見出し画像

普通のデートってやつ

あくまで凡人的な生活を送っている私ですが、稀にフィクションのような出来事もある。

ずっと友達だった年下の男の子とセックスした。(よければ前回記事もどうぞ!)普通の女の日常にも、こんなキラッとした瞬間があるんだな、世の中ってちょっと面白いかも。そう思ってもらえれば本望です!

***
どんなふたりにもデートのパターンってあるよね。バンビ君と私にもある。

私たちがただの友達だった時にも、ふたりだけでランニングをしたり、雨でランニングが中止になってご飯を食べたり、お家で映画を観たり、カフェで勉強したりはしていた。

そしてある日、偶然に必然が少々加わって私たちがセックスをした朝、バンビ君はこういった。「俺たちが友達でいつづけられるかは、あなた次第かな。俺は大丈夫だけど。」ちなみに彼はこうもいった。「俺は誰とも付き合う気はないよ。」

客観的にみたらただのやばい男だ。そのうちに結婚をと考えている健全な若者なら、距離を置いたほうが良い。大切な女友達がこんな発言をする男にはまっていたら心配してしまう。

私のことで言えば、今は離婚後でまだ次の結婚など考えるには遠く、海外留学を控えている身であり。将来焦ることは間違い無いけど、バンビ君との曖昧な関係を許容できる気持ちではいた。

そんな出来事があった後の経緯を簡単にまとめると、
(興味がある方はマガジンの過去記事もぜひどうぞ!)

1. 私は自分のバンビ君への好意が男女間のそれであると早々に自覚
2. オフィシャルには友達関係を続けつつ、口実を作ってふたりで会い続ける
3. バンビ君の行動が友達のそれというよりは男女間のそれっぽくなる
4. 相変わらずお泊まりしながら会ったり、時には散歩だけしたり

そんなところだ。

デートのパターンに話を戻そう。私のことで言えば、バンビ君との関係が中途半端なことがあり、自分から誘えるデートと、そうでないデートのパターンがあった。

例えば、一緒に走ろう、勉強しよう、お家で映画見よう、は今までもやってきた。平日夜、気になってる映画を映画館で一緒に見よう!もいけるかな。誘うのにちょっと緊張しちゃうけど。

一方で。一緒に横浜に買い物に行こう、鎌倉へ散歩しに行こう、ライブを見に行こう、一泊で旅行に行こう、とかはハードルが高い。

オフィシャルに付き合っていないのに、一緒に過ごす時間のコストが大きくなると(距離がある、時間がかかる、共通の趣味というよりはどちらかの趣味、とか)ふたりでいる時間を正当化できない気持ちになってしまうのだ。『彼女でもない分際でこんなリクエストできないかな…』と尻込みしてしまう。

こんなモヤモヤを抱えていたある日、変化は突然訪れた。

いつものようにお家で映画を一緒に見て、一緒に寝て、朝コーヒーを飲んで、美味しい朝ご飯を求めて外に繰り出す。その日はオリーブと蛤で味付けされた出汁が極上な、あっさりしたラーメンを食べる。

ここまではいつも通り。

ラーメンを啜りながら、お世話になった会社の先輩に贈るプレゼントの話題に花が咲いた。バンビ君は男性用の化粧水や乳液をプレゼントに検討していて、私はその相談に乗ってアドバイスを授ける。

オンラインで良さげなブランドを見つけたのがきっかけで、
「近くにお店あるかな?行ってみよう!」という流れになり。
急遽化粧品ブランドのウィンドウショッピングをすることに。

明るい昼間に、華やかなハイストリートをバンビ君と歩く。普通の家族や、カップルに紛れて。美容ブランドのストアを渡り歩いて、スキンケア商品のフレイバーを試しまくる。とても素敵なヒノキの香りの男性用化粧液を見つけて、贈り物の目処が立つ。

目的達成!と思いきや、その後も真っ昼間デートは終わる気配がない。

私が好きなブランドの洋服店での買い物に付き合ってもらったり、美術館に入って骨董品の美しさに驚愕したり、買うつもりもないテーブルウェアをウィンドウショッピングしたり、割と買う予定もあるスーツケースを携えて鏡に映ってみたり。

『何これ、普通のデートじゃん』

私はそう思う。最後は洒落たカフェのテラス席で抹茶ラテを飲み、その日は解散した。バンビ君は人目を憚らず、重くなった私の荷物を持ってくれた。

さらに後日、バンビ君から唐突な提案がある。「温泉旅行しよう〜!」

「いいね!」と即答するけど、内心思わざるを得ない。『これはまさに私が言いたくても言えなかったことやぞ』と。

今度私たちは旅行に出かける、ふたりきりで。距離も時間もかかるやつ。お互いを想う気持ちや、お互い想いあっているという確信がないとできないやつ。
a.k.a. 普通のデート。

私たちが唯一していないことは、付き合うという約束だ。関係が始まった時のバンビ君の一言があるし、私もこれから海外へ留学に行く身分。そんな状態でバンビ君を縛りたくない。

それでもふたりで過ごす時間が積み重なってきて、私としてはバンビ君を大切に思う気持ちと、『簡単に裏切ったりしない』そんな気持ちに自然となる。もしかしたら形式より、この中身に意味があるんじゃないかしら、そんなことを思う。

こんな関係にどんな名前をつけるかはさておき、こんな気持ちになれる人に出会えたのは間違いなく幸せだ。

いよいよ今月末から私は日本を離れる。バンビ君と想う気持ちや、今のふたりの間にある親密な空気感を、ひどく恋しく想うだろう。キラキラした記憶に温もりを得て、ひとり眠ろうとする自分が今から想像できる。

かなり鮮明に。

***
今日はここまで!拙い文章を読んでくださった皆さま、ありがとうございました。気に入ってもらえたらスキ・シェアしていただけたら嬉しいです!

次回記事も気になる方は、こちらからチェックしてみてね。


この記事が参加している募集

#眠れない夜に

69,099件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?