[読書感想文]『これは経費で落ちません7』青木祐子著
【あらすじ】
主人公の森若沙名子は勤め先の天天コーポレーションが2つの会社を吸収合併するあおりを受け、主任に昇進する。今回はその合併における調整を主軸として話が展開し、森若さんはいつも考える職責は職務範囲、つまり働き方を改めて考える。また、周囲の結婚を受け、森若さんの心も揺れる。恋人、太陽との関係にも変化がうまれる。
この小説に素晴らしいところは、登場人物が多いのにも関わらず、前作から間があいても読んでいるうちにすぐにどんな人物だったかを思い出すことができるところだ。キャラクターが「立っている」のも理由のひとつだが、毎回、どんな人物でどんな事件があったのかをサラリと書いてくれるため、すぐに思い出せるのだ。
そんなシリーズも7巻になった。恋人、太陽の前では少しずつ変わってゆく森若さんだが、職場での姿勢には全くブレがない。自分の職務範囲内で給料に見合った分だけ最善を尽くす。非常に冷静だが、周りからの評価も高く好かれている。それはきと、今回もあったように、ほんの少しだけする余計な仕事に会いがこもっているからだろう。「人のために仕事していたら壊れちゃいますよ」というセリフが出てきて、森若さんはこれに対してあまり反応を示さない。しかしきっと自分と自分の仕事を愛しているのだと思う。
個人的には「やっかいな」女、千晶の動向が非常に気になる。認めてほしくて、先を読んで必要以上に頑張る人って、周りに結構いるよね。そこに責任感やら正義感やらの「やっかい」な感情が絡むと人はきっと攻撃的になるのだろうなぁと思う。