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一万個以上のうつわと空っぽでも土鍋 #まいにち土鍋

個展「道」は最終日を迎えた。

コッチョリーノの小さな工房から生まれた作品たちが日本各地、海の向こうにもたくさん散らばっている。まいにち誰かとどこかで生きていると思うと何年経ってもドキドキする。

帰国して独立窯を持ってから、どれだけたくさんの方々に会っただろう。年に2〜3回ペースで展覧会をして、毎回100〜200の作品を展示してきたとすると、1万個以上のうつわをつくって世に送り出したことになる。昨日は「直島にいました!」とリポートがあった。少し前は「イタリアで見ました!」と。だいぶ散らばってきたな感があってうれしい。

その中にカウントされなかった今回の250点あまりも羽ばたいていったのだから感無量だ。



第一号土鍋コッチョリーノ

15年ほど前、最初につくった我が家の土鍋第一号を展示している。2年ほど自宅で試しに使い、安全性と使い勝手を確かめた上でようやく展覧会に登場した。第一号は形、蓋の上のつまみに大いなる迷いがある。丘のような蓋に引いた線もまっすぐでない。

道のりは、すべて人の力で動かされた。
風も吹いたし、波も立った。

経験を重ねればうまくなる。
豊かな経験は頼もしい反面、驚きと滑稽さをなくす。

明日から、もう一度空っぽになる。
そして、自分でもう一度驚きから始めようと思う。



4月23日(土)記録  ※最終日は24日(日)
置く「土鍋コッチョリーノ」

我妻珠美 個展「道」展にて


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