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落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『放っておく力』桝野俊明著~

ユニークなタイトルに引かれて思わず購入した。
曹洞宗の住職である筆者が、禅の教えをもとに人生の最適化をテーマとした提案の書。
読み終えて強く感じたのは、自分にとっての「アイデンティティ」のあり方である。
そもそもアイデンティティは、個人差はあるが青年期に確立されるものとされている。
しかし、それが成人期になり揺らいでしまうことがある。「中年の危機」というらしい。もっともこのタイミングを人生の新たな転機とする可能性もある。
一方、老年期を目前とした自分にとって、アイデンティは「失われているもの」がクローズアップされている中、日に日に大きく揺らいでいるようにも思われる。「老年の危機」「老年の壁」とでもいうべきだろうか。
 
そんな自分に勇気づけてくれた一冊である。
まとめて言えば、「他人を気にすることなく、自分の信念を大切にして生きよ!」ということである。
No32:比べるなら「昨日の自分」。もう他人の目を行動基準にしないこと。
No44:簡単にぶれないこと。他人の意見を聞く前に自分の価値観を明確にする必要がある。
No64:自分の流儀を崩さない。人の話を「聞きすぎる」のは考えもの。
No79:もっと選択肢を絞る。部外者の「思いつき発言」に惑わされない。
 
そして「焦ることなく、謙虚に生きること」。
No16:謙虚に、謙虚に、謙虚に。「自慢合戦」はやめましょう。
No46:焦るな、焦るな、焦るな。心を鎮めるシンプルな「呪文」。
 
まだまだいける!
回りに惑わされることなく、自信を持って自分の人生を考えよう!
「自分ではどうにもならないこと」「しかたのないこと」「自分にとってどうでもいいこと」「重要でないこと」は放っておけばいい。
そんなことには「関わらない」「反応しない」。何より「気にしない」。
 
老年期を快適に過ごすためには、こうした「放っておく力」が不可欠である。
それが、老年期目前の、自分にとってのアイデンティティの再確認につながると考える。

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