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魁!!メンヘラ備忘録

7年ほど前に三途の川を渡りかけて泳いで帰ってきたことがある。
うっかりオーバードーズをしたのである。
動悸が止まらなくて延々と薬を体に放り込んだのだ。
今思えば死ぬ量の薬ではないし死ぬ性質の薬でもないので、三途の川は多分気のせいだったと思うけど、後にも先にもない臨死体験のようなものだったので、今では面白おかしく人に話したりする。
まあその臨死体験も、今思えば夢かなとも思っている。

躁鬱病とパニック障害と診察されたのはその後。
朦朧とする意識の中、必死の思いの母に連れてきてもらった大学病院で言われた。
入院は決まったが、空きがないので1週間後と相なった。
これで命拾いをした、というとてつもない安心感があった。
その安心感から病院構内にあったタクシー乗り場から、帰りのタクシーに乗った瞬間に意識を失った。
結局入院までの1週間、別の病院に入院することとなった。
その入院は当初、ずっと幻覚や幻聴の中過ごしていたが、病院を移動する頃には食事も摂れるようになりそこそこ元気になっていた。
入院まではどういうわけか、氷と駄菓子しか食べられなかった。
氷でコーヒー用の氷まで買い漁る様は、まさしく正気の沙汰ではなかったろう。
入院までは食事を摂ろうとすると、匂いでえずいていた。しかし腹には何も入っていなかったので何も戻せずかなり苦しいのだが。
成人してからの過去最低体重の32kgを叩き出したのはこの頃である。何故か足が動かないので、杖がないと移動できなかった。
視力も著しく低下し、スマホの画面はほとんど見えなかった。(のちに乱視になっていたことが判明する)

入院してからしばらくしたら、すんなり食事もできるようになったため、体重は臨死体験以前より増えた。
思えば一人暮らしを始めてから、1日3食規則正しく食事をすることなんてなかったので、真人間の体になったのであろう。
足も自然と動くようになり、入院中は毎朝ラジオ体操に参加した。妙なところで真面目なのである。
この頃丁度、TBSラジオで「伊集院光とらじおと」が始まったため、radikoではなく何故かポータブルラジオでラジオ体操後の自由時間に屋上で聞いていた。

精神科の屋上は、陽の光こそ入ってくるが天井まで飛び降り対策がされていた。
バルログだったらぶら下がっちゃうねと思っていた。
雨の日はレクリエーションルームみたいなところでラジオ体操をした。
その後みんな卓球をしていた。私は下手なのでやらなかったが。

この中で私は軽症の患者だった。
いざ精神科病棟で2ヶ月間過ごしてみると、なるほど完全に病室から出られない人も、急にせん妄が始まる人もいる。かなりヒステリックになる人もいればもはや叫んでいる人もいる。ずっとスーツの紳士もいた。
人間誰しもそうなる可能性があるものだと思った。真面目だったり思い詰めすぎたりする人が、ボタンのかけ違いでそうなることもあるんじゃないかと。
私の場合真面目でもなんでもなく、根本的な原因は栄養失調だったようだ。
軽症だった私は、毎日13時から17時の外出が許された。
この時間にタバコの吸いだめをする。駅近くのカフェには大変お世話になった。
そしていつも外で会う猫がいた。
のちにこの子が、今自宅で一緒に暮らしている、たまを引き取るきっかけになるのだがそれはまたの機会に。
とにかく暇なのだ。
そこそこ体は元気になっていたため、この時間に動いたりしないと夜寝付けないことがある。確か消灯時間は21時だったと思う。早いのだ。
意味もなく2駅分往復して歩いたり、美容室に行ったりもした。
家に帰って着替えを自力で取りに行ったりもした。
お見舞いに来てくれた方もいた。ありがたや。

この頃には体重が46kgになり、うわあめちゃくちゃ太ったななどと思っていたが、今現在それより10kg以上増えたため、小娘が何を言っているのだとせせら笑ってやりたい。
ただ確かにその頃まで42kgより重かったことがほぼなかったので、かかとが妙に痛かったのは覚えている。

看護師さんたちは若い人が多かったが、みんな頼もしかった。すごい仕事だなと思う。
朝も夜中も、ありとあらゆる患者に笑顔で対応し、一人ひとりの様子をしっかり見ててくれる。退院して7年近く経った今でも、病院に行ったりすると看護師さんには頭が上がらない。

退院してからも案外真面目に精神科に通い、一時期は随分良くなり薬もそろそろ減らそうかなんて話も担当医としていた。
が、急に仕事を休職するレベルのパニック障害の症状が現れるようになったのが数週間前から。
店長がものすごい速さで休職を判断してくださったおかげで、体からびっくりするくらい緊張感が抜けて恐ろしいまでの安心感を得た。ありがとうございます。
休職したら、また働こうと言う気持ちに戻すのが大変なんじゃないだろうかと恐れていたが、職場の方がとても気を遣ってくださって連絡をしてくれたり、会いに来ようとしてくれたりして、もう本当にありがたすぎて絶対戻ろうと思っている。こんな職場初めてだ。
休職中は異様に眠かったり、やっぱりまだ頭痛はしたり、すぐ疲れるのでぐったりしているが、そろそろ精神科の診察があるので、そこで何か変わるかもしれない。担当医も突然変わったのでどうなるかわからない。

今後パニック障害やら躁鬱やら、軽い感じで文章に残していけたらと思う。
同じ病状の人に共感してもらえたらいいなと思っている。
私の場合あまり塞ぎ込んだりしないので、スナック感覚で読んでもらえたらなと。

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