八方美人てなんだろう

自分のことを表すなら、昔から「八方美人」だと思っていた。マイナスイメージの言葉だが、意味を調べてみると、やっぱりこういうことらしい。

八方美人の解説 - 三省堂 新明解四字熟語辞典
はっぽう-びじん【八方美人】
だれに対しても、如才じょさいなく振る舞うこと。また、そのような人。どこから見ても欠点のない美人の意から。▽「八方」はあらゆる方向。この言葉は、悪い意味で用いられることが多い。
引用:goo辞書

小学生の頃、今日はこのグループ、明日はあのグループ、といろんなグループと放課後遊んでいて、親にはよく「あんた誰と一番仲がいいの？」と言われていた。

中学生になっても高校生になっても、ぶっちゃけ今でもその生活は変わらない。スクールカースト、なんて言葉当時はなかったが、私はそんなものをガンガン突き破って、とにかく「恋バナをするなら」「漫画や二次創作の話なら」「部活の話なら」と自分の話したいこと、やりたいことに合わせて話す遊ぶ友達を変えるような日々だった。

そのせいで、クラスが変わった、趣味が変わった、という理由でそれきり、疎遠になった子も多い。広く浅く人間関係を続けていたせいで、今も連絡を取り合っている友達は数えるほどしかいない。

そんな風にいろんなグループを渡り歩いていたので、時々、悪口、陰口の場に居合わせることもある。「悪口陰口をやめるように言う」ことが出来れば良いのかもしれないが、そんなこと無理だし面倒(こっちが1番の理由)なので、とりあえずその場からうまく離れることにしている。あくまで同意はせず、「そうなんだー」とニコニコヘラヘラしてやり過ごして、仮に移動した先に陰口を言われていた本人がいても、さっきのことは全てなかったことにしていつも通りに接する。もし、そこでも陰口を聞かされたらまた移動。そういう誰にでも良い顔をして渡り歩いている自分みたいな奴のことを「八方美人」というんだな、と昔からずっと思っていた。

でも時々、いろんな人からいろんなネガティブな話を聞かされてすごく疲れて全て投げ出したくなることがあった。実際に中・高・大学生の頃、不登校とまではいかないけど数度、仮病で休んだし、受験の時は無意識のうちに「同じ学校の人がいない全く新しい環境」を探して、毎回人間関係をリセットしていた。「さっきのことは全てなかったことにして」と言いながら、本当は全く忘れられず蓄積されていたんだろうなあと思う。

こんな疲れる生き方、正直やめたい。でもこの性格でもう何十年も他人と接してきたので、今更接し方を変えられない。どうしてもこれ以上うまい生き方がわからないのだ。

今更ながら、八方美人のプロ達と出会った

今の職場でまた一人、同僚が人間関係に悩んで仕事を辞めた。私の周りですでに数人辞めているのだが、実のところ、みんな口を揃えて言う「辞めることになったきっかけ」を作った「ある人」が同じであるところがまた怖い。

元々ウマが合わなかったのか、何かきっかけがあって、「ある人」(便宜上Aさんとする)に嫌われてしまったのかは定かでないが、この職場でうまくやるにはAさんに気に入られるか否かなのだろうか、とも思ったが、実はそうでもないらしい。

Aさんの「あの人、口ばっかりで仕事出来ないよね？」と言う問いかけに対し、「そうだそうだ」と同意していた人達が別の場所では「どの口が言ってんだか、自分も出来ないくせに」とAさんの陰口に花を咲かせていた。ああ、この人達が八方美人のプロか。この職場は入れ替わりが多いところだが、こうやってうまく立ち回っている人達ほど勤続年数が長い。

八方美人の生き方は楽なのか

陰口にも率先して関わってしまえばきっと楽なんだろうと思う。そしてまた別の人とさっきまで話していた人の陰口を言う。でもいつか、実は自分が一番嫌われていて、「あいつは八方美人だな」と言われて誰も相手をしてくれなくなったら。と思うと怖くて私はやっぱり陰口は言えない。そんなことしなくてもあちこちに顔出してる時点で嫌われてるのかもしれないけど。

結局のところ、ヘラヘラ適当に生きているつもりで、全然適当に生きられていない。人に嫌われるのが一番怖い。面倒な性格だと思う。

そしてこれをダラダラ書きながら、結局なんの結論も出なかったので、私はまた「全てなかったことにして」ヘラヘラと広く浅く人と接する日々を過ごすことになる。はあ、疲れる。誰か上手い生き方を教えてください。