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【京伝びとストーリーvol.4】  日本酒に人の想いを込める

日本酒の流行りの変遷

日本酒には流行りがあります。時代時代に愛されるお酒があり、食文化の変化に伴い、好まれる味わいは変わってきました。

玉乃光酒造は、1964年に純米酒を復活させ、1980年以降、「玉乃光」ブランドとしては、純米吟醸酒と純米大吟醸酒しか作っていません。以降40年以上純米吟醸酒にこだわって、製造してきました。

はじめは純米酒は原価が高いため、売価が高くなり、売るのに苦労したそうです。しかし、酒税の制度の変化とともに、世の中に受け入れられるようになり、次第に大人気になったとのことです。

ただ、玉乃光もずっと純米酒だけを造り続けているわけではありません。今でこそ純米吟醸酒と純米大吟醸酒作らない純米吟醸蔵ですが、実は「玉伏見」という別ブランドで、アルコールを添加するお酒(アル添酒)も2011年まで造っていました。

近年では、若者の酒離れが進む中、ワインのように香りが華やかで、アルコール度数が低く、フレッシュな日本酒の人気が高くなってきています。世界に日本酒が輸出されることも多くなり、アルコール飲料の種類が多様化する中、グローバルに通用するお酒が流行ってきているのだと思います。時代の流れは、アル添酒から純米酒、そしてワインのような日本酒です。

日本酒の造り手たちの想いを込める

玉乃光のお酒は現在の流行とは異なり、熟成させて飲むのに適した日本酒が多いので、時代に合わせた酒造りも必要だという意見が造り手の中から上がります。

一方で、玉乃光が守り続けてきた製法、こだわり続けてきた味を時代にとらわれず守り続けることが大切という意見もあります。

私は、どちらが正しいということはないと思っています。時代の変遷に伴って対応することも大切だし、自分たちにしかできないことを守り続けることも大切。お酒の味の方向性はいろいろあっていいと思います。ただ、玉乃光が大切にしている純米造りは守り続けたい。

そして、それよりもっと大切なことがあると思うんです。
それは、造り手の想いをきちんとお酒に込めること。造り手とは、酒蔵だけではなく、農家さんや、瓶やキャップのメーカーさんや、デザイナーさんも含めた、一本の日本酒を完成させるために携わってくれた人すべての人の想い。

お米つくりって、本当に大変。農家さんは言います。農家にできることなんてほとんどないって。台風が来たり、病気になったり、気温が高すぎたら、もうどうすることもできない。自然との共存なんです。酒造りもそう。お酒のなかにはたくさんの微生物がいます。この微生物が元気に働いてくれいいお酒を造ってくれる。お酒を造るのは人間ではなく、微生物なんです。

お酒造りは自然との共存。だから自然崇拝の神道との関連が深いんだと思うんですよね。自然を敬い、共存し、毎年毎年違った条件の中で、酒造りは行われるんです。だから、毎年毎年本気でやらないといけないし、毎年違ったストーリーができるんです。

それが良くないですか?

毎年同じことを繰り返してるんじゃないんです。自然との共存の中、毎年いろんな偶然が重なって、人の想いが重なってお酒ができるんです。

人の夢は終わらねぇ(by黒ひげ)

毎年毎年違う条件で米造り、酒造りは行われます。それが楽しいんですよね。今年は難しかった。来年はこうしたい。その繰り返し。人生そのものですよね。きっと永遠にゴールにはたどり着かないんだと思います。

でもそれがいい。

味の方向性はいろいろとあっていいと思うんです。時代に合わせる必要はあるし、合わせない必要もある。ただ、どんな味だったとしても、情熱をもって、想いをのせて造りたい。

京伝びとは、造り手のそんな思いをのせたお酒を届けていきたいと思います。2023年3月に初めて京伝びとブランドのお酒のプロトタイプが完成します。どんなお酒になるかは造ってみないと分かりません。きっと毎年毎年あーでもない、こーでもないと言ってずっと続くんでしょうね。

人の夢は終わらねぇ!
私の大好きなワンピースで黒ひげが言った言葉です。

私はお酒造りは、人生そのものだと思っています。できあがったお酒の品質も大切ですが、情熱を注ぎ続けること自体が人生の目的なのかもしれません。お酒を飲む人たちそれぞれに人生があって、夢があって、そのために必死で生きています。そんな人たちが京伝びとのお酒を飲んで、明日もまた頑張ろうって思ってもらえることが一番うれしい。

まだまだ、お酒の開発はこれからですが、情熱だけは大切にしていきたいと思います。

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