4台ピアノコンサートを聴くため飛行機に乗り遅れながらも徳島県阿南市まで行ってみた
4台のピアノが奏でる動画に出会った衝撃
世の中がコロナ禍になり出した2020年4月頃からだろうか。YouTube動画を視聴することが多くなった。中でもピアノは聴くのも弾くのも好きなので、YouTubeでピアノ動画を良く見るようになり、たくさんの若いピアニストたちが動画を投稿していることに驚き、素敵な演奏を惜しげもなく見せてくれて、身近な存在と感じさせてくれることに喜びを感じていた。
そんなあるとき、おすすめの動画に4台のピアノでベートーヴェン交響曲第7番を演奏しているものが出てきたのだ。それをクリックして聴いたときの衝撃は今でも忘れられない。若い男性ピアニスト4人(石井琢磨さん、髙木竜馬さん、藤川有樹さん、宮田森さん)がオーケストラで演奏する交響曲を4台のピアノのみで演奏(藤川有樹さん編曲)していることに感動し、素晴らしい音楽に心が震え、鳥肌が立ち、良い言葉が見つからないのだが、とにかくとても感動したのだ。何度も何度も聴いた。
2023年7月4台ピアノコンサート開催決定とチケット争奪戦
そして月日は流れ2023年5月に4台ピアノの新しい動画がアップされる。ドボルザーク「新世界」より第4楽章。これもまた本当に素晴らしい。4人の各々のパートがピアニストの個性と合っている感じで、音に響きと迫力がありバンバンこちらに届いてくる感じだ。(もっと感動を伝えたいのだが、自分の語彙力のなさに泣けてくる、、、。)
そこになんと4台ピアノコンサート開催情報が!!!この演奏をコンサート会場で、生演奏を聴けたら、想像しただけで心が踊り出し
「行きたい!絶対この4人の4台ピアノコンサートに行きたい!」
と強く強く思ってしまって、いてもたってもいられず。
まずは東京公演を先行抽選予約で申し込み。結果ハズレ。次は早い者勝ちの一般チケット発売日にポチ合戦。つい気持ちが先走り発売時刻の数秒前にポチってしまったらぐるぐる回って「まだ発売前です」みたいなメッセージ。その時点で何十秒かのロス。すぐにまたポチる、ぐるぐる回る、、、「売り切れです」のメッセージ。ガーン!!!
東京公演のチケットは秒で売り切れた。
ちょっと欲が出て数秒前にポチったせいか、、、あぁもうコンサートには行けないのか、、、と落ち込んでいた。
待って、たくおんさん(石井琢磨さん)の故郷で開催されるコンサートの方があるではないか。そちらは徳島県阿南市にある阿南夢ホールへ直接申し込み。徳島!よし、申し込みしよう!どうか行けますように、と願いを込めてフォームを記入し送信。
するとその日の夕方にピロリンと「予約ありがとうございます。」との案内メールが届いた!しかも席も素晴らしく良い席。こんな近くで聴けるなんて、もう夢見心地とはこのことか、気持ちはすでに徳島へ。徳島へは行ったことがないので早速旅の手配。一人旅なのでそれもワクワク。
日程が近づくと同時に台風の進路が!なんでこっちに曲がってくるの?!
大型の台風6号が沖縄に停滞してなおも方向転換し四国にも影響があるかもしれない、という予測が出てきたのは出発の2日前くらい。幸いコンサート開催の8月6日の徳島はまだ大丈夫そう。念のために帰りの日程は繰り上げ。コンサートがメインなのでそれは仕方ない。
なんということ!出発の飛行機に乗り遅れる
コンサートは8月6日の日曜日16時から。前日徳島に入れば良かったのだけど、仕事やその他都合上、6日羽田空港8時55分発、徳島10時10分着の飛行機を予約。コンサートには余裕で間に合って、その前に阿南市夢ホールで行われている音楽の日も楽しもうと考えていたのに。
当日、なんと自宅最寄り駅から乗る電車が事故でストップ、間抜けな私は当日の朝気がついて回避路線で羽田を目指したが、保安検査場は飛行機出発20分前につかなければならないのに着いたのは10分前。規則は規則、無理だった。人生で初めて飛行機に乗り遅れた。もう泣きそうな私。
でもラッキーなことに次の便に空きがあり、今回は特別に振替してくれるとのこと。ありがたい!
