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【京伝びとストーリーvol.3】玉乃光の玉は「魂」なんです。

玉乃光命名に込められた想い

玉乃光酒造は、350年前に和歌山県で創業しました。
「玉乃光」という銘柄は、和歌山県の熊野速玉大社に帰依した初代・中屋六左衛門が宮司から拝受しました。

紀州・熊野三山の一つ熊野速玉大社は、世界遺産にも認定された「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の1つ。

熊野速玉大社の主神は、国産みの神様イザナギノミコトとイザナミノミコト。「主神の御霊の光を映して輝くように」という願いを込めて、「玉が光るお酒」という尊い名前が付けられました。

毎年、新酒ができると熊野速玉大社にお酒と酒粕を奉納に行きます。宮司様と毎年お話をさせていただくと、身が引き締まる思いがします。今年も境内でお話をお伺いさせていただきました。

今の宮司様だって、もちろん私だって、350年前に玉乃光の名前をいただく際に、どのようなやりとりが実際にあったのかなんて分からない。
でも、その場所でその当時のことを想像するだけで、使命感がわいてくるんですよね。ちなみに、熊野速玉大社は1,900年ほど前に創建され、1,200年ほど前には桓武天皇もお参りに来られていたとのことです。そして、350年前には玉乃光のお名前も頂戴したということですね。

日本酒と神道

熊野速玉大社は昔から、貴族・皇族だけが入れる特別の場所ではなく、誰しもが参拝できる場所だったそうです。宮司様から教えていただく神道の教えは、自然との共生。
サステナブルな考え方は、神道そのもの。お話をお聞きするたびに心に染みます。今回お話をしている中で、小さなバッタが一匹迷い込んできました。宮司様はバッタをやさしく拾い上げると、今日はもう3匹目ですと言いながら、バッタもお参りしてもらっていいんですよと。

日本酒と神道は密接な関わり合いがあります。神道は経典もなく、開祖もいない。世界的にも独特の宗教です。日本人はよく無宗教といいますが、そんなことはない。お米の一つぶを大切にしたり、お天道様が見てるとか、もったいないとか、全部神道の教えです。
自然に対する畏怖は、日本人の心に代々受け継がれている日本の精神文化だと思うんです。

そんな神道において、神様にお供えするものが、米、酒、塩、水です。
これってもう日本酒そのものですよね。日本酒は神道であり、日本人の心なんだと思うんです。

「お神酒としてお供えする日本酒は、神社と切っても切れないものです。玉とは輝く御霊(みたま)の意味。光り輝く魂を感じさせる、実にいいお名前ですね」

宮司様から頂いたうれしいお言葉です。


玉乃光の玉は「魂」のこと

私が座っている場所と同じところで、桓武天皇もお参りされていましたとお聞きしました。ここまでタイムスケールが長くなると、もう何が正しいとかどうでもよくなってきます。人の人生数十年。私にできることなんてほんとに微々たるものですが、悠久の時の中で、私も役目を果たしたいと心から思います。

玉乃光の「玉」は光り輝く「魂」のこと。玉乃光のお酒のメイン商品の名前も「酒魂」なんです。

玉乃光 純米吟醸「酒魂」

酒魂っていう名前、初めて聞いたときはなんかダサく感じて、しっくりきてなかったんですけど、今は最高の名前だと思っています。きっとこの名前を付けた今は亡き先人は玉乃光のすべてを捉えてこの名前にしたんだろうな。

私も同じだけの理解に達せられているのだろうか。今はもう確認することはできないけれど、こうやって形にしていって、後世に残っていくようにしておきたい。

玉とは。光輝くの酒。玉乃光。
自然を敬い、自然に感謝する。
筋が一本通ったまっすぐなお酒。
時代に左右されずに、を守り抜く一筋の光。
玉乃光。

いい名前だ。
名前に負けないように、魂込めてやっていきます。

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