見出し画像

【京伝びとストーリーvol.5】玉乃光にしかないものって何だろう?

玉乃光しかないもの

玉乃光には他の酒蔵が真似できない魅力が3つがあります。これら3つの魅力のかけあわせが玉乃光にしかないものだと思うんです。
それは、①350年の歴史、②世界一魅力的な都市京都にあること、③手造りにかける情熱。
日本酒市場がどんどん縮小していく中、自分たちにしかない世界観をしっかりと作っていかなければ、生き残ることはできません。そして、それは品質ではなく、心に響くものでないといけないと思うんです。こんな時代だからこそ、未来に残していきたいと思える伝統文化でありたい。

創業350年の歴史

江戸初期、延宝元年(1673年)に創業した玉乃光酒造は、紀州藩二代目藩主・徳川光貞公により酒造免許を賜った御用蔵でした。
徳川家が認めた御用蔵はかつて二十ほどあったそうですが、今や現存するのは玉乃光酒造だけです。
第二次世界大戦の大空襲で、場所も財も失ってしまった11代目蔵元の宇治田福時は、苦境にも負けず、日本酒愛をバネに酒処伏見の地で再起を図ります。
戦後の日本で日本酒といえば醸造アルコールと調味液を加えた「三増酒」。しかし福時は違いました。
『神話から続く日本の誇るべき酒、日本酒は“純米酒”だ』
こうして本来の日本酒を取り戻すことに尽力し、昭和39年(1964年)、玉乃光は業界に先駆け「無添加清酒」として純米酒を“復活”させました。今でこそ注目されている純米酒ですが、当時、日本酒は階級制。2級酒にも関わらず高価であった純米酒は敬遠されました。それでも信念を貫き、粘り強くおいしさを伝え続け、ついには、多くの方々に支持していただけるようになりました。

世界一魅力的な都市京都

玉乃光酒造は京都・伏見にあります。京都駅から車で20分の好立地。ほとんどの全国の地酒メーカーが交通の便がよくないところにあるにもかかわらず、世界一魅力的な都市京都の中心地にあることは、うれしい。
京都には独特の世界観があります。神道、禅や茶道を始めとした精神文化が発達しています。それは日本酒にも通じるところがあり、京都から発信するからこそ伝わるものがあると思うんです。
コロナももうすぐ終わります。観光も戻ります。世界中の人々が京都に訪れます。京都に訪れた人たち全員に、京都のすばらしさを、伝統産業の奥深さを伝えたい。そのために蔵を改修し、玉乃光の世界観を構築したいと思っています。

手造りにかける情熱

玉乃光は昔ながらの伝統的な製法を守り続けています。最も大切にするのは、江戸時代から受け継がれる「手づくり」の製法です。自動蒸米機など大型機械を導入せず、甑(こしき)と呼ばれる蒸し器を使い、米麹づくりもすべて手作業。2週間ほどかけて醸した酒母に麹、蒸米(むしまい)、水を加え、「添仕込」「仲仕込」「留仕込」という昔ながらの三段仕込みで造ります。
米100%の純米酒こそが日本酒本来の姿であり、日本の文化を守ること。伝統的な手法を次世代へと伝えていくことが、玉乃光酒造の信念です。
それは、日本酒にかける情熱の結果です。もしかしたら、設備を導入した方が、効率的においしいものを造れるのかもしれない。でもやっぱり手作業がいい。暖かいし、嬉しい。私たちが届けたいのは日本酒の味だけではないんです。
伝統産業を通じて、日本の情熱を世界に届けたい。
玉乃光は全国の手造り蔵としては最大規模。手造りにこだわりをもって、手造りの愛とともに生きていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?