見出し画像

ジェノヴェーゼではないわけ #まいにち土鍋

「ペスト」や「ジェノヴェーゼ」

「〜エーゼ」(例:ジェノヴェーゼやミラネーゼなど)や「〜アーノ」(例:シチリアーノやヴェネツィアーノなど)は、地名の語尾につけて、その土地のもの、その土地の人を示す言葉。

イタリア半島、リグーリア湾をジェノバからチンクエテッレの方へ南下した海沿いから山に少し登ったある村に師匠の夏の家があり、そこで過ごすことが多かった。今年も行けないけど。

リグーリア湾からジェノヴァ方面を望む


海の近くの地元のよろずやで松の実(ピノーリ)を買って、リグーリアの庭で採ったバジルでつくるので、わたしみたいなネイティブじゃない人がつくっても「ペスト・ジェノヴェーゼ」と呼べるんじゃないかと思ってるけど、どうなんだろう。

各家庭でつくりかたも味もちがうあの緑色の「ペスト」(バジルなどをつぶしたどろどろの調味ソース)を「ペスト・ジェノヴェーゼ」と呼ぶ場合、それはリグーリア産のバジル(原産地名称保護制度DOP)でつくったものなんだそうで、通常イタリア人は、あの緑色のバジルソースを単に「ペスト」と呼んでいる。(だから我が家でつくるものは「ペスト・トウキョウーネ」かな。(ただしペスト・ミラネーゼとか言わないわね)

🌿  🌿   🌿



ちなみに「ジェノヴェーゼのパスタ」(パスタ・アッラ・ジェノヴェーゼ) や「ジェノヴェーゼのソース」(スーゴ・ジェノヴェーゼ)と言ったら、野菜と牛肉とちょっとのトマトで煮込んだくてくての茶色っぽいソースのことで(とってもおいしい)、ナポリやカラブリアに行くと出てくる。

もう、こんがらがるでしょ。
だからあの緑色のソースは「ペスト」でOK。



松の実くださいな

リグーリアの海で泳いだ帰りに寄れる小さなちいさな町には、果物と野菜も売ってるパン屋、魚屋、肉屋、ピザ屋、ジェラート屋、薬屋、玩具や浮輪やビーサンなど売っているお店、新聞屋、バール、そしてパスタや缶詰やワインなどなんでも売ってるよろず屋があって、そこで松の実をグラム単位で買う。子どものころ好きだった日本の乾物屋さんで量り売りするのと似ていて、ふわぁっと懐かしさが蘇る。

楽しくてずっとぐるぐる見ていたくなる。

手際のよい嫁と母と、あれは息子だろうか、それとも義息子だろうか、水のボトルをドンと運んでからお客とずっとしゃべってる。小さなよろず屋のレジは長蛇の列でお客はパタパタ新聞で仰いで順番を待っている状況にも気遅れせず。前のおねえさんは電話で「ランチのパスタに使うツナ缶買ってるんだけどさ、もう混んでて暑くて気が狂いそうよ」などと電話の相手に鬱憤を晴らしてる。だんだん、ますます、お腹がすく。

私の順番がきたので「こんにちは、松の実100グラムくださいな」と言うと、計りで測ってスコップで白い紙の袋にささーっと入れて「ほれ、ピノーリ」と渡されてお金を払って(いくらかあいにく忘れた)「ボナペティート」と言われ一瞬でおしまい。

リグーリアにて「ペスト・ジェノヴェーゼ」



さてペストつくろうか

東京の庭のバジルは妖精たちの森のような状態になっており、まいにち摘み放題だ。穂先が出ないよう若いうちに上部を切って食べていく。すでにこの夏もペストをいくつかの瓶につめた。イタリア現地で見様見真似で覚えたのでレシピはない。

わしわしっと庭のバジル150グラムくらい。松の実をカップ半分くらいかな。パルミジャーノもカップ1/2くらいかな。合宿のみんなには最高のものを食べて欲しかったのでヴィンチ村の貴重なオイルカップいっぱいくらいかな、たっぷりでつくった。

本来は大理石のモルタイオでつぶすのだが、今回はフードプロセッサーを使った。温度上昇がない大理石でつぶすと変色が防げるのだが、木や陶器のものも見たことがある。そうだ、こんどモルタイオ コッチョリーノつくろう!



7月25日()
盛る「土鍋コッチョリーノ3合炊きサイズ」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?