見出し画像

新作着物「境界線」について

(※この記事は、11/12・18に開催したinstagram liveの文字起こしまとめです)

こんばんは、着物・オブジェアーティストの重宗玉緒です。

10月はほとんど海外にいたので海外からのライブでしたが、久しぶりにちゃんと着物を着てアトリエからの配信です。


帰国後2週間ほど経ったのですが、いろいろと溜まった仕事に追われて、旅日記をまとめたいなあと思いつつまだまとめられていません。

更新の励みになるので、旅日記がアップ出来たらぜひフォローといいねをお願いします。

<近況>

倭物やカヤさまとのコラボアイテムが発売しました。

ビジュアルブックのアートディレクションとスタイリングも担当させていただきました。



ビジュアルブックの内容はカヤのECサイトでもご覧いただけますのでぜひご覧ください。

<新作着物のご紹介>

新作たくさん作ったので1〜2柄ずつご紹介します。

今日は「境界線」というタイトルの柄について。

フェンスと植物柄の小紋は2色展開 (ブラック・ピンク)

月モチーフを加えて絵羽柄に展開した訪問着も2色あります。

この着物は「まばたき」という連作の絵画作品を元にデザインしています。

https://static.blog-video.jp/?v=O8isPOhWX6J4IG1w3UdwLLTW

(この絵画で、帯もデザインしました。こちらは11/30までの期間限定で受注しています。)

この着物のベースにしいてあるフェンスの柄はこの下絵から。

これがこの着物に「境界線」と名付けた理由で、フェンスは「向こう」と「こっち」のあわい・境目で、区切りをつけるもの。
制作テーマにしている「メメント・モリ(死を想像せよ)」というテーマの中にある「生」と「死」
その境目、あわいの象徴として、フェンスとモチーフとして使いました。

生と死は繋がっているものですが、その境目にははっきり境界があって「あちらがわ」「こちらがわ」に分断される。
日本的に表現すると「三途の川」もそうですね。
三途の川もいつかモチーフに使ってみたいです。

以前近いイメージで制作した絵画作品と、それを元にした名古屋帯「来世」

あと最近私がずっと考えている「体の内側」と「外界」の境目である「皮膚感覚」などにも繋がっていくのですが・・・。

ここはまだ明確に言語化出来ていないのでいまのところもにゃっとしておきます。

あとはこの小紋には見えてないけど、この植物の下には目があります。

「桜の木の下には死体が埋まっている」というのもとても詩的な表現で好きですが、そんなおどろおどろしいものではなくて、生物は死んだら土に還って、栄養分になって、次世代に繋がって・・・という循環になるので、そういうイメージも込めて制作しました。

絵羽の方は、植物はフェンスの手前にあって、お月さまはフェンスの向こうに配置しています。

私の中ではフェンスという境界線によってへだてられた「あちらがわ」「こちらがわ」の別の世界が2つとも見えている、というイメージで制作しました。