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小説

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#エッセイ

サルの恩返し-日本昔話風-

昔むかしあるところに、お爺さんとお婆さんが暮らしていました。 お爺さんは働きもせず、昼間っから酒ばかり呑んでいる町一番の怠け者。 そんな怠け者なお爺さんに命令され、今日もお婆さんは樽に入った酒を汲みに行きます。 ■■ その日、ちょうど樽の酒が底をついてしまいました。 お婆さんは、これを機にこの樽を壊してしまおうと思いました。 この樽が無ければ酒を保存しておけず、お爺さんも一度に大量のお酒を飲むことができなくなるからです。 でも心優しいお婆さんには、樽を壊すことな

満月の夜に現れたのは

10月1日満月の夜。空は快晴で一点の光だけが輝いていた。 その光をぼーっと見つめていると急にその光に吸い込まれる感覚に陥った。そのまま僕は眠ってしまった。 朝起きて少しだけ違和感があった。 なんだか体がゴツゴツしている。 昨日仕事し過ぎたからかなと思って鏡の前に立って、その姿に驚愕した。なんとゴリゴリのマッチョになってしまっているではないか。 驚いて茫然と立ち尽くしてしまうと思いきや、 すぐさまこうだ。 パシャり。 うん、今日も良き筋肉だ。(いや、写真撮ってる

世界一好きな香りは、世界一嫌いな匂い。

私には世界一好きな香りがある。 大好きな彼から漂ってくる香り。彼の側にいると、男の子らしいミント系の爽やかな香りが漂ってくる。 その香りを感じるだけで、私は一日中幸せな気分になれる。 そして本当はその香りを独占したい。でも私は、この想いを彼に伝える勇気が無い。 それでも良い。 ⁂ ちょっとした興味から履修した大学の英語特別クラス。この授業の時、彼はいつも私の隣の席に座る。たまたま同じ海外ドラマが好きで意気投合した。 彼の口から発せられる美しい発音の英語が好き。彼

真夏のサンタ帽🎄🎄完🎄🎄

今日はいよいよ最終日だ。 しかしおもちゃのキャスターからのメッセージは何も無い。 何も言われなくとも人々は何をすべきかわかっていた。 戦場ではおもちゃ達がおもちゃ同士を壊し合っている。 国会ではおもちゃ達がおもちゃ同士罵倒し合っている。 俺たちはなんて滑稽な事をしていたのだろう。 そんな人々も思い思いの場所に集まった。 そしてそれぞれの形で祈り始めた。 ある者は、また愛する人に会えることを祈る。 ある者は、死んでいったあの人のために祈る。 そうやって祈りが

真夏のサンタ帽🎄3🎄🎄

最終日1日前の8月30日。最近黙りこくっていたあのおもちゃのキャスターがまた語り出した。 いよいよスペシャルウィークも大詰めです。本日の夜、夏に開催予定だった祭りを全て実行します。祭りと聞いて思いつく場所に行ってみてください。 そんなニュースが全世界に配信された。 ⁂ ところ変わってここは青森県。 彼の名はゴン。数少ないねぶた師の1人であり、祭りの為に生きている男だ。この男もこのニュースを聞いて驚いていた。 2ヶ月前くらいから変な噂が流れてたんだ。夏に必ず祭りを開

真夏のサンタ帽🎄2🎄

8月25日のクリスマスが終わった翌日の26日。そこから29日までは特に何のイベントも開催されなかった。皆が、それぞれしたかったことを楽しんでいる。ある者は海外旅行に行き、ある者は好きなアーティストのライブに行っている。その頭にはサンタ帽。 そんな中、この親子も忘れられない3日間を過ごした。 僕の名はあいき。僕には大好きな母さんがいる。えりこって言うんだ。僕と母さんは2人で小さなアパートに住んでいる。お父さんは僕が生まれてすぐくらいに交通事故で亡くなってしまったらしい。でも

㊗️緊急速報㊗️なんと!僕が今日書いた小説をnote公式様のマガジンに追加していただきました!胸の高鳴りが凄いです。浮かれてます🕺が、しっかり地に足つけて明日からも頑張ります!note公式様そしていつもコメントしてくれる皆様本当にありがとうございます。 嬉し泣きは久しぶりだ。

真夏のサンタ帽🎄

2020年夏。世界中に不思議な光景が広がった。 クリスマスでも無いのに町の全ての皆がサンタの帽子を被っているのだ。 この現象の発端は8月24日の夜に起こった。世界中の人類一人ひとりにプレゼントが配られたのだ。 その中身はサンタクロースの帽子。 そしてサンタ帽と一緒に手紙が添えられていた。 1週間の魔法。8月25日から8月31日まで、このサンタ帽を被っていればコロナにかかりません。今コロナの人もこの期間だけは人にうつすことはありません。苦しみに耐え忍んでいる皆さんへの