タクシーの運転手さん、ありがとう!
次の便は13時30分羽田発14時45分徳島着。
しかし今度はその飛行機自体の遅れが、、、。
羽田空港を飛び立ったのは14時過ぎてたんじゃないかな。もう気が気ではない。
15時過ぎに徳島空港に到着した。羽田空港から電話で予約してあったタクシーが空港出口で待っていてくれてるはず。急げ急げ。
予約した時、電話に出てくれた受付の女性(多分私より年上っぽい)に
「16時からの阿南夢ホールのコンサートに間に合いたいんです」
と伝えていた。予定の飛行機に乗り遅れたことも話したら、
「それは大変だったねぇ」
を徳島訛りの言葉で言ってくれて、親切だったなぁ。
聞いていた外観のタクシーの横に運転手さんが立って待っていてくれて、私は知り合いのおじさんを見つけたごとく手を振って走り寄った。
「安全運転で、でもできる限り急いでください!」
とお願いすると、快く頷いてくれた。車中でも色々と話しかけてくれたけど、徳島弁なのか運転手さんの話し方なのか半分くらいよく聞き取れなかった。でも親切な方だった。ありがとうございました。
16時5分くらいに会場到着!少しだけだけど、
「お釣りはいりません!ありがとうございます!」
と言ってお代を渡して会場へと急ぐ。
一曲目のピアノソロ宮田森さんの「ひばり」が聴けなかったのが残念でならない。
追加公演8月30日の配信のチケットを買ったので配信で聴きます!
ようやく夢にまでみたコンサート会場の中へ
2曲目の前に会場に入れた!藤川有樹さんのソロ「水の戯れ」が始まった。席が前の方なので移動できず、最後尾の補助椅子で聴いた。ピアノの音を体に感じる。音の細やかさが心地よい。着いたばかりでまだ心臓がバクバクしていたが、水の戯れと共に落ち着いてきた。素敵だった。
石井琢磨さんソロ「愛のかなしみ」ようやくちゃんと着席して聴くことができた。たくおんさんが舞台に出てきた時、いつもYouTubeで見ているたくおんさんだ!とそこでまず感激。そしてピアノを弾き出すと、なんと音の美しいこと。こんな目の前で弾いている姿を見ながら聴けるなんて、ここでまず涙腺が緩んできてしまった。
髙木竜馬さんの「鐘」こちらも最初から音の大きさと響きに身体が震える。低音の凄みや重みが伝わってきて、生演奏ならではの迫力だった。すごかった。
その後の宮田さんと藤川さんの連弾の「ボレロ」は腕の交差とペダルの交差も見どころ。何より大好きな「ボレロ」が目の前で奏でられ、だんだんと音が増えて興奮させてくれる感じがもうカッコ良すぎる。
たくおんさんと高木さんの2台ピアノの曲は知らなかったので、前もってオーケストラ版を予習しておいた。「エスタンシア・マランボ」お二人が奏でる音楽はリズミカルで華やかで楽しく、繰り返される楽しげなフレーズにもうその場で踊り出したいくらい!
その後、休憩に入る。私も一旦外に出て、このコンサート会場にいられる幸せをかみしめる。
いよいよ4台ピアノ演奏が始まる!
