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小さな感動が生まれる時


「アネモネのブーケ」

長く生きるとは、頭に収納しきれない沢山の思い出を抱え、時の間で呼吸すること。

病院のベッドで寝たきりの義母に、今回はアネモネのブーケを届けてもらった。

94歳だもの。もう息子の名前すら呼ぶこともなくなっている。

なのに、今回は「・・・・・アネモネ…」と、口の中で小さく呟いたそう。これには、花を届けてくれた夫は驚いていたし、とても嬉しかったのだと思う。

歩くことはおろか、言葉を交わすこともだんだん難しくなっていて、自分の息子のこともわからない感じだったのに。

花の力は偉大ですね。

花が大好きで、心根のやさしい人だから、お元気だった頃は花をプレゼントすると「まあ〜素敵!珠樹さんのお花はとってもいいわ〜!」と、感激してくれて…本当につい最近のことのよう。

食べる事も、身の回りのことも自力ではできないとなれば、傍に花が寄り添うくらいの安らぎがあってもいい。

最近では、花を受け付けてくれないホームが増えたと聞いています。なんだか悲しいですね。

ご本人のためというのもありますが、そのご家族のことを思うと切なくなります。

誰だって同じように歳を取り、この世から旅立つ日が来る。それがもしかしたら明日かもしれないのだ。

だから今日も花を飾ろう。

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