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生還5+

やってみてよかったアイディアメモ~ストーマ編

初めは慣れないこともあって、気分が落ち込んだりしがちなストーマですが、ストーマ造設手術を受けた先輩がたの動画やブログなどを拝見すると、前向きにとらえて色々な工夫をこらしている方も多いんだな、と励まされました。気持ちの面はもちろんですが、体のこともとにかく十人十色。病院で教えてもらうやり方がぴったりくることもあれば、私には合わなかったり、また、同じオストメイトの方から伺ったアイディアがとても役に立つこともありました。自分なりに開発した工夫(どこかでどなたかがすでにやっていたかもしれませんが)もありますし、まとめておきたいと思います。

①ベルトの代替品

左が既製品のベルト、右はダイソーのくっつく包帯

ストーマ装具は肌にしっかり密着しているとはいえ、パウチに便が溜まってくるとどうしても重みで下側へ引っ張られます。それで外れてしまうようなことはないものの、皮膚も引っ張られるのでかすかな痛みや違和感がでてくるのです。そこで、装具を固定するベルトを使用します。安定感があってとても楽なのですが、これは別売り商品。入院中はショップへ行けないので手に入りませんでした。また、退院して購入した後も、うっかりベルトを外さずにお風呂に入って濡らしてしまったり、付け忘れて入院してしまったり(化学療法の副作用でこの後何度も入院したので……)、困ったこともありました。無くてもなんとかなるけれど、あった方が格段に便利なのです。そんなとき、応急処置として代用できるのが、くっつく包帯です。もちろん、伸縮性があれば普通の包帯でもいいし、なんなら紐でもいいのですが、くっつく包帯は装具に空いているベルト用の穴に先端を通したら、結んだりしなくても折り返してピタっとくっつけるだけなので、ベルトと同じくらい楽。長さの調整も簡単で、皮膚への負担も少なく感じました。これは皮膚排泄ケア認定看護師さんからもお墨付きをいただいたアイディアです。

②キャップのカバー

イレオストミー装具、先端が廃棄口。このキャップ部が腿に当たります。

このイレファインという装具、小腸(回腸)ストーマでは扱いがとても楽な製品で大変お世話になりました。ただ、キャップ部分がちょうど太ももに当たり、歩くたびに擦れるのが少々厄介です。皮膚に当たる場合はちょっと痛いし、レギンスやスパッツ、パンツなどのボトムスに当たると布に引っかかってほつれたりささくれたり……。装具全体を覆うカバーもありますが、私はキャップにカバーをしました。
これも百均で見つけた、指用サポーターです。

5個セットで100円、手の指にフィットするサイズ

これをはめておくと、キャップのでっぱりが布や皮膚をひっかけることもないし、万が一キャップがきちんと閉まっていなかった場合もワンクッションになってくれるので安心です。伸縮性に富んでいるので、つけ外しも簡単。

③廃棄用セット

このバスケットから1セット備品を取り出してトイレへ

廃棄のときに必要なものは、一つのバスケットにまとめておきました。ディスポ―サブルグローブ、ビニール袋、ウェットティッシュ、パウチ用消臭スプレー、トイレットペーパー、そして大型洗濯ばさみです。
慣れれば手袋無しでも平気なのですが、それはすぐに手を洗えることが大前提。私は化学療法に入ってから副作用で指先のしびれがかなり強く、温水の出る場所まで移動してから手を洗いたかったので、手袋は必須でした。また、処理に必要なトイレットペーパーは3セット、と分かってからはあらかじめ折りたたんで小さなケースに入れておくようにしました。これはトイレを一人であまり長く占拠しないための工夫でしたが、本当に時短になって便利です。
あとは、洋服をとめておけるように毛布をはさめるサイズの洗濯ばさみ。これも大変重宝しました。特に、点滴やインフューザーポンプが体についているときは、洋服を押さえておく手が足りないのです。多いときは、点滴、インフューザーポンプ、心電図モニター、パルスオキシメーターと、もうあっちゃこっちゃに線が繋がっている状態――これは、体調も非常に悪いことを意味する状態――で廃棄をするので、もう洋服なんか押さえてる場合じゃありません。大きなピンチだと冬場の服でも大丈夫ですし、入院中はちょっとバスタオルを乾かしたりするのにも活躍してくれました。

大活躍の大型ピンチ。実は着物を着る時使っていたもの。本当に便利です!

