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<Throw Down Your Heart Tales From Acoustic Planet 3> ベラ・フレック

実は「發弦楽器奏者」などと名乗っておきながら、どうも相性の悪い楽器があります。演奏できるできないというより「しっくりこない」という感覚です。一つはウクレレ、もう一つは楽器の表面が皮張り(樹脂製含)の楽器。バンジョーとか三味線とか・・・です。演奏しててどーにも落ち着かない(笑 なので「カントリーやブルーグラスで使う楽器」程度の認識でしたが、たまたま彼のバンド(だと思います)や幅広いミュージシャンとのセッションを目にして、その卓越したテクニックと音楽性にすっかり印象が変わってしまいました。

このアルバムは、ベラ・フレックが「バンジョーのルーツを辿る」的な内容で、アフリカの国を回りレコーディングされたもの。ワールド・ミュージックを聴いている人なら耳にしたことのある名前もありましたが、ほとんどは地元のミュージシャンだと思われます。レコーディングをする環境としては良いとは言えない環境でしょうし、おそらくほとんどリハーサルもできなかったと思うのですが、それぞれの曲に完璧にバンジョーを絡めていく様は圧巻です。中にはアフリカの音楽というよりもコンテンポラリーな響きになっている曲もあって見事というしかありません。彼のテクニックも凄いのですが、こういったセッションではどうしても現代楽器の主張が強くなりがちなところを、「初めからあった楽器」のように響かせるところが最大の聴きどころだと思います。
余談ですが「ボーダーレス」や「ミクスチャー」を掲げた音楽というのは、どうも退屈なものが多いように思います。試みは面白いのですが、やはり最重要なのはバランスか?・・・ふとそう思いました。

ちなみに、こんな素晴らしい音楽に触れた後でも、やっぱりバンジョーはしっくりこないままです(笑


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