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バターもジャムもかたまりで

トーストを食べるときは、いつも真剣勝負だ。

限られたこの1枚を、どう構成するか。バターか、ジャムかはちみつか。チョコもいいし、メープルも捨てがたい。そうだクリームチーズもある。とにかく熱々の1枚を前に、私は真剣に考える。

今日はバターといちごジャム。

そう決めたら、バターもジャムも、ぼってりとかたまりのようにのせる。

味が濃いところをがぶりとやって、バターやジャムの味を存分にたのしむ。そうして口の中に余韻があるうちに、今度はなにも塗っていないところをがぶり。そのメリハリを楽しむのがいい。

パンより厚い山盛りのジャム。そんなやりたい放題の大人に、子どもたちには「あぁ、かあか、そんなにたっぷり乗せて!」と言ってくるが、おかまいなしだ。だいたい、子どもたちが端から端までぴっちりと、まるでアスファルトのように平らに塗り込むのと、トータルの量はきっと変わらない。

あまいところ、しょっぱいところ、パンそのものを味わえるところ、全部が混じり合ったところ。緩急を付けながらリズム良く食べていると、いくらでも胃袋に入っていく気がする。

サンドイッチの角っこに具がなくてもいいし、ピザの耳に具がないからとチーズを巻き込まなくてもいい。たい焼きは生地を味わえる尻尾が大好きだし、それを最初に食べるか最後に食べるかを考えるのも好きだ。だから最後に食べた尻尾にあんこが詰まっていると、少しだけ「あ」と思う自分がいる。


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