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世界はまだまだ面白い!#110 腕時計(3)

さて、私の1990年7月21日にクウェートで購入した「腕時計」の修理について書いてきましたが、この時計を購入するに至った経緯が1988年にありました。場所はイラクです。

当時、イラクを担当していた私は、「アテネ」から「バグダッド」に出張していました。1980年から続くイラン・イラク戦争も1988年には激しさを増して、ミサイルの打ち合いの様相を呈しており、仕事関係者から、首都バグダッド市内のホテルはミサイルに「狙われている」ので危険だから、郊外に泊まった方が良いと言われて、郊外の「バビロン」のホテルに泊まりました(「漫画バビル2世」や「バベルの塔」でも有名ですね)。でも、イランのミサイルは精度が良くないと言われてるし、余計に危ないんじゃないかと思っていたら、その通りになりました。夜中に、宿泊していた「バビロン・オベロイホテル」で、とんでもない大きな音がして、建物が大揺れに揺れて、廊下を宿泊客が走り回っています。翌日、ホテルに聞いたら、近所にミサイルが着弾したとの事。九死に一生を得ました。真上に落ちなくて良かった!と、生きていることに感謝しました。

次の日、そろそろ、良い時計が欲しいな、でも高いしなと、漠然と考えていた私に、仕事関係者が話してくれました(夜、窓からは、遠くの方に閃光がいくつも光っています(国境付近で戦闘中))。「時間は大事で、1日、100円を、その大事な時間に払うと思えば、決して時計は高くはないんじゃないか?」と。昨晩、九死に一生を得た、私にとっては、妙に、説得力があり、私の心は決まりました。

結局、その年の8月に8年も続いた「イラン・イラク戦争」は「ceasfire(停戦)」を迎え、それから、2年間、お金を貯めた私は、待望の「腕時計」をクウェートで購入し、毎日、「時間」を大事にしています。


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