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#2 ヴィンチの風

大きな土鍋は、ミラノ~ボローニャを越えフィレンツェ駅に到着します。そこからピザ行きの各駅停車に乗り換え、エンポリ駅まで約30分コトコト走ります。ローカル線(2級路線)であるその列車のホームは、都市を結ぶ特急や主要路線のホームとは離れており、観光客の喧騒がほぼほぼ聞こえなくなったあたりに位置します。

前の回で書いたように、重い大土鍋を背負ってゴロゴロスーツケースを転がすわたしは、ちょっとした「家出娘」あるいは「モダン行商おばさん」のよう。エンポリからは車で、ついにヴィンチ村に到着。フィレンツェ~ヴィンチ村は苦労のない距離なのでお薦めの小旅行コースです。が、しかし、とにかく重い割れ物を持って歩くという旅は、距離の問題でないのです。フレキシブルでない装いが難点であり、たまに意味なく褒められるというのが達成感。

そんな疲れ果てた旅人と土鍋の、ホッとした様子は、以下のショート日記でどうぞ。


※この記事はブックレット「旅する土鍋-それでも地球はまわる-」(2014年夏発行/協力CASE gallery/デザイン坂元夏樹・加川京)に掲載されたものに加筆・修正したものです。

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有料記事は「旅する土鍋」プロジェクトの取材資金、次期ブックレット発行資金とさせていただきます。(取材・著 Cocciorino我妻珠美)


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