見出し画像

2021/12/14-15(水)俗に言う「いい話」


どれほどお外が寒くても心があったかくなるようなことの一つや二つ思いつきたいところではあります。

こないだ遭遇した、下りエスカレーターの降り口の近く、降りてくる私をちっちゃい子が遠巻きにじーっと見てて、お母さんらしき人が「そっちはのぼれないんだよ」とやさしくなだめているんだけれどどうしても昇りたかったらしく、私がエスカレーターを降りその場を立ち去ってから少し遅れてふえーんみたいなぐずり声が背後から聞こえだしたの、あれはかわいらしくて心が。うん、ちょっと違うね。

そういえば一杯のかけそばって話どこ行っちゃったんでしょうね。あのカテゴリーに入るのって他だとなんだ。トイレの神様とか? 

そう、いかにもな「いい話」ってのが昔から本当に苦手で、なので当然そういう話の持ち合わせもなく、そんな私は普段からさぞささくれだった心の持ち主だろうと思われるかもしれませんが、たぶんそんなことはない、はず。

ああいう類の話ってもれなく「いい話に感動する心美しい私」のアピール合戦になるのが気持ち悪いからかもなあ。涙の一筋もつつーと流せばさらにポイントアップ。ああいやだいやだ。

心を動かされてしまうって、ましてや涙をこぼしてしまうなんて、私の中ではとんでもなく繊細で個人的な領域の話だし恥ずかしいことなんだけれど、そうでない人たちもいるんだろうなと。自分がどう感じたかではなく自分を人にどう見せるかが大事な人たちというのが少なからずいて、そういう人たちのうわべ繕いが、嘘まみれが、私はとても嫌なんだろうなと。

そんなひねくれものの私ですが新見南吉の『てぶくろを買いに』は今でも心に大事にしているお話の一つです。あの童話は良いよ。



武者修行中です。皆様に面白く読んでいただけるような読み物をめざしてがんばります。