- 運営しているクリエイター
#オールカテゴリ部門
創作BL小説『きみのそばで時を刻む』
誰にだってあるだろう。
心に沈めていても、なにかのきっかけで輪郭が露わになる思い出が。
私もそんなものを抱えている。
忘れたい過去ではなかった。
しかし三十代の私にとって、あまりにも甘く遠い昔のことだった。
あのまま彼に身を任せていたら、私は東京でいっぱしの作家になることはなかっただろう。
彼と交わした言葉。
私の唇と指先が味わった、彼の熱。
彼が友人には決して見せない、男の顔。
そして、彼が一方
誰にだってあるだろう。
心に沈めていても、なにかのきっかけで輪郭が露わになる思い出が。
私もそんなものを抱えている。
忘れたい過去ではなかった。
しかし三十代の私にとって、あまりにも甘く遠い昔のことだった。
あのまま彼に身を任せていたら、私は東京でいっぱしの作家になることはなかっただろう。
彼と交わした言葉。
私の唇と指先が味わった、彼の熱。
彼が友人には決して見せない、男の顔。
そして、彼が一方