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腕振りは何のためにやるのか(ランニングフォームについて)

ランニング理論入門、いよいよ腕振りについて説明していく事にしましょう。
今、平行して体幹についても原稿を書いていますが、腕振りと体幹は大きく関係しています。なので、ちょうど平行して進めていくのが良いのかな、と思っています。

という事で、まずは腕振りの意味について書いていくのですが、最初に結論を書いてしまいましょう。

腕振りはバランスを取るために必要である

ここから下の文章は、この結論を説明するためのものです。なので結論だけ知りたい方は、ここでお帰りください(笑)

なぜバランスを取る必要があるか

腕振りはバランスと取るためだと書きました。では、そもそもなぜ、バランスを取る必要があるのでしょうか。
それは、以前、ランニングの左右方向を考察した稿で説明したように、ランニングというのは左右アンバランスな運動だからです。

結構これ、重要な事を指摘したと思っているんですが、あまり評判が良くないんですよね。まぁそれは良いとして、ランニングは左右の足で交互に接地し、身体の右側と左側で交互に着地の衝撃を受け止めています。その度に、左右に大きくブレるようになっています。そのアンバランスさを軽減しバランスを取る動きとして腕振りがあるのです。
(上記記事で「腕振りをすると重心を中央に保ちやすくなる」と腕振りのバランスを取る効用を説明していますので見てみてください。)

腕振りの方法が色々ある理由

で、腕振りについては、本当に色々な事が言われています。腕振りの方法だけでいっぱい流派があり、どれが本流とかはないんじゃないかと思われます。
いや、この腕振りが本流だ、と主張する人は居るかもしれないですが、その人と違う腕振りのやり方を言ってる人は簡単に見つける事ができると思います。
また、実際に走っているランナーも、腕振りのやり方はまさしく十人十色です。速い競技ランナーのレベルでも色々で、それはオリンピックレベルまで行っても多様性は変わりません。
足の動きなんかでは、できるできないはあるにしても、こう動かすべきだろうというのはそうそう変わらないのですが、腕振りに関しては、なぜこんなに多様性があるのでしょうか。

それは、腕振りの目的に関係すると思っています。
つまり「腕振りはバランスを取るためにしている」のだから、結果的にバランスが取れさえすれば、どんな腕の振り方でもOKという事なんだろうと思います。
もっと言えば、腕を降らなくてもバランスが取れる身体のバランス感覚や捌きができる人なら、腕を降らなくてもOKな訳です。
(そういう選手の例として以前に女子長距離・マラソン選手の安藤選手を例として挙げています。)

バランスを取る方法は色々とあり得ます。なので、腕振りの方法も色々あり、そのどれも正解ではあるんです。
なので、「腕振りなんでどうでも良い」と極論を言う人もいます。曰く、走るアンバランスは身体が勝手にバランス取ろうとして本能で腕振る事になるんだから、その身体の反応に任せておけば良いんだって。
それはある意味では正解ではあるんです。

腕振りの技術は無意味なのか

では、腕振りはもう本能に任せれば良くて、腕振りの技術を練習したりするのは無意味なのでしょうか。
私はそうじゃないと思っています。実際に腕振りの改善で速くなったり楽に走れるようになったり、という事例もたくさんあります。
それはなぜそうなっているのか。

それは、バランスが上手くとれないと、身体が恐怖心を感じてしまって本能的にブレーキをかけてしまうんだと思うんです。なので、腕振りが改善されてバランスが上手くとれるようになると、身体のブレーキが外れて足を速く大きく動かせるようになるんじゃないかと思います。また、恐怖心の反応で身体が強張り不必要な力みが入る事もあるでしょう。そうなると無駄なエネルギーを使い、走るのが苦しくなります。それが改善されると強張りが取れ、楽に走れるようになると考えられます。
このように、腕振りのより良い技術を身につけることは、無意味ではないと思います。

という事で、今回は腕振りはバランスを取るために必要だという事を書いてきました。(実は、腕振りにはもう一つ、「体幹を動かす」という役割もありますが、それはまたの機会に。)次以降に腕振りを取り上げる際は、もう少し具体的な腕振りの動きについて書いていく予定です。

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