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「インパクトに残る」経験が中学受験に生きた話

7年前、私は中学受験をした。
結果的に第二志望校に進学することになった。
結果だけ見ると残念だったように感じるが、当時の学習環境はとても良かったと今でも思っている。
特に親にはとても感謝している。

「中学受験」というと親は切り離せない存在だ。
中学受験をするきっかけが何であれ、親は仕事のほかに塾の送り迎え、弁当作り、学校との両立のサポート、また塾の費用や受験料、進学先の学費の確保などをしなければならない。他にも兄弟がいるのならさらにやることが増え、負担が大きくなる。

私の場合、もともと公文に通っていて、小学4年生から自分の希望で中学受験塾に通い始めた。
親は「自分で決めたなら頑張りなさい」というスタンスで、勉強のサポートは最低限するが、成績が下がっても何も口出ししなかった。

母親は家庭教師の経験があるため、勉強(特に算数)のサポートをしてくれた。と言っても、教師でも理系でもない。英語が得意だが中学受験とは関係がない。
ただ、「インパクトに残る」ように教えるのは得意だったのかもしれない。

算数について取り上げよう。
中学受験の算数は少し独特で、補助線の引き方次第で解法が思いつかなかったり、よくわからない角度を求めさせるような問題が出てきたりする。
大半は塾で習うため、家で新しく学ぶことは少なかったが、苦手な問題を分かりやすく教えてくれた。
例えば、このような問題。

よく見る問題ですね

小学生の私にとっては「なにそれ」みたいな問題。
母が教えるとこんな感じ。

手書きの字が読みにくいと思います。
ご了承ください。

noteで表現するのは難しいが、この赤や青、黄色の三角形をペンで何回も囲みながら私に説明していた。「まずこのあ・か・い三角形をみてね~」って。おかげでペン先は黒くなる。それでも理解することが大事だと言い、ペン先など気にせず教えてくれた。
ちなみに使っていたペンはトンボのプレイカラー2。
赤、濃いピンク、山吹色、緑、紫、青など濃い色を使うことで印象に残る工夫をしていたのかもしれない。
ちなみに、影響されて私も現在このペンを愛用している。

他には立方体を切断する問題も頻出だ。

また手書きです。

大抵立方体上の3点が与えられる。切断面が正三角形ならまだイメージが湧くが、上の図以外だと五角形や六角形などが出てくることもある。そうなってくると小学生はたいていパンクする。私もその一人だった。
そこで母が用意したのが豆腐包丁。イメージが湧かないなら実際にやってみようと言い、切っては切断面を見て理解した。
時間にすると30分か1時間ぐらいの出来事だった気がするが、今でも思い出に残っている問題だ。

毎回豆腐を切るわけにはいかないので、母が教える時に使っていたノートを切って立方体を作って考えたこともあった。
ちなみに使っていたノートはマス目の大きいノートだ。

ジャポニカ学習帳だったかは覚えていないが、当時使っていたノートとそっくりだったため貼っておいた。
マス目の大きいノートのいいところは図を大きく描けるところだ。
小学生の算数は何かと図を描く。(上記2つの問題以外にも線分図やつるかめ算で出てくる図など)この時図を大きく描くことで理解が進み、ミスも減る。このノートで言えば一問につき1ページ以上使ってもいいので必ず図を大きく描くことを意識して解いてほしい。ノートは躊躇しないでどんどん使おう。
今でも私はキャンパスノートの罫線を守らずに字も図も大きく書くようにしている。

算数のほかにも中学受験の思い出はたくさんある。
国語の文章か何かで「オブラートに包む」という表現が出てきたとき、オブラートとは何か聞くとボンタンアメを買ってきて見せてくれた。(ちなみに私は当時も今も食べられない…)

塾へ向かう間は歴史や理科(天体など)の替え歌を何度も流してくれた。
トイレや部屋の仕切りに暗記物を大量に貼っても怒られなかった。(むしろ推奨された)
母が都道府県名の小テストで満点なら腕時計をプレゼントすると言ったため頑張って覚えて小テストに臨んだが、「徳島県」が思い出せず満点を逃したこともあった。

他にも色々思い出はあるが、私の中学受験体験記はこんな感じだ。
振り返ると小学生ながらとても充実した毎日だったなと思う。

中学受験をする子は学校と塾で一日が終わってしまう。ただ親と一緒に過ごす限られた時間もとても大切な時間だ。
中学受験をする子はとにかく勉強することが大事だが、座学以外で学びを増やすことも大事だ。保護者にはその機会を作ってほしいと思う。
数は少なくていい。むしろ少ない方が子供は覚える。何か「インパクトに残る」ことをしてほしい。
例えば、すでに述べた「豆腐を切って断面図を見てみる」とか「秋田で有名なきりたんぽを食べさせる」「てこの原理を使ってタッパーを開けさせる」など。家のお手伝いの延長線上で十分だ。

子どもがこの経験が生きると気付くのは時間がかかるかもしれないが、私はこの小さな経験が大切だと思う。
そして後に子どもは、親が夜中に夜食を作ってくれた思い出などと一緒に感謝の心が出てくるはずだ。

「中学受験」は親も子供も大変だと思うが、私はすごく貴重な経験ができて嬉しかったし、当時の環境など全てにとても感謝している。

中学受験を通して多くの学びや気づきを得られますように。

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