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偏愛読書ページかじり2 「たまらない食の風景」

まえがきコッチョリーノ
読書の秋2020 ということで、今月はちょっと意識して連続で読書がらみの記事を仕立て上げている。ハッシュタグの課題図書とは関係ないが。食いしん坊だから、本もかじるかじる。自分への覚え書きスタンスで充分な記事だがお許し願う。


ときめく本屋

最近ときめく文芸誌が増えてきたようにおもう。工夫と英智をこらした文芸が明るい。

文芸誌をはじめ、ちょっとマイノリティな本は書店で一挙に探すことがむつかしい。少し前に催された河野道和氏の「本屋、あつまる」イベントなんて、すごくおもしろかった。それぞれの本屋さんが話が止まらないくらい話してくれたり、翻訳家さん自ら読書会の宣伝をしたり、たいそう熱くて、あれは本当によい機会だった。


外国はそこにあった

学生のころから洋書をかじることが好きだった。意味がわからなくてもかじれる、いっしょけんめい歯を立てれば、かじれる!

学生時代は、六本木の青山ブックセンターで欧州ファッション誌や海外の料理本をなめるように漁り、六本木WAVEのリブロでは現代美術図録や欧州インテリア誌を漁った。

渡伊するまでの段は、イタリアの絵本や現代美術家の図録や本をかじった。語学学校にいく予算もなかったから、いっしょけんめいかじった。歯が折れたわりに上達しなかったけれど。

そんな外国は、本屋にあった。



たまらない文芸誌

過日「朗読会とサル」という記事を書いたが、またもや文芸誌MONKEYネタ。

さて、楽しみにしていたMONKEY(英語版)VOL.1 (Switch) が刊行された。これまでのナンバーからピックアップされた英訳、書き下ろし英文、イラストや写真もたまらない。

残念ながら、内容を紹介するほど英文能力に長けていないので、選び切れない中で、エキサイトした英文読み物を2つだけ紹介したい。


「THE HEART OF THE LUNCHBOX 」
Satoshi Kitamura


前回は、緻密イラスト(手描き)による断面図・図鑑などの偏愛を書いたが、本誌のページをぱらぱらめくると、はっ!絵本作家(翻訳家) きたむらさとしのイラストを見つけた。マンガのコマ風に流れる絵と英文を見つけたときは「きたーっ!」と叫んだ。

ペン画の弁当物語なんて最高じゃないか。そこに添えられた英文「ランチボックス」は、なにを言われても「弁当」であり、和食の誇りをそのなかに見た。こんな想いになれるのか。幼稚園児から高校生になるまで、毎日、息子につくっていた弁当だからこそ、胸を打つ。日本文化が英文で紹介されることも嬉しく思う。

彼は、大好きな「象のエルマーシリーズ」(デビッド・マッキー/BL出版)の翻訳者。たまらないの二乗だ。

ページとの出会い、ああたまらない。
つづいても、おいしい言葉がいっぱいだ。

「SUNDAY BREAKFAST」
Akiko Yosano


次はこちら。ご存知なかたも多いだろう、与謝野晶子の詩「日曜の朝飯」。

「朝飯」という言葉が「ブレックファースト」になるだけで、食卓にさしこむ朝陽まで変わり、テーブルの配置やカーテンの色まで変わってくるような不思議さがある。

そこには「フランスパン」や「バタ」や「ジヤム」、そして「豆ごはん」や「蕪の漬物」まである。そんな風景が大好きで、若かりしころ、ぞくぞくしながら読んだものだが、英文で読むと、与謝野晶子がいまもそこにいるような気がする。

和食と洋食。
日本語と外国語。
日本は、そこにある。

時代は変わっても、魅力的なものがある。
偏愛を、もっとかじろうよ。


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