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関係性をソリューションにする

ずいぶん前に予約していた本が回ってきた。勅使河原真衣氏の「能力」の生きづらさをほぐす だ。

映画・ラストマイルと同じく、今の時代の変化点を象徴する本になるだろう。現代社会の行き過ぎた能力主義に一石を投じ、我々の常識の価値転倒を面白いくらいに引き起こしてくれる、痛快な読書体験だった。


  • 企業が規定する「能力」の中身のなさ

  • 客観的で、わかりやすい「能力」を頼りたい人とそれを売る人がいること

  • 個人の持ち味を踏まえ、誰となにをどのようになるか

  • メンタルヘルスすら能力のひとつに見なされる

  • 生きづらさの理由を分かっても解決はしない

  • 面倒で、大変で、分かりにくくても、主体である私を大事にする


これらを、あの世から痛烈に語ってくれる。

というのも、著者の勅使河原さんは乳がん闘病中で2児の母。この本の設定はなんと、今から15年後、自分の死後の世界を生きる子ども達と黄泉の国から会話するというもの。なんとも不謹慎なのだろう!死を覚悟したことのある人間のやることはいつも面白い。


本を通して、勝手ながら、勅使河原さんには連帯感を覚えてしまった。理由は特に、第8話「問題はあなたのメンタルー能力開発の行き着く先」だった。個人の内面のケアだけでは根本解決にならないにもかかわらず、環境・業務改善などの直接的な問題解決をしない(できない)メンタルヘルス市場を痛烈に批判する。自己責任論を傘に、人材開発とメンタルヘルスは手をつないでじゃんじゃん儲けている、と。

こうした母の発言に対して、息子のダイくんは。

どれも、個人の内面へのアプローチばかりのようだね。まあ、関係性ってソリューション化しにくそうだもんね。

著 勅使河原衣|「能力」の生きづらさをほぐす P206より


ここだ。

わたしがしたいことは、夫婦間の関係性をソリューション化することだ。夫婦間の関係性が良くないことを常識とする世間に、一石を投じたい。もちろんダイくんに言われる前にも、「それは難しいよ」と言われてきた。わかっている。

自分の能力開発やカウンセリング、コーチングには自己投資としてバンバン高いお金を払う。しかし、ことパートナーとの関係性については財布のひもが固い。理由はおそらく、能力主義社会の領域外であることと、誰もやっていないからだと思う。

時代が追い付いていないからとか言い訳する前に、出来ることをコツコツと重ねていきたいと思う。最近は、マネタイズとかビジネスモデルとかどうでもよくなっていて(よくない)、まずはサービスを公開して利用者の意見を聞いてみたいという想いの方が圧倒的に強くなっている。


ということで、ヌルっと公開します。夫婦間のコミュニケーションに課題を感じるあなた、ぜひ、お試しください!



おしまい

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