頼まれてもないのに。その35（令和3年大相撲九州場所を振り返る）

写真はフォトギャラリーから九州博多の櫛田神社の写真をば。博多いつかは行かねばならぬ。ああ九州旅したい。

さて。大方のファンの予想を全く裏切ることなく一人横綱照ノ富士が2場所連続6回目の優勝、しかも全勝での優勝を果たしました。おめでとうございます。どの相撲も強かったなー。盤石だったなあ。

唯一「もしかしたら」と思わせた14日目の阿炎戦に対してだって横綱はこうですもの。なんだろ、発想からしてもう器が違う。

「調子のいい阿炎とやりたい」照ノ富士が朝稽古中に語っていた本音《“元安美錦”安治川親方の11月場所総評》 | 文春オンライン

しばらくは横綱の一人天下が続くでしょうね。下位の力士たち、どうします？　横綱が皆のふがいなさにだれ、増長して自滅するその日まで待ち続けますか。この横綱にそんな日が来るかどうかわかりませんけど。

心の激しさと責任感の強さではこちらもあなどれない大関貴景勝。横綱の相撲が圧倒的すぎてどうしても影が薄くなりがちですが、こちらも素晴らしい15日間を務め上げました。9日目まで全勝で照ノ富士についていき、最終的には12勝3敗。余計な心配ご無用とばかりの力強い突き押し炸裂、どの一番にも勝利への貪欲さがあふれ出ていて、いろんな意味でこの力士は凄いとため息がでるかぎり。それでも千秋楽の一番を見る限り今の状態の横綱には勝てそうにない感じ。この高すぎる壁を来場所以降どう克服してくるでしょうか。楽しみです。

阿炎！まさかの阿炎！どうした。何があった。数場所前に謹慎が明けついに幕内復帰を果たした今場所、西前頭15枚目という地位で、なにこの相撲内容。こんな相撲取れたんかい。謹慎前は胴体が完全には仕上がってなくて手足の長さだけがやけに目立つ、いわばエヴァンゲリオンみたいな体型だった阿炎が、今場所はずしんとした力士の体つきになっている！しかもあれはただ食べて寝ただけじゃ作れない、ちゃんと稽古で大きくした筋肉でしょ。

おそらく多くの相撲ファンが「阿炎が本来取らなければならない相撲、というか阿炎にしか取れない相撲」がどこかにあるはずだと期待し続けた相撲を、ついにあの阿炎が取ってる！！

気持ちの切れた千秋楽の15日目だけはご愛敬として、それ以外の14日間、負けた2番も含めて実に素晴らしい相撲でした。長い手足を生かした伸びのある激しい突き、力強い出足、己の地力に確たる自信を持って取れている感じ。本当にいいものを見させてもらいました。相当稽古を積んできたのでしょうね。

ただ来場所は今場所と異なり、実力者たちの集う幕内上位での取組となります。そこでも今場所の相撲を自信を持って取り続けることができるかどうか。勝ちたさの虫がうずいてまた小手先の相撲に戻ってしまいはしないか。心身ともに一回り大きく強くなっているように見える阿炎、そんな心配もういらないんじゃないかとも思いつつ、それでも来場所が正念場です。

もし来場所もその次の場所もこの相撲が続くようなら次の大関候補は阿炎、それどころか横綱照ノ富士と対等に渡り合えるところにまでたどり着けるかもしれないと期待は高まるばかりですが、いやいやまだ早い、来場所を全部見てからにしましょう。

それにしてもいったい何が彼を変えたんでしょうか。謹慎中に彼はいったい何と出会ったのだろう。

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もうこの3人だけで九州場所はおなかいっぱい。あとは思いつくままに。

関脇御嶽海、11勝4敗。実力者なのはもう皆が知っていること。今場所も「なぜこの人が大関ではないのか」といいたくなるような万全の取組が何番もありました。うーん。それこそ阿炎に昇進抜かれでもしないと変わらないのかなあ。

御嶽海を見ていて思うのは、それこそ上に挙げた3力士と比べると今場所は特に顕著だったなと思うのは、15日間をすべて全力で戦い抜く体力、もしかして足りてない？

というよりも今場所はどの幕内力士も（上記3力士を除いて）特に後半戦、体力不足が目立ったように思います。あー久々の九州ですからねえ疲れも出ますよね15日間は長丁場だものお相撲さんも大変ねえ、だなんて見ている側に気づかせたり、ましてや気遣わせたりするのはいかがなものか。

それこそ稽古をもっとたくさん地道に積み上げていくしかないのでは。どうなんでしょ。

加えてケガした後の数日間あからさまに相撲の質が落ちるように感じられるのもなんとかならないのかなあと嘆きつつ、それでもあなたのような実力者はちゃんと大関にならんとあかんのだからと引き続き応援しています。

北勝富士。実力に比べ明らかに番付が落ちたので優勝争いに絡んでくると思ったんですけど相撲の取り口が番付に見合ってしまったのがとても残念。それでも11勝していますから素晴らしい成績とはいえせっかくの下位番付、もっと浮いた存在であってほしかったなあ。

宇良！来場所どこまで番付あがるかな。隆の勝好成績だったのにあまり印象に残ってないごめんなさい。これは私の集中力のなさでしかないと思う。お相撲さんに求めるだけでなく私も15日間集中し続ける気力を保たないといけないですね。豊昇龍は今は結果が思うようについてこなくてもどうか焦らず、試行錯誤し続けながらたくさん稽古重ねて体大きくし強くなって。

新進気鋭の若者たちもアラウンド35のベテランたちも、まだまだいける、まだまだ上へ。めざせさらなる立身出世！

さて最後にちょっと愚痴。とある力士の勝ち越しコメント。

「これからもケガをしないように」

これってどうなの。目指すものが一人だけ地位に見合ってないんだけれど。まあ確かにそれはその通りなんだけど、なんていうのかな、それはさらに上を目指すためのベースにできたらいいなって類のものであって、そこにとどまるものではないというか。まあ間違いではないしこちらとて人がケガするのなんて見たくないですからこれからも無理なくケガのない土俵人生を送っていただければこれ幸いかと。頑張っていないとは思いませんが、もちろん十分に頑張っているとは思いますけどさ、なんだかね。名前を出す気にもなれないよ。

治らないケガを抱えていても愚痴も言い訳もせず、さらなる高みを目指す一心で日々黙々と戦い続けている力士もたくさんいるのにね。

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いつか行きたし九州博多。一年の締めくくり。あと数十日でまた新しい一年が幕を開けます。来年はどんな立身出世が見られることか。

今年も一年存分に楽しませていただきました。凄まじきもの、さまざま見させていただきました。来年も土俵上の躍動がたくさん見られますように。夢や目標が叶っても叶わなくても、皆さまの日々の土俵が一つ一つ、充実した豊かなものでありますように。