【百線一抄】063■みちのくの幹を支える青い樹の電車ー青い森鉄道
いわて銀河鉄道線とともに並行在来線を引き継いで、新幹線が八戸
まで延伸したときに産声を上げたのが青い森鉄道である。設立当時
は目時ー八戸間という短い区間の路線だが、青森まで新幹線が延び
たら八戸ー青森間も運用区間として追加される。青森延伸は9年後
だったので、この間の姿が言うなれば「仮の姿」だったといえる。
生い立ちを紐解けば青森まで線路がつながったのが1891年。青
森と盛岡を一気に開業させたのが日本鉄道であった。国有化後は、
日を重ねるごとに信号場や駅が増設され、幹線としての役割を備え
た路線として成長していく。終戦後も輸送力増強のために信号場を
駅に昇格させたり、一部区間の複線化も実現するが、現在の状況に
なったのは1968年、しかも東北本線の全線複線化と電化完成を
迎えることができたのは白紙ダイヤ改正のほぼひと月前であった。
東北新幹線が盛岡まで開業してからは、青森への延伸をじっと待つ
ばかりの期間が続く。国鉄民営化を経てJRの運営に変わると、新
幹線開業後の並行在来線はJRから経営分離するという方針が加わ
り、青森県が八戸以南の在来線分離に同意する意思を示した。これ
を踏まえて八戸以北も同様の流れとなり、新会社設立が決まった。
引き継ぎ時は電車4両で始動した青い森鉄道だが、新駅開業などの
取り組みにより、新青森延伸時に追加した車両だけでは足りず、切
妻顔の現有車両とは異なる新型車両を製造することになった。いわ
て銀河鉄道線を経由して線内を通過していた夜行列車も次第になく
なり、通過列車は野辺地で接続する大湊線の快速列車と貨物列車ぐ
らいとなってしまったが、それを補うに余りある地域密着型の施策
で周辺地域の交通機関や施設などとの取り組みを繰り広げている。
イメージキャラクターであるモーリーは、電車の側面などで愛嬌を
振りまいている。緑の森の中で、突然生まれた青色の木。かわいい
妖精の如くあちこちに顔を出す姿は沿線ではもうおなじみ。列車の
車内で案内業務についたり、駅業務のサポートをするアテンダント
もさることがながら、どこかゆったりとした、緩くて温かい雰囲気
がうまく表現されている。青森市内の再開発とともに、新駅の設置
などが進められていく青い森鉄道線、今後もさらに楽しめそうだ。
それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。
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