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エフィー・ブリースト/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品(1974)

「小説の映画化は、それが小説であるとわからせる形で行うべきだ」というファスビンダーによる19世期を舞台にしたドイツの文芸作品の映画化。
まず精緻なモノクロの映像の美しさに惹かれますが、ナレーションの多用、頻繁なカット割り、練り上げられているようで、実は感覚的なファスビンダーらしい雑さ。

話は17歳の自由な精神を持つ娘が、19世紀の貴族社会のなかで、思うがまま振る舞うものの結局、社会に押しつぶされるもので、その時代に生きる個人がその独自性(時には性癖)ゆえ、苦闘というテーマは、時代が違えども、ファスビンダーの作品に通底するもの。美しい映像故か、他の作品ほど悪趣味的インパクトは少ないのですが、鑑賞後で観た解説によるとハンナ・シグラ演ずる主人公の女性以外、映像と声がずれているそうで、主人公が感ずる社会の違和感を描いたとも想像されます。これを撮影した時、ファスビンダーは27歳だったと聞いて驚きますが、堂々たる17採を演ずる主演のハンナ・シグラは、いつものように強い。表情を見ただけで曲者感満載のファスビンダー組の俳優が多く出演していますが、家政婦役のイルム・ヘルマンの表情は相変わらず最高です。


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