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取り留めもない話

取り留めもないってこんな漢字だってことを初めて知りました。たまねぎです。

サークル終わって、地元の駅に止めてある車を動かし始めて漸くお腹が空いたことに気づいた私は、「夜に食べるともたれるんだよな」「でも夜抜かさずに3食食えって口うるさく言う恋人(そういう自分は朝ごはん抜いてやがる)もいるしな」と葛藤した末に、ファミレスやらお弁当屋さんやらの候補を捨てて無難にコンビニに来たのだった!

てれれれてれーん てれれれれーん

聞き馴染みのあるメロディ。
私の最推し、緑色のコンビニ。

優柔不断レベルマックスの私はコンビニで晩ご飯を選ぶのはかなり苦手。時間がかかる。

なんかあったかいやつ…と思って目に入ったのはおでん

いやあったかいものは好きだけどコンビニのおでんはなぁ…と思いつつ、ちょっとだけ気になって看板を見てると、夜バイトっぽくない感じの爽やかなお兄さんがそそくさと寄ってきました。

「何か食べられますか?」
「いえ、ちょっと見てみたくて」

私の返答がたぶん聞こえてなかったのか聞いてなかったのか、お兄さんは「今さっき大量に購入されたお客様がいまして…」とおでんの蓋を開ける。

「何が残ってるんですか?」と聞くと、どうやらおでんのレギュラー的存在が軒並み持っていかれた模様。(大根とかもち巾着とか卵とか)

相変わらずの運の無さだなと溜息をつきそうになったけど、まぁこの状況で「じゃあいいです」っていうのは気が引ける。
しかもこのお兄さん、本当に笑顔が眩しいのだ。昼バイトにした方がいいよ。

「じゃあ…だし巻き玉子とウインナー巻きで…」

なんとも言えないマイナー注文。
しかもなんと私、人生初のコンビニおでん

母親の得意料理がおでんなおかげで、家で作られたものしか食べたことがなかったんです。

まさかこんな形で食べるとはな…と思いつつ、鮭おにぎりとその2つの具材を購入。

汁物ですので気をつけてくださいね、と始終笑顔のお兄さんに心癒されながら、車の中でモソモソとおでんのつゆを飲むわけです。

ま〜味の薄いこと。もっと白だし入れろや。
だし巻きのだしの要素ないやんけ。

ほらやっぱり美味しくないじゃん、おうちで食べた方が美味しいじゃん、とぶつぶつ言いながらも、お兄さんのことを考えるとこれが正解だった気がする、と思いながらだし巻き玉子を齧った。
もれなく舌を火傷した。

こういう接客業って、なんだかんだ目立たないお仕事だと思うんです。
だっていちいち店員の顔とか覚えないじゃん。通わない限り。

それなのに、今後の人生の中でたぶんこの5分間しか関わらない私相手にあんなに良くしてくれるあのお兄さんほんとすごいな、と


私は今でこそ慎ましく生きたいと思うタイプですが、幼稚園から小学校2年生にかけてはとにかく目立ちたがり屋で。
将来の夢はアイドルでした。

小学3年生の時に教師を志すようになりましたが、そのきっかけは、親が「このままアイドルの夢を追いかけられては困る、何か代替案…目立つ職業…」と思った結果の「英語の先生なんかどう?ALTの先生、学校で目立ってるでしょ?」という助言でした。

そもそも私は目立ちたいから教師を目指すようになったんですね。


今ならわかりますが、教師って目立っちゃいけない職業なんですよ。
他人の人生に影響を与えることが出来る仕事、とも言われますし、それを否定はしないですけど、そもそも学校で主役なのって誰ですか?

もちろん子どもですね。

学校の中で教師ってほんと黒子みたいな存在で。(と私は勝手に思っているんですが)

結果的に知識を授けてるように見えてるだけで、実際は子どもが自分で興味があることを学んでる、そういう風に錯覚するような状況を作るのが本来のお仕事なんです。

私は「授業は二次創作の小説を書くのと同じだ」と思ってます。

与えられた素材から1つのシナリオを書いていくんです。もちろん伝えたいことは明確にしてね。

面白い話には伏線がたくさんあるように、面白い授業にも伏線がたくさんあるんです。

教師は女優であれ、ともよく言われますね。
私は脚本家でもあると思うんですよ。


目立ちたいがために教師を目指したのに、接客業もびっくりの目立たないお仕事だったとは。

ただ、接客業と決定的に違うのは、5分の関係じゃなくて、1年、下手したら一生の関係を持つっていうところですね。


なんかのnoteでも言ったけど、私は人間が大好きですし、特に「人の変化」が大好きなんです。

たしかに目立たなくて慎ましいお仕事だけど、人が変わる瞬間に立ち会えるお仕事って最強に楽しくないですか?私はめちゃくちゃ楽しいと思うんですよ。絶対飽きずに毎日過ごせるじゃん。


こうしてサークル終わりの車の中、1人で味の薄いコンビニおでんを食べながらこんなことをぼんやり考えている私も、来年から「女優であり脚本家であり黒子的存在」としてこれからの人生歩んでいくようです。


人生初のおでんは不味かった。
でも、美味しかった。



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