机と椅子を作ってみた
気に入ったデザインの机と椅子がほしい、しかし引っ越し初期費用は抑えたい。
このわがままと引き換えに、私は手間と時間を差し出すことにした。
1. イメージを固める
家具を作った経験はないが、裁縫や工作で作品を作るのと同じように丁寧に段階を踏めば頭の中を再現出来るに違いない思った。
そのためにはどんなものを作りたいのか、はっきりさせておく必要がある。
一定期間バスケットボールのフリースローを実際に練習した人とイメージトレーニングだけした人の成長率に大差が無い、という実験結果がある。
実際に木材を使って練習することはできないから、とにかく具体的な流れのイメージトレーニングをする。
まずは予算を1万円に設定。
収納やローテーブルも兼ねる柔軟性のあるデスクを目標にした。古いオルガンのような会議室の長机のような見た目がいいな。
そして、浮かんでくる疑問を検索にかけまくる。
検索履歴が
「天板厚み 平均」
「机 椅子 高さ」
「木枠組み方」
「下穴 必要?」
「ネジ 長さ決め方」
「ニス おすすめ 初心者」
とかだらけになった。初心者であるならば、変にこだわらず検索結果や説明書に従うのが無難だ。
少しずつ必要な知識が増え、成功のイメージを掴んだら、胸を張ってホームセンターに入場することができる。
2. 材料を揃える
送料を抑えるために、通販ではなくホームセンターで材料を探した。さらに交通費を抑えるために自転車で向かった。
実際に行ってみると学ぶことが多かった。
まず、木材カットや道具レンタルのサービスがあるという事だ。ワンカット20円、道具レンタル2泊3日200円という具合。
なんだか本当に自分にもできるような気がしてきた。
一方で、案外思い通りにいかないということもわかった。木材は高いものから安いものまである。図案通りに作ろうとすれば有に10,000円を超えてしまう。
ここで私は、予算ではなく図案を変える、という臨機応変な対応をした。安売りされていた パイン材(18mm×180cm×90cm) 4,500円を基準に考え直した。
ホームセンターの便器コーナー(人が少ない)で1時間くらい電卓をたたいた。
店員さんに「やっと決めたのか〜」という顔をされながら2種類の板と角材をカットしてもらった。
水性のニスは取り扱いが少なかったので、ヨドバシカメラのお取り寄せサービスを利用した。
ニスを塗る工程で使う紙やすりと刷毛は100円ショップにて購入。
3.組み立てる
ホームセンターで指定の長さに切ってもらったので問題なく組み立てられた。
椅子とか案外簡単に作れちゃうんだなぁ
垂直を保ってネジを入れるのは少し難しかったけど徐々に上達した。そのため最初に作った木箱と最後に作った木箱で出来栄えの差がひらいてしまった。
4. ニスを塗る
このまま使っちゃおうかな~と思ったが、木肌のチクチクが気になったのでニスを塗った。
均一になっていく感じが気持ちよかった。
作業に没頭していたら、あっという間にかわい子ちゃんたちが出来上がった。
思ったより黄味が強かったので、とっても暇なときにもう少し赤みのある茶色を重ねよう。
「片付けながら」という言葉大好きなんだけどなぁ…
カーテンに付きそうだなって思ってたら案の定…
5.気が済むまで可愛がる
家に帰るたび、キッチンから振り返るたび、「かっわいいな〜」「めちゃめちゃ私好みなんだけど〜」と思う。
こんな使い方もあり。お客さんが来たら向かい合ってご飯を食べたりできる。
荒いヤスリで一生懸命面を取ったかいがあった。ももの後ろが痛くならずとっても快適。
使ってみるとこんな感じ。かわいいな。
どこかぎこちない使い心地は、滑り止めシートを机に挟み、滑るシートを椅子の脚に貼ることで改善された。
おまけ
100円ショップの550円商品にも同じニスを塗ってみた。玄関がまた一歩進化した。
長時間座るとお尻が痛くなるので椅子クッションを探した。しかし、ぴったりサイズのクッションはどこにも売っていなかった。(椅子上でのびのびとあぐらをかきたくて幅広にしてしまったため)
一度既製品のレールから外れてしまうと、そう簡単に戻る事はできないのだ。
幸いにも私は裁縫好きなので、100円ショップのバスタオルと綿で椅子クッションを自作した。バスタオルを使ったことで綿ズレも防げてお尻が落ち着く。
さらに麻のハギレでカバーも作った。
これでもうご飯や絵の具を落としても大丈夫だ。このように小さなものをひとつだけ作る場合はユザワヤなどの専門店よりも100円ショップのほうが丁度いいものと出会えたりする。
余ったハギレでトイレ用の巾着袋を作った。
これで用を足したあとに紙が無い、という状況を恐れることもなくなった。
底15cm×15cmトイレットペーパーくんのためのオーダーメイドだ。
直線手縫いは久しぶりで楽しかった。針と糸ならば検索せずとも思い通りに物を作れる。木工では補助輪付き自転車で地図を見ながら進んでいたのに、、
感想
浪人生として時間を無駄にしたような気がして少し反省している。
手作りというものは、脳内に存在するイメージに会いたくて 仕方なくて、とうとう自ら作り出す。恋心に近いものがある。
既製品を買うよりも手間がかかる。時には出費も増える。しかしそれを凌駕するほどの愛着が生まれる。
今回作った机と椅子を使って食事をしている。勉強もお絵描きもここでしている。
机に向かうたびに幸せを感じられるという点ではこの制作は大成功だったと言えるだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?