僕の人生変えたバスケ漫画について
皆さんは、「この時のこれによって、自分の人生変わったな」っていう出来事ってあるだろうか。それも、どちらかというと何気ないことによって。例えば、高校、大学、就職などの進路をどこにするとか、誰と結婚するとか、明らかにモロ人生の分岐点になることじゃなくて、「子供の時見た仮面ライダーエグゼイドで、医者になることを志した」とか、「エグゼイド主題歌の三浦大知を見て、大事なのは顔じゃない!ダンスと歌の実力だ!と思い、ジャニーズになることを目指し、努力した結果純烈のメンバーになった(フィクションです)」みたいな話。偶発的な、何気ないきっかけから、結果的に人生が変わった!みたいな。どうでしょう。僕にもそれに近い出来事があります。今からもう12年も前の話。
当時、小学3年生だった僕は、ぽっちゃり不健康そうな運動音痴、もうほんっとに典型的なインドア派でした。友達と遊ぶ時も、外遊びとかは全部嫌い。一生ベイブレードかWii、3DSをやっていればいい、みたいなタイプでした。夏休みも冬休みも、1日中家に居たい、外出たくない、という感じ。雪合戦だけは好きでした。
もうすぐ小4になるというのに、春休み中もグダグダしまくってた僕を見て、僕の親は、「一人で電車で、祖父母の家まで泊まってこい」というミッションを僕に与えてきました。
山形県にある実家まで、3時間以上、1人で電車に揺られながらお菓子を食べる少年るふらん。ちなみに、その時電車内で食べてた、「カレドショコラ」っていうチョコ、その後もずっと印象に残ってて、21枚300円で少し高いんだけど、今でもたまに買ってしまう。当時カカオ70%食べて、苦酸っぱいで全然おいしく感じなかったんだけど、高校生の時にもう一度食べたら普通にうまかった。なんかいいイメージが頭にこびりついてるんですよね。
実家の最寄り駅まで着いて、2泊3日(だったはず)、実はほとんど記憶に残っていません。何食べたとか、どこか出かけた覚えもない。ひたすら家にいた気がします。なぜなら!僕は、そこである「運命的な出逢い」をしたからです。それが、あれです。「スラムダンク」でした。
父親や、叔父さんたちが一人暮らしを始めるときに置いていったマンガや本やらが、何十年も残っていたんです。じいちゃんばあちゃんもずっと放置してて、スラムダンクは全巻残っていた。当時仲良かった友達が、授業中にも「あきらめたらそこで試合終了ですよ、左手は添えるだけ」とか語録を連発してるぐらい好きだったので、とりあえず1巻を手に取って、読み始めて、そこから、気づいたら家に帰る時間になっていました。
帰りの電車内でも、ずっとスラダンの余韻に浸っていて、乗り換えで少し戸惑った以外、何も印象にない。今思えば、その時、初めて1人で祖父母の家に行ったのは、「スラムダンクに逢うため」でした。それしかない。多分、じいちゃんばあちゃんも、せっかく来てくれたのに、ずっと家でマンガを読んでいる自分を見て、退屈してるんじゃないかと心配だったでしょう。ですが、僕はただひたすら、先を読み進めることに没頭していました。なんせ、実質2日足らずで31巻を読み切らなければいけない。読み切れるか分からないシビアなスケジュールで、全神経を持って読みました。(それでも、結局山王戦の途中までしか読めなくて、全巻読み切ったのは次のお盆に家族で行ったときだったんだけど。)
以前の文章で、僕が読んできた少年マンガの中で一番面白いのは「トリコ」だ、ということを書いたけど、僕の人生で一番没頭して読んだマンガは「スラムダンク」だった、と今なら思います。今んところですけど。もし没頭ランキング2位を決めろというなら、受験で関東に2泊したときに、行きの新幹線で最初の1巻だけ買って持って行って、帰りの新幹線では当時最新刊の18巻までリュックに敷き詰めて帰った呪術廻戦ですね。どうしても読む手が止まらなくて、現地の本屋でどんどん買い足していったのはいい思い出。試験を受け終わり、全てのストレスから解放された夜、安いビジホの粗悪な有料チャンネルと呪術で、出しては読み、また出しては読みを繰り返して、計4度ティッシュに包んだのもいい思い出。
話をスラダンに戻すと、当時はとにかく先が読みたい読みたいと、それしか考えていなかった。多分、ギャグでも笑ってないし、涙も出てない。読みながらどんな感情だったかは覚えてない。ほんっとに面白い作品って、こういうものなんじゃないだろうか。もち、メリー号で泣いてしまった、このギャグマンガで一生笑ってたとか、喜怒哀楽に直接作用する作品って、すごく記憶に残るし、思い出ランキングの上位になりがちだ。でも、僕にとってスラダンはそういうマンガではない。ただひたすらに没頭させ、無心で読ませる。確かに感情は表層に上がっては来ないが、無意識、地下二階では、大洪水が起こっている。スラダンは、僕に確かな天変地異を起こさせたマンガだ。
なんだかんだあって、その二年後にぼくはバスケを始めるんですね。
それまで自発的に運動することなんてなかった僕が、スラダンでバスケを知り、始める。それも、すぐに始めたい!となるわけではなく、最初の衝撃がずっと心の奥に残っていて、スポーツやるなんて1mmも考えてなかった僕が、徐々に「バスケならやってみてもいいかな」と思って、2年の月日の後に僕を動かす。そして、そこから3年間バスケしたんだけど、今でも「人生で辛かったことTOP3」には間違いなく入るくらい、バスケは嫌でした。練習の日は、憂鬱という言葉じゃ収まらないくらい負の感情を抱えて目覚めるぐらいにバスケは嫌でした。そこで、ホントに毎日「もうやめたい」と思いながら、僕は少しずつ、体力をつけていくんです。
今では、10年前とは180度変わり、運動大好きです。
友達とバトミントンや卓球で遊んだり、毎日走ったり、バスケをやめてから、ここ数年でやっと運動の素晴らしさを感じ、自分なりに運動習慣は続けていますね。
何より、バスケがきっかけで痩せた。これが一番デカい。これはマジで良かった。
スラムダンクをきっかけに、僕の運動観は真逆に変わり、今は第一の趣味とも言える存在になっている。遅効性ですけど、じわじわと、大胆に僕を変えたマンガ、スラムダンク。あの時出逢えてなかったら、今の僕はないでしょう。みたいなことを今日ふと思ったので、書いてみた。 おわり。
(おまけ)当時実家には、スラダンの他にも「美味しんぼ」や「こち亀」など、色んなマンガが置いてありました。あの時「美味しんぼ」を読んでいたら、デート中に出た料理に対して「この付け合わせのネギがうんたらかんたら」とか言って激怒して帰っちゃうような人間になっていたので、スラダンを選んで良かった。一番好きなキャラは魚住です。一番好きな試合は、そりゃ山王戦なんですけど、それ以外なら豊玉戦が個人的に好きですね。豊玉の試合前のギスギス感が、まんま思春期のバスケ部って感じで共感100%。僕が所属していた部も仲悪かったからホントによく分かる。流川が後半に見せる執念も最高だし、桜木も成長したことで、より流川の凄さが分かってしまう。どうしようもなく自分より先を行っている(自称)ライバルに対して、桜木も内心認めつつ認めないみたいな心境になっているのが何とも言えなくて良い。
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