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落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『人はなぜ怒るのか』藤井雅子著~

<<感想>>
「期待と現実の不一致」が怒りの原因。著者の結論である。
個人的に中途障害者家族の介護ストレスサポートを行っているが、まったく同感である。ただ家族の場合は、期待が理想になっている。つまり当事者が受傷前(障害前)の状態に戻ることを期待している。特に重度障害者の場合、それはなかなか難しいことを前提において考えなければならない。
大切なのは「不一致」を縮める努力をすること。著を読んで改めて認識した。
 
特に参考になったのは「怒りの三段活用」と、その中にある「気づき」「べき思考」「裏感情」。
「怒りの三段活用」とは、①怒りを感じる ②怒りを分析する ③怒りに対処する ということ。
まず「怒りを感じる」で大切なのは、「なんかちょっと違うな」という小さな怒り、違和感のことであり、それに対して「なんでそんなことに怒りを感じるのだろう」と罪悪感を持たないこと。
それが、最終的に怒りのコントロールにつながる。
そして「怒りを分析する」「怒りに対処する」でポイントとなるのが、「べき思考」と「裏感情」。
「べき思考」とは「〇〇は~であるべき」という偏見、固定観念、思い込み、独りよがりなどがある。それを見つけて分析する中から見えてくるものがある。それが「裏感情」である。
われわれの感情には「一次感情」と「二次感情」がある。
「一次感情」とは、何かあった時に瞬間的に感じる原始的な感情である。例えば、悲しみ、怒り、寂しさ、喜び、驚き、恐怖など。
「二次感情」は、一次感情から呼び起こされる感情のことで、自尊心、恥、傲慢、誇り、困惑、嫉妬など、人間が後天的に学習や経験を重ねて身につける感情。
怒りの感情のほとんどは二次感情であることから、怒りの裏にある本当に弱い感情としての「裏感情」を分析し、理解して対処していくことが必要になるとのこと。
 
著書は自分の怒りの様々な事例をもとに「裏感情」の分析に時間を割いている。
「イライラをワクワクに変える22の方法」という章建てはあるが、その基本には必ず「裏感情」がその対処方法の背景になっているように思う。
対処方法の中で特に共感したのは、「感性を磨く・自然に身を置く・人の話を聞く・本を読む・適度な栄養をとる」というインプットと、「話す・書く・泣く・笑う・ユーモア・身体を動かす」というアウトプットの重要性。より人間的であれ! ということか。
怒りの背景(裏感情)の理解と現実の直視。このことが著書の重要テーマであると感じた。

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