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4歩目『たまごの味が違う秘密』

前回たまごの食べ比べをした際、種類によって味が全く異なることが分かりました。
その味の違いは何によって生まれているのでしょうか。

いつもより少し高いお金を払ったから?
それが故の気持ちの問題?

実はこの味の違い、鶏の飼育環境と食べる餌が関係しているのです。
今回は、その「鶏の飼育環境」についてお話していきたいと思います。

鶏の飼育環境は大まかに2種類。

一つは「ケージ飼い」、皆さんが一番初めに思い浮かべるものではないでしょうか。

短い時間でたくさんの卵を生産することができる、いわゆる「工場式生産」のことです。
効率の良い生産方法である反面、鶏にとっては過度のストレスがかかっています。

生まれてからずっと、日の当たらない室内で満員電車のように密集して育てられ、ひたすら卵を産み続けるのです。
スーパーなどで育てられている卵の多くはケージ飼いの鶏が産んだ卵、これが養鶏の現実です。

ケージ飼いの中には「エンリッチドケージ」という方法もあり、一段高いところで鶏を育てることにより地面からの菌を守るとともに、鶏のストレスを軽減しています。

しかし近年、ヨーロッパ各国ではエンリッチドケージ をはじめとするケージ飼いがウイルスの観点からも撤廃される動きが出ています。
動物が密集した環境下ではウイルスが蔓延しやすく、近年の新興感染症(MARS,SARS,エボラ)を引き起こす原因としても問題視されているからです。
ケージ飼いによって鶏に及ぼされるストレスがいかに大きいことがわかると思います。

そしてもう一つの飼育方法として、鶏に優しい飼育方法である“平飼い”があります。

鶏は自由に動き回り、筋肉をつけた鶏は心身ともに健康体に成長します。その中でも屋外で育てられる「平飼い放牧」では日光をたっぷり浴び、ストレスフリーな環境で育つことが出来ます。
鶏にとって過ごしやすい環境を作り出すことは、美味しいたまごを生み出すことにつながります。
つまり、良いたまごをつくるためには鶏を健康体に育てることが大前提なのです。

ここまでで「鶏にとっても、私たち人間にとっても優しい卵」がどのようなものなのか理解していただけたでしょうか。
今後スーパーなどでたまごを手に取るとき、少しでもこの話を思い出してもらえたら嬉しいです。