室伏広治が桐生祥秀に教えた事
桐生祥秀選手は、日本人で初めて100メートルで10秒を切った選手ですが、高校生で10秒01を出して注目されて以降、なかなか10秒の壁を突破する事ができませんでした。
そこで、突破口として、ハンマー投げ金メダリストでレジェンドアスリートの室伏広治氏に弟子入りし、身体の使い方を一から学んだそうです。
その甲斐あって、翌シーズンで9秒98を出し、日本人で初めて10秒の壁を突破しました。
つまり、そのトレーニングは効果があった、という事だと思います。
様々な事を学んだそうですが、そのいくつかは、テレビで紹介されていました。
その中で、一番印象に残っている事を書こうと思います。
それは、「足を柔らかくする事」が大事だ、という事。
「足」というのは、足首から先の部分、靴で覆われた部分ですね。その部分は一つの塊のように捉えがちですが、小さな骨がいくつも集まって形作られており、本来なら細かく動かせるものなんだ、と。しかし、その一つ一つのものが固まってしまっていて、動かせなくなっている。それを柔らかくして、動かせるようにする事が重要だ、と。
この事について、もうちょっと詳しく説明しますね。
「足」の中の細かな構造
試しに中足骨で画像検索してみてください。「足」の中の、細かな骨格構造の図がたくさん出てくると思います。それを見てもらうと分かるように、「足」の中には細かな骨がいっぱいあって、それらが組み合わさって「足」は作られています。
(ちなみに、「手」も同じような構造になっていて、実際の指よりも根元の、手のひら、手の甲の部分も骨格構造では指のようになっていて、手のひら部分も色々と動かせるようになっています。ま、「手」の方は、握ったり広げたりとかして手のひら部分も色々と動かしていますけどもね。)
これらの骨どうしは、少しずつ動かす事ができ、特に足の指に繋がる根元の部分、中足骨部分から先は、かなり動かせるようになっています。それが固まって可動域が狭くなってしまっているのが問題なんだ、という事ですね。
「足」が柔らかい事がどのようにランニングに役立つのか
で、ここを柔らかくする事が、ランニングにどのように役立つか、という話ですね。室伏さんの説明は、こんな感じだったと思います。
ランニングにおいて、理想的には一歩一歩正確に着地してバランスを崩さないのが良いが、人間なので、正確に動かせずにわずかにバランスを崩して着地する事もある。その時に、「足」が柔らかいと、そのわずかなバランスの狂いを吸収してくれて、全体のバランスを保った状態で進む事ができ、走りの安定性が増す。
実際に、このおかげか(他のトレーニングの要因もあるでしょうが)、翌シーズンの桐生選手は走りの安定性が高くなり、素人目にも上体が全くブレずに走るようになりました。
まぁこれは、100分の1秒レベルで争っているトップアスリートで必要になってくる能力でしょうが、長距離を走る我々こそ、この能力は重要になるような気がします。
マラソンの後半になると、疲れからどうしても走りのバランスは悪くなりがちです。その際に、「足」の柔軟性があれば、バランスの崩れをいくぶんか吸収してフォームを崩しにくくなりそうです。それによって終盤の崩れが小さくなる事が期待できるのではないでしょうか。
「足」を柔らかくするオススメの方法
ストレッチというより、セルフマッサージに近い方法になりますが、「足」を柔らかくするやり方、あります。
まず、「足」を押したり握ったりして良く触り、足の中の骨、特に中足骨を探します(中足骨で画像検索した図を参考にしてください)。中足骨が分かったら、それを両手でしっかりと掴みます。例えば右足なら右手で親指の根元の中足骨を、左手で人差し指の根元の中足骨を、掴みます。そして、両手で揉み洗いするように互い違いに前後に動かします。右手を手前に、左手を奥にして、すぐに逆に、右手を奥に左手を手前に、というのをピストン運動的に動かします。そうやって、中足骨の一本一本をバラバラに動かしてやります。(親指と人差し指を動かしたら、次は人差し指と中指を、その次は中指と薬指を、最後に薬指と小指を、互い違いに動かします。)
初めはほとんど動かないでしょうが、毎日続けて動かしていると、だんだん動くようになってきます。あと、これをやってると、足指も動かしやすくなってきます。
こんな部分の柔軟性も、ランニングに効くなんて、ランニングって奥が深いですね。
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