④装具交換用セット

装具交換のポイントは準備にあり!

装具の交換にも専用バスケットを用意しました。内訳は
・ティスポーサブルグローブ
・ビニール袋L
・ビニール袋M
・防臭タイプビニール袋
・ウェットタオル
・ティッシュ
・リムーバー
・クリーナー
・パウチ用消臭スプレー
・大型洗濯ばさみ
・キズパワーパッド
私の場合は、ビニール袋Mにパウチを入れ込み、それをさらにビニール袋Lで覆う入れ子式で作業しました。外したパウチをMにそのまま落とし込んで一旦口を閉じ、Lの中に入れた状態でストーマ洗浄をして、使ったウェットティッシュなどもLにポイポイ。最終的に手袋などその他のゴミもまとめて防臭タイプのビニール袋で密封しました。基本的には週二回の生ごみの日の朝に交換すればすぐ捨てられるのですが、皮膚がかぶれて炎症が起きてしまったときは少し交換のタイミングがずれたりするので、防臭タイプのビニール袋は買っておいてよかったです。皮膚に炎症ができたとき活躍したのがキズパワーパッドで、これは皮膚排泄ケア認定看護師さんのアイディアです。
また、交換のときも大型ピンチはとっても便利。私は背中は座椅子、洋服の裾はピンチに任せたので両手が自由に使えました。自宅でもインフューザーポンプが接続されている期間がありましたし、ささいなことですがストレスが緩和されるのって大事なことかもしれません。その意味でも、必要な備品は手の届く範囲にすべて揃えておくのがベスト!そのためのテクニックに関して、オストメイトの方々の中には、もっと機能的だったりおしゃれだったりするアイディアをお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。自分に合ったものを真似させてもらったり、自分だけのオリジナル技を編み出したりしながら、いかに快適にストーマとつきあうかを考えるのは、暗くなりがちな病気の日々をちょっぴり楽しくしてくれる作業のように感じます。

手術後、動脈の穿刺痕周囲がただれた時にも頼りになりました

⑤お出かけセット

お出かけセットの一部。左はウェットティッシュとビニール袋、右はディスポーサブルグローブ。
どちらも百均のジッパー付き小袋に限界まで小さくして詰めています。

ストーマがあると、ちょっとした外出の時も万が一に備えて一式交換できるだけの準備をしておく必要があります。といっても、廃棄に使う物セット(ウェットティッシュ、ビニール袋、ディスポーサブルグローブ)があれば、あとは最低限、新品のパウチを一枚持っておくだけで交換も可能です。ただ、廃棄用セットは使用頻度が高いので多めに用意しておきました。出先ではどういうトイレに行けるか分からないですし、どんな状況でも慌てずにすむよう一回分ずつを小分けにしています。それには百均のジッパー付き小袋がとても便利で、非常にコンパクトにまとめられるため、ストーマを閉鎖した今でも、何かのときに役立ちそうだと思って、薬やポケットティッシュと一緒に1セットポーチに入れて持ち歩いているくらいです。


私が病院以外でオストメイト用トイレの表示がある多目的トイレを見かけたのは2回でした。私の場合は普通のトイレでも十分処理できるので、どうしても困った、ということはありません。ただ、状態によっては専用設備がないと廃棄できない方もおいでかもしれません。どこの施設にも設置したほうがいい!なんてことは言いませんが、もう少しだけ普及してもいいかな~、とは思いました。ついでにトイレ設備で言うと、ちょっと物が置けるスペースがあるだけでもオストメイトは助かります。バッグをかけるフックはよく見かけますが棚のようなものはそんなにありません。ペーパーホルダーの上が平らなタイプだと、本当にありがたかったです。
バリアフリーについて、頭では色々なケースを想定できているつもりでしたが、細かなポイントは実にたくさんあるものですね。十人十色のすべてのケースに対応できる万全なバリアフリーなんて、実際はあり得ないでしょう。ただ、なるべく多くのひとが便利だと思える設備が開発されたらとても素敵。そして逆に使う側が、最低限のシンプル設備でどう対応してやろう、と工夫することを楽しめたら、それも素敵。ストーマを通じて、そんな考え方も発見できたことに感謝です。

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