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瓶の中身を知りたい

あめ色になったタマネギは、火から外していいかもしれない。早めに外さないと余熱で焦げてしまう。

今朝の夢の中で、私はどうやらカレーを作っているようだ。タマネギにまぜる「感情」をスパイス棚へと選びに行く。

スパイス棚にならんでいるのは、感情の瓶づめ。ラベルを貼ったままだと文字がうるさいから、ラベルはすべて剥がしてある。ずらっと並んだスパイス瓶のなかには、それぞれに違った感情が詰まっている。

干からびた、小さな花が詰まっている瓶。あれは幼かった楽しさが詰まってる。あっちの、コーヒーがらのような粉は、たぶん怒りが詰まっていた。こっちの、ざらっとした緑の粒は……なんだっけ。

ラベルを剥がしても、中身を覚えてある。そう思ったけれど、これだけ瓶が多くなると全ての中身を覚えてはいられないらしい。

それでも、今、ここでつかう感情はこれだ、とつかんだ瓶。中は、うすいピンク色をした砂。ところどころに真っ赤な粒。色は違っているけれど、ゴマ塩のよう。

ピンク色の砂と赤い粒でできたゴマ塩?を、あめ色玉ねぎにふりかける。これで、今月も大丈夫。

そう思って、目が覚めた。

変わった色をしてた、あのゴマ塩。なにで出来てたのかな。どんな感情が粒になってたのだろう。
感情の全てが瓶づめになっていた、あの夢の中。私の感情は、どこにあったのだろう。あの瓶の中だけにあったのか、私の中にもあったのか。起きている私の感情も、あの瓶の中に入ってるのだろうか。

そして、はっきりと確信していた「大丈夫」の感覚。あれだったら今月も大丈夫ね、と妙な自信もついた。

目覚めてすぐなのに、ものすごい早さで駆け巡る自分の思考。その目覚めの良さに、少し笑った。

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