【幽霊達との上手な付き合い方】統合失調症の闘病備忘録#1

統合失調症が持病のワーママのたまこんぶです。100人に1人くらいの確率(*1)で発症し、昔は「精神分裂病」と呼ばれ不治の病扱いだった心の病なわけですが、主な症状が幻覚なわけで、結構生活に支障があります。この記事では、幽霊や神様、悪魔をひっくるめて「お化け」として、彼らの声が聞こえる、見える人たちに向けて、自分への備忘録も兼ねた「幽霊達との上手な付き合い方」をまとめたいと思います。

まず1番に心がけることは、自分が聞こえる幽霊達の声は、自分が作り出した幻である事実を受け止める事です。神様を名乗る声を蔑ろにしてはいけないと思うかも知れません。しかし、それは自分が想像した神様の声であって、本当の神様の声ではないのです。

例えば、私は菅原道真を名乗る神様の声が聞こえ、強制入院になるまで発狂しました。その声の正体が、本当に菅原道真ならば素晴らしい和歌または漢詩を詠んでくれるはずですが、お願いしても無視です。私に和歌・漢詩の教養が足りてないからだという声が聞こえますが、ただの言い訳であって、その言い訳を作っているのも、実は自分なのです。

何よりも、お薬をちゃんと服用すれば、幽霊や神様、悪魔の声は小さくなったり頻度が減りますよね? お薬で幻覚が弱まるというのは、幻覚は脳内伝達物質の異常が起こしていることの証拠です。強制入院になるとお薬も強制的に入ってくるのですが、お薬が効いてくれば激しい妄想状態は落ち着きます。

私はお薬との相性が良く、1ヶ月で退院となりましたが、退院する時に主治医に「退院してから、また発狂させない事が精神科医の腕の見せ所」と言われました。入院時のコントロールはちゃんと服薬させれば、どんな医者でも状態を良くする事ができるとの事でした。退院してから、ちゃんとお薬を続けられるか、妄想に縛られて妄想に操られないかが肝心なのです。

この病気の一番難しい所は、自分が作り出した妄想や幻覚を「真実」だと信じたがってしまう所だと思います。妄想を妄想として、幻覚を幻覚として認める事ができない、自分が見えている神秘現象が本当の出来事だと思いたがる。要は、夢と現実の区別ができなくなるから日常生活を送るのが難しくなるのでしょう。

私は2回発狂しているのですが、あれは起きていながら夢を見ているような体験でした。一種の夢遊病のような感じです。その症状を調整できるのは、お薬と安静に休める環境以外にないのです。家族ができることは、療養できる環境を用意する事、話を聞く事なのだと思います。

それなので、統合失調症の方は、自分が聞こえる声、見える影は「自分の作り出した妄想」である事を、素直に受け入れる事が大切なのです。夢の世界から、現実の世界に戻ろうという意識が回復の手助けになると思います。

次に大切なのは、死後の世界の住人と距離を取る事です。統合失調症の方は、なかなか神秘の世界への憧れを断つ事ができない人が多いと思います。あれは一度経験してしまうと、本当に幽霊や神様の世界があったと信じたくなるような物だからです。そして「自分は霊界と繋がっていて、幽霊や神様と話ができるんだ」という特別な信念が心を縛ってしまい、生活に不自由が出るのでしょう。

しかし正体が見えない彼らの言うことって、わかりにくくないですか? よくよく聞いてると、話がコロコロ変わりませんか? 辻褄の合わない事が多くありませんか? いざ何を言っていたかを思い出そうとすると、なかなか思い出せなかったりしませんか? 私は何で意味のわからない霊的な存在の言うことに振り回されているのだろうと、最近疲れてしまったのです。

それなので、死後の世界とは一旦距離を取るように意識を変えていこうと思いました。しかし、どうしても死後の世界の存在があると信じたい私がいます。それは結局死ぬ事が怖いからだと思います。死後の世界なんてものは、生きている人間が作った想像の産物かもしれない。でも、それは死んだ時に分かるのですから、生きているうちは「とりあえず忘れる」のもありなのでは、と思うのです。

死後の世界の住人の声に囚われて、せっかく与えられた生きている時間を邪魔されるのは非常に勿体無いと感じるからです。生きている時間は、生きている事を満喫する努力をした方が、人生お得なのではと思うのです。

そして最後に、最も大切なのは睡眠です。私は今年の1月に一度統合失調症の完治証明(治療終了可能の判断)が出たのですが、その半年後に発狂してしまいました。その原因は、初めての発狂の時と同じく不眠と過労がトリガーになっています。無理をしないこと。思考を詰め込みすぎないこと。自分の思考で、「〜しなければならない」という強迫観念に注意することが、病気を悪化させない重要な要素なのだと思います。1日7時間は寝る事を心がけて、生活習慣を改めることも大切だと思います。なぜなら睡眠が不足していくと、夢と現実の境界がどんどん曖昧になってしまうからです。したがって、幽霊達は夢の世界の住人である事を心得て、現実の世界で生きている時は距離を取る事が、彼らとの上手な付き合い方だと思います。

【出処】

*1)統合失調症の有病率


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