2019.05.21 浦和レッズ vs 北京国安@埼玉スタジアム2002 ~雨上がりの夜空に!~
さながら台風のような激しい風雨は、夕方には止んでくれました。ACLグループリーグ最終節は同時刻開催の原則に従い、普段より30分早い試合開始時間。職場からその時刻に間に合う為には、一刻の猶予もありません。終了時刻になる前に作業着から着替え、時間と同時にタイムレコードにカードを押し込み、自転車に乗って即ダッシュ!会社での冷たい視線と引き換えに得たわずかな時間を無駄にせず!自転車のペダルに浦和レッズへの愛を乗せていざ、埼スタへ!
悪夢のような金曜日の試合、誤審騒動に巻き込まれた挙句の大逆転負けからわずかに3日。大胆なターンオーバーにより引き続き先発となったのは柏木、鈴木、西川の3人に抑まっていますが、あの試合のショックをはねのけることができるのか。そして、前回対戦時には全く攻撃ができず、90分間に渡りサンドバック状態で耐え凌ぐしかなかった北京国安相手に、どう立ち向かうのか。
本日はこの位置から。アウエー北京サポーターも多く訪れて、気合の入った応援をしていました。
試合はいきなりアクシデントから始まります。開始早々、柏木選手が相手選手と交錯、しばらくはピッチ上に残ったものの痛みに顔を歪めたまま、13分に長澤選手と交代します。このプレーが影響したのか、主審が厳しめのファウル判定を重ね、中断する場面が続く序盤でしたが、この交代の前後から北京国安のボール保持率が高まり、強力な外国籍選手が浦和に襲い掛かります。
北京国安は、まさに中国の強豪チームの典型というべきスタイルで、専守防衛の硬い中国人DFを最後尾に並べ、中盤にゲームメイクできる現役ブラジル代表、R・アウグストを軸に、俊足のサイドアタッカーを配置し、バカンブ、ビエラという強力な点取り屋を配置した布陣。細かいパスワークも整理されていて、完成度の高いチームです。徐々にエンジンがかかり始めた北京国安は、2つ、大きなチャンスを作ります。21分、セットプレーからの流れからバカンプのヘディングは西川の正面。そそして23分、カウンターからキーパーと1対1の場面、これは最後まで体勢を崩さずに間合いを取った西川のファインセーブ。前回アウエー対戦時に、度重なるチャンスをことごとく逃し、浦和の勝ち点獲得の立役者と言われたバカンブ、この日も悪夢は続きます。
北京国安のサイド攻撃が活発化し、浦和のエリア内での攻防が激しくなりますが、同時に、中盤の人数が薄くなります。そのわずかに生まれたスペースを、二人の選手が躍動します。
長澤と武藤。この日の二人のプレーは、まさに圧巻でした。
前半34分、センターサークル付近でボールを受けた長澤は、後方に一旦ボールを預けて前へ突進。出てきたボールを武藤が受けて、横を走る長澤に渡すと、長澤はペナルティエリア正面、相手選手が密集している中をフェイントでくぐり抜け、そのままシュート!誰もが望んだ先制点をゲットします。
そして41分。浦和のハーフスペースでこぼれてきたボールを、胸でトラップした長澤は、R・アウグストのマークに遭いながらドリブルを開始。激しいプレスを受けながらも持ちこたえ、R・アウグストを置き去りにすると左サイドを一気に疾走。ゴール正面にドリブルを差し向け、敵を充分に引きつけてからラストパス。そこへ走り込んできたのは武藤でした。
ここ数試合の鬱憤を一気に晴らす2ゴールに、浦和サポーターのテンションも跳ね上がります。浦和サポーターのコールは、他のチームと比較しても選手個人のコールの頻度が少ないという特徴があるのですが、この日は各選手に檄を飛ばすような個人コールが多く、この時も武藤と長澤の名前が場内に轟きました。
後半開始時のビジュアルサポート。
後半開始直後の立て続けの浦和のチャンスをしのいだ北京国安は、再びポゼッションで優位に立ち、浦和の牙城を崩しにかかりますが、この日は浦和DF陣が絶好調。槙野、マウリシオ、鈴木の3バックがペナルティエリアで立ちはだかり、強引に打っていくバカンプのシュートは、もはやゴールの枠にもほとんど収まらず。中国としては前半でも大きなチャンスを作ったR・アウグストの攻撃を促したいところなのですが、浦和のカウンターへの警戒心が重しとなります。日本有数のポストプレーヤーである興梠に加え、フィジカルでボールをキープしたままボールを運べる長澤、そしてマーク時に相手選手に密着し過ぎる傾向にある中国選手にとって、武藤のクイックプレーはまさに天敵でした。あっというまに置き去りにされては、そのままカウンターの起点にされるか、苦し紛れのファウルになるかの大苦戦。疲労とカウンターの恐怖から、中国の最終ラインは次第に高く保てなくなり、距離が離れた前線に効果的なボールを送れなくなった北京国安は、中継ポイントとしてR・アウグストを下げざるを得ず、そこを集中的に狙えばいいと見抜いた浦和のプレスの餌食となる悪循環。
81分、「世界に見せつけろ、俺たちの誇り」と浦和サポーターが高らかに歌う中、激しい上下運動を続けていた山中のパスから武藤のアシスト、興梠が決めた3点目は、まさに駄目押しとなりました。2万人を超える観客のコールに押しつぶされるように、勢いを失う北京国安。ACLでは無類の強さを誇る埼玉スタジアムの真骨頂です。
試合終了の笛と同時に、西川が大きく蹴り出したボールが、雨上がりの夜空高くに舞い上がった光景とともに、浦和のACLグループリーグ突破が決定しました!
選手を歓声で迎える南側。
さすがに終盤は落胆を隠せなかったものの、北京国安のサポーターは最後まで声を出し続けていました。試合終了後も、挨拶に来た選手に手厚いコール。浦和サポーターの大歓声の中、浦和の選手が場内一周を終えて、スタジアムに静寂が訪れたそのタイミングでも、ひときわ大きなコールを掲げます。
それは彼らが浦和レッズというチーム、そしてサポーターに向けて送られた敬意を込めたコール、だったようです。しかし浦和サポにとってはあまりに間が悪い。みんながこれを楽しみにしていた「We are Diamonds」の斉唱直前のタイミング。
歌を邪魔するつもりなのかと勘違いしたサポーターからブーイングを浴びる北京国安サポーター、とんだ災難となってしまいました。
本当に御免なさい北京国安サポーターさん。浦和サポーター、相手チームサポーターから尊敬されたりそういうの慣れてないんです。大抵どこからも嫌われてますもんで、そういう暖かいやりとりとか、うまくできないんです。
ついにグループリーグを突破した浦和。今後のトーナメントの突破ももちろんですが、ここからの多少は余裕のできる日程をうまく利用して、なかなか波に乗れないリーグ戦も立て直しつつ、チーム力の強化を促していきたいところ。そのためにはまず、このいい流れを断ち切らないように、週末の広島戦を確実にものにすること!
…だったんですけどねえ…(泣)
まあ、暑い中、ご苦労様でした…。
激戦の証。
更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。