2016年1月の記事一覧
さすらいのノマドウォーカー 23話
「本日は不肖の私目のために、わざわざ送別会を開いていただいてありがとうございます。大変恐縮しております。
最後の2ヶ月は、プロジェクトリーダーであるにもかかわらずメンバーにおんぶに抱っこ状態でした。想定を上回る業績があがっており、メンバー、特に副リーダーの増田さんには頭があがりません。今後は―――――――――」
私物をダンボールにつめ、シェアハウスの住所を印刷した送り状をペタリと貼り付けた。あ
さすらいのノマドウォーカー 22話
小さな文字が見え辛くなったとこぼしていたので、大きめのフォントサイズでプリントした。退院してからと考えていたが、病室で渡すことにした。登場人物が自由に出入りするシェアハウスは、リスクが高すぎる。
外泊をつつがなく終え、退院日も金曜日に決定した。
読んでもらうなら今しかないと、この2か月書き溜めていた「ほぼ私小説」を、唯一の読者に手渡した。置いて帰る予定だったが、同室の患者の検診にきた看護師に出
さすらいのノマドウォーカー 21話
この街に手頃な物件があればと期待していたのだが…儚く散った。予算と広さと立地条件が合わない。うまくいかないもんだなあ。あまりのんびりしてもいられなのに…
部長はもうこなくていいと言ってくれたが、デスクの私物を片付けなければならなし、一度も顔を出さずにはいさようなら、とはいかないだろう。
憂鬱だ。主に渡辺との邂逅が。
こっそり忍び込んでひっそりと幕引きはできないものか。しょうもない画策を脳内で繰
捺己さんに描いてもらった!
捺己(なつき)さんが「マガジン購入者にアイコン描きます!!!」とう企画をしていらっしゃたので、わがままを言って、連載中の小説「さすらいのノマドウォーカー」のタイトルバナーとマガジンの背景に使用させていただきました!
捺己さん、ありがとうございました!
21話からタイトルバナーを変更する予定です。
丸数字が好きでよく使用しているのですが、①~⑳までしかなく…21話からどうしようかと悩んでいたと
さすらいのノマドウォーカー⑲
マグカップを包み込んだまま放心していたらしい。鈍い痛みが首筋から肩にかけて覆いかぶさっていた。
機械的にカップを口へ運ぶ。ひと肌程度にぬるまったカフェオレは味蕾をなんら刺激しなかった。
それでもカフェインは、その作用を忠実にもたらしてくれた。頭がクリアになり、肩の痛みの層は薄くなった。
カフェインは気から。カフェイン効果は気の持ちよう。
両手では持ち上げ難いとようやく気付いた判断能力は、人