アルカイックスマイルでいこう「春がくるまでお待ちください」
歩みをとめた「窯のこと」
あの日は、電源を入れたとき、窯が咳ばらいしたような気がして。チリチリチリという小石が喉をまわるような。そして最高温という山にのぼりながら、いつも以上に苦しそうに唸っていたように思う。
そして最高温の表示を確認したのち、窯は歩みをとめた。
※「ブログ コッチョリーノ 」から
note用に書きおろした記事です。
手紙をかくように「延期のこと」
拝啓
立冬がすぎ、冬のはじまりです。
みなさま体調いかがでしょうか。
実は、少しうなだれていましたが、元気です。
「とうとう」が起こりました。
夏は窯をたけば苦しく、冬はろくろをひけば手が凍る。4つの季節のなかで、もっとも制作がはかどる秋だというのに。12月半ばに予定していた個展の前だというのに。
先日、19年帆走してきた相棒「電気窯」に、「とうとう」が起こってしまいました。
昨年は、窯の「血管」である電熱線が切れて修理を、今回は、窯の一番大切な「心臓」であるパーツが壊れてしまいました。窯には人間のように寿命があると、窯の職人さんが言っていましたが本当でした。
12月14日から予定していた横浜元町クロコアートファクトリー企画「我妻珠美 陶展」の会期を、以下の通り延期させていただきます。ギャラリーのご厚意で、タイトなスケジュールを調整くださいました。個展初日にお休みを入れてくださったかたもいて、恐縮していますが、ご理解くださいますようお願いいたします。
「我妻珠美 陶展」
2020年 2月8日(土)〜 16日(日)
11:00〜19:00 ※月曜定休
場所:クロコアートファクトリー
横浜市中区元町1−71 メゾン元町2F
(みなとみらい線元町中華街駅より徒歩5分)
問い合わせ:045 664 4078
旧暦では一年のはじまりの日、春を迎える「立春」。来年の「立春」は2月4日です。その5日後にはじまる個展と記憶のすみに置いていただけたら幸いです。
会期中には、ローマ帝国時代までさかのぼる恋物語「聖ヴァレンティヌスの日」もやってきます。日本の暦も、西洋の暦も、春を呼びながら近づきます。そして、コッチョリーノの作品も。
来年の春、うつわの中においしい春が入るころ、お会いしましょう。
かしこ
コッチョリーノ 我妻珠美
土鍋ワークショップ「企画のこと」
当初、個展初日であった日に、アルカイックスマイル企画として、ワンデー土鍋ワークショップを計画中。時間や内容など詳細は後日。
「土鍋 ワークショップ」(仮名)
2019年12月14日(土)
場所:クロコアートファクトリー
横浜市中区元町1−71 メゾン元町2F
(みなとみらい線元町中華街駅より徒歩5分)
あとがきコッチョリーノ
▶︎レンタル窯など様々な手段を壊れた電子回路で考え悩み。そこでもギャラリーオーナーは冷静に「いつも全力で制作する作家だからこそ、納得する窯で、納得する作品をつくるまで待ちましょう」と言ってくださいました。▶︎アルカイックスマイルとは、不安定で変化しやすい人間の感情を追求する微笑で「顔の感情表現を極力抑えながら口元だけは微笑みの形を伴っているが特徴で、生命感と幸福感を演出するためのもの」(Wikipediaより引用)。窯が壊れてからの今週はアルカイックスマイルの毎日でした。▶︎展覧会のスケジュールがぐずぐずに崩れてしまい2021年までの調整をしているところです。きっと鬼が笑ってる。大ブレイク作家でもないのに。▶︎土鍋の「Please wait until spring」の代わりにおいしい春が入るその日まで!(たま)
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