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落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『物語 フランス革命』安達正勝著~

「政治的理念の恐ろしさは『フランス革命』とは何だったのかを学べば自ずとわかると思います。マルクスが分析しているのは主にフランス社会の政治的均衡です。フランス革命を学べば、政治的均衡がわかります」と、ある読書会のコメントにあった。
                                                        そもそも世界史は高校1年までしか学んでいなかったので、フランス革命自体の知識がほとんどない。
なんとなく「ルイ16世は軟弱だった」「マリー・アントワネットが贅沢を尽くした」くらいしか理解していなかった。

「政治的均衡」。政権奪取のための市民をはじめとした各階層の動きや革命政府の駆け引きこそ、フランス革命の醍醐味のように感じた。世界10大革命のひとつと言われるゆえんなのだろう。
                   ただ、個人的に決定的に勘違いしていたことがあった。                                   「ルイ16世は決して軟弱ではなかった。改革派として名君にもなりえた存在であったということ」 だ。       
(ただ、この見解は著作者の見方によってことなっているようだ)

ルイ16世は、「国は王家のものではなく国民のもの」として真剣に国民の幸福を考えていた。むしろ国民から高い評価を受けていた。ただ改革の動きのスピードを見誤ったことはあると思う。さらにヨーロッパ戦争がおこる。フランスが欧州全体を相手にしたような戦い。

一方で緒戦におけるフランス軍の相次ぐ敗戦が愛国心を高揚させ、反革命的勢力に対する警戒心が強まってきた。そうした中で、ルイ16世は革命による自らの権限の縮小や革命の息苦しさを痛切に感じることとなり、オーストリア領への逃亡をはかった。
ここでマリーアントワネットの祖国であるオーストリアの力を借りて体制を整え直し、治世の主導権を取り戻そうとした。「ヴァレンヌ逃亡事件」である。 
ここで万事休す。以降、ルイ16世は革命政府の言うがままの状態になってしまった。国民からは革命の裏切り者と目され、結局自らが改良したギロチン刑に処されることになる。

「自らの立ち位置を見誤りと焦り」がルイ16世を奈落の底に落としたのだろう。が、そののちの恐怖政治・ナポレオン台頭などを考えるに失脚はもはや時間の問題だったのかもしれない。

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