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アナグマは旨い(らしい)

のこのこと庭にやってきたアナグマ。わたくし、哺乳類の肉や脂で胃痙攣を起こすため、食べることができませんが、たいそう旨いらしいです。昔(食肉が流通するようになる前)の農村ではわりと食べていたそうです。鹿や猪も。食べるために動物を育てるという習慣は西洋文化が入ってくる前の日本にはなくて、ものを運んだり、田畑を耕すために牛や馬が飼われていました。今住んでいる築160年を超える古民家も、玄関脇の今はヒートベンチが据え付けられているところが牛のための部屋だったそうです。家族の一員として大事にされていたのですね。

そんな日本でも「糖質制限」や「ロカボ」というダイエットの方法として、炭水化物を排除し、タンパク質をどっさりを摂ることを奨励する食事療法が流行中で、がんが治るとかいう噂さえあります。こちらの記事がバランス良くまとめてくださっているので、ご参考まで。まるで工場のようなところで飼育される動物たちを貪るように消費することに抵抗が無くなった今、「お肉、食べられないんです」というと日本ではまだ面倒くさい人扱いされかねませんが、外国に行くと外食の際のチョイスは日本よりもいっぱいあります。日本だとベジタリアンの人はインド人かネパール人経営のカレー屋さん、精進料理の店、お出汁が大丈夫なら蕎麦屋、鶏肉までOKなら焼き鳥屋くらいしか入れる店がありません。首都圏にはじわじわと増えてますが地方だとまだまだわがままな変人扱いです。

そんなボヤキはさておき、そもそも我々ヒトという動物種が何を食べてきたのか、です。ベジタリアンが正しいのか、糖質制限が正しいのか、どちらも理論はご立派なので、たぶんどちらも正しいのでしょうが、それってホモサピエンスの代謝機能を踏まえた上で正しいかどうか、を考えてみたいと思います。ハイオクの車をガソリンで走らせたらあっという間にエンジンが壊れるように、わたしたちの身体にはどんな燃料が必要なのか考えてみたいと思います。だってね、数十年前とろくすっぽ変わってない、進化してないと思うんです。少なくとも、穀物を食べるようになって数千年ですが、その間、カロリー摂り過ぎによる生活習慣病は増え続けていて、大量の炭水化物に適応はしておりません。血糖値の急上昇に対応するのは数千年経ってもインスリンただひとつのままなので、たかだか数千年では進化が追いつかないことがわかるかと思います。なので、それ以前に食べていたものとその調理法がわたしたちの代謝機能にも最適なままなのだとおもうわけです。

50万年前からホモサピエンスが農耕牧畜を始める前からずっと食べていたものとは葉っぱ、果実、芋、木の実、種、貝、エビ・カニ、魚、両生類、爬虫類、鳥、たまご、哺乳類など。

20万年ほど前から自然発火した「火」を用いるようになったと言われています。

数万年前に火を熾すようになり、急速に加熱した食べ物に適応(でんぷん質はアルファ化したものでないと消化できなくなったのは進化なのか退化なのか微妙)

牧畜が始まってから食べるようになったもの
乳製品と畜肉

農耕が始まってから食べるようになったもの
穀物(麦、米、とうもろこしなど)
豆(大豆、小豆、緑豆、レンズ豆、ひよこ豆など)

食べ物が大きな工場で一気に大量に加工されるようになってから一般家庭の食卓に登場したもの
植物油(サラダ油)、様々な食品添加物

台所に常に液体の油が常備されるようになってからは、揚げる、炒めるという調理法も一般化しましたが、それまでは焼く、茹でる、蒸す、煮る、発酵させる、という調理法でした。その後、電子レンジが登場し、いまではIHも一般的になりつつあります。

この歴史をざっくり振り返ってみて、数千年前にはじまった穀物を食べることにすら充分適応できていないことから、進化はそんな短期間ではおきないことがわかるかと思います。穀物を栽培して貯蔵できるようになり、飢餓を避けることができるようになったのは福音ですが、食べすぎると病気になるのです。かといって、これが糖質を制限してよい根拠にはなりません。もっと前から果実や芋から糖質を摂っていたのです。

糖質や甘いものは動くための「即使える燃料」、脂っこいものは「備蓄できる燃料」というふうに身体は認識します。即使える燃料の余剰分は油に変えて備蓄し、油はいざというときのために備蓄する。代謝しにくい油でも「なんかのときのために」って備蓄します。なので、よくよく身体と相談して、必要な量の糖質、代謝しやすい質の油(細胞膜は油の膜です)を摂りましょう。糖は量、油は質。

たとえば、ハイオク車をガソリンで走らせるとあっという間にエンジンが傷みます。それとおなじで、適さない燃料を摂りすぎれば身体もおかしくなるのです。糖質、タンパク質、脂質がエンジンを動かす燃料だとすると、エンジンオイルに相当するのが食物繊維やビタミン、ミネラルというものたち。たとえばナッツやシード類には油がたくさん含まれるので絞って食用油として盛んに用いられますが、まるごとのナッツやシードはタンパク質もミネラルも食物繊維もビタミンも含みます。全粒の穀物には食物繊維やミネラルが含まれます。米なら玄米は油も含んでます。絞ったり精製したりせずに、なるべくまるごと食べたほうが理にかなっているのです。

添加物がどうのとか、動物性より植物性食品のほうが健康的とか、いろんな視点がありますが、日本だと縄文時代の食べ物からかけ離れれば離れるほど、代謝機能に負荷がかかると考えてよいのではないかと思う次第。最近、「Ultra Processed Food=超加工食品」はどれもヤバいという考え方も出てきて、工業的プロセスが加われば加わるほど不健康な食品になると言われています。ブームとしての自然回帰ではなく、真理があるような気がします。健康食品として人気の代用ミートなんかもその代表。プロテインやサプリメントは言わずもがなです。

というわけで、なるべく縄文的な食卓に近づけようとおもったら、田舎はそこらへんを食べられる生き物がウロウロしているのでかなりのアドバンテージが見込めます。庭に現れたアナグマも美味しいと聞くので家人は「木刀で脳天を…」と思ったものの、姿や動作の愛らしさに食欲が無くなったそうです。生き死にがかかっているときならそういう躊躇はしないはず。願わくは、「畑の作物に悪さをしないでくれたまえ」とかぼちゃは全部収穫してきましたとさ。

とにかく、「まるごと」を使って、焼く、茹でる、煮る、蒸す、発酵させるor生で、よく噛んで食べましょう。

健康ならばこんなモノをウヒャうヒャと楽しむこともできるのです。

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コンビニに入ると必ずチェックしてしまうチロル。これはヒット。クリームソーダ感半端なし◎


では。

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