舞台に並んだ4台のピアノ。YouTubeのコメントにも書かれていたが、それはまるで四葉のクローバーのよう。これからの始まる幸せな時間を示唆してくれているようだ。
まずはベートーヴェン「交響曲第7番より第1楽章」が始まった。この曲との出会いがあってここまできた。気持ちが動くと体も動くのだ。書いてはいないがここのところトラブル続きで、もう行けないんじゃないかと思った時もあった。それでも行きたい、行くんだ、という気持ちと、行ける、と信じた結果今ここにいる。4人の息遣いが聞こえるほど近い場所で夢にまで見た憧れの4台ピアノ演奏を聴いている。音楽の素晴らしさとあいまって自然と涙が溢れてきた。
次は「新世界」迫力のある部分と歌うような部分とがピアノだけで表現されている凄さ、素晴らしさ。4人でアイコンタクトをとりながら演奏している。4人の留学先ウィーンで同じ釜の飯を食べていたという話をされていたが、その絆の強さを感じさせられる演奏。盛り上がりのところはぞわっと鳥肌が立ち、美しい旋律ではふわぁとする感覚。クライマックスになると、あぁもう終わらないで〜と思ってしまう。ずっと聴いていたい。素敵すぎて最高すぎる。演奏終了と共に割れんばかりの拍手と共に立って拍手してる方もたくさんいた。もちろん私も立って精一杯の拍手を送った。
3曲目は「ラプソディ・イン・ブルー」言わずと知れたオシャレでカッコいい曲。これを4台で奏でるとどうなるのか楽しみでしかなかった。YouTubeでは公開されていないこの演奏。藤川さんの洒落っ気のある演奏と表情がよく見えた。たくおんさんと髙木さんのピアノを弾く後ろ姿も素敵。宮田さんの表情もよく見えて、アイコンタクトとりながら楽しそうに演奏していたのが印象的。この曲がプログラム上最後の曲。曲の盛り上がりと共に会場の空気も盛り上がっているのを感じる。演奏が終わって会場全体が総立ちのスタンディングオベーション。4人が肩を組みながら嬉しそうにしている姿を見てこちらも涙涙。拍手が鳴り止まない。
アンコールは「威風堂々」曲に合わせて会場も手拍子。楽しい!そしてメロディーのところは手拍子なし、ここからまた手拍子だよ、みたいな合図をたくおんさんや髙木さんが振り返って顔の表情で見せてくれたり、と。その表情の良いこと!楽しすぎる。会場が一体となっている。たくおんさんの故郷の徳島の空気感、あったかい雰囲気がこのコンサートの楽しいエネルギーを増幅させている。
最後の曲、レスピーギ「ローマの祭りより主顕祭」この曲を私は知らなかったので、初めて聴いたように思う。それはそれはまさしくお祭り!色々な音の花火が打ち上がっているようなフィナーレにふさわしい一曲だった。満員の会場で全員が立って拍手喝采、ブラボーの声、私も声を出した。「ブラボー!!」「ありがとう!!」本当に感動の演奏をありがとうございました。
最後に
4人の若いピアニストがウィーンで研鑽を積み、夢を語らい、仲間となって、こんな素晴らしいコンサートを開催してくれた。仲間っていいな。4人が肩を叩き合いながら、舞台袖に下がっていくのを見て涙が止まらなかった。ピアノ音楽を聴いて涙がこんなに止まらないことは初めての経験。それくらい心が動いたコンサートだった。幸せな時間をありがとうございます。
台風の影響を避けるために、帰りは高速バスで東京へ。
自宅へ着いたら徳島へ行っていたことが夢か幻かのように感じた。感動を残したく、noteに書き綴った。YouTubeで知った4人による4台ピアノコンサートにどうしても行きたくて徳島まで行ってきた。トラブルにもめげずに行ってこられたのも家族の協力があってこそ。感謝。
2023年8月30日(水)4台ピアノコンサートのチケットは売り切れだが、配信のチケットは購入できる。私も配信で視聴予定。徳島の感動をもう一度!楽しみ!
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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