではなくて、ビジュアルもですか。佐藤 外見もですね。僕が持っていったのは、ガラス張りのケースに入っていて、上に印刷がされていて、中を開けるとまた別の単語が印刷されていて、レイヤーがきれいな本でした。買うと2万円、3万円する本です。 ーー 水野 いよいよ3回目です。見ていただくとわかるとおり、よりシンプルになってきて、削ぎ落とされてきています。このあたりの議論を思い出すと、ムダなもの・取れるものはとにかく全部取っていくというかたちで、「サイバーエージェントらしくないものは1つも残さない」というところまで来ていたかなと思います。 ーー 水野 先ほど、ブランドパーソナリティを作っていたと思うんですけれども、今度はブランドパーソナリティをサイトのパーソナリティに落とし込んでいくのが弊社独自のやり方なんです。ブランドを人に例えるのと同じように、Webサイトも人に例えたらどのような構造になるのかというところです。 ーー 見ていただくと、「サイバーエージェントってこういう会社なんだな」というのが、ひと目でわかるコンテンツになっているんですね。そこを見るだけでも、採用で興味を持っていただいている方がわかりやすいという部分もあります。投資家の方からは、ESGという項目を重視して投資されている方も増えてきていますので、会社の持続性は今後も重視されていると思います。それを全面に打ち出していこうという意味で、徐々に採用や投資にもつながってきている実感があります。 ーー水野 繰り返しになりますが、やっていることはWebサイトを作っているというより、アイデンティティデザインと呼んでいるんですけれども、企業やブランドのアイデンティティを模索していく作業をしているんです。その重要性を一番お伝えしたくて、そこをやることはまったく無駄にならないですし、サイトを作るプロセスの中でそれができるという(笑)。その部分を考えておくと、この先に何を作られるときでも、ブレない制作をすることができると思います。外から見ると「すごくいいな」「この企業のこういう考えがすてきだな」と思うところがたくさんあって、内部の方はそこに気付かれていないパターンもあるので、ぜひ外部の力も求めていただきながら(笑)、自分たちらしさを見出していただけたらなと思います。

自分の好きなことを探究中ということで、気づいたことを言葉にしてみた。

まとめると、かたちになっていないものをチームで納得いくかたちに落とし込むプロセスおよび、納得いくかたちになった瞬間が好き。かつ、私は良いチームでそれをやるときにこそ、よりよいものが生み出されると信じているし、より大きな達成感が生まれると思う。


花を買って生活に彩りを…