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食べることをじっくり楽しめる息子について

ストッケもタオルをかまされるとは思ってもいなかっただろう

息子の離乳食期、誰もが通るであろう「食べない」で悩んだ時期があった。食べないもんは仕方ない、そんなふうには割り切れなかった。小さじ程度の離乳食のために、色んな食材を蒸しては濾して愛情手間暇かけて作ったのだ。母といえ人間だもの、悲しみや怒りに包まれることが多々あった。

そんな中でもただひとつ、徹底していたことがあった。「食事中は立たせない」である。当たり前のことのように思われるけど、生後半年の子どもにはこれがなかなか難しい。しかしこちとら伊達に30年生きていない。物理的に立つことができないよう、まずはハイチェアを用意した。ストッケのトリップトラップのベビーセットに、さらにタオルをかまして簡単には抜け出せないように毎回せっせとセッティングした。

ひとつでいい、できることがあれば母の心を強くする

その甲斐あってか、4歳近くになった今でも外食でも食事中に立ち歩くことはほとんどない。なにかひとつできることがあるという事実は、母の心の栄養にもなってくれた。あの子は歩くのがはやいな、おしゃべりが上手だな。ほかの子と比べても仕方ないが、比べてしまうのが育児のつらいところ。そんなとき「うちの子は上手に座ってごはんが食べられる」と心でわが子を褒めると、雲行き怪しかった気持ちがぱ~っと晴れていく。

気付かぬように減らす、まるで「アハ体験」

今でも食事の時間は何よりも優先するように声掛けしている。食べることは生きること。そして食べることを楽しんでもらいたいと考えているからだ。
苦手なブロッコリーは大好きなピザに見立ててチーズをたっぷり、カリカリに焼いて「ブロッコリーピザ」と名付けて出してみた。その名前に騙されてかよく食いついたので、チーズを徐々に減らしていき今ではブロッコリーを塩でグリルしただけで食べられるように。
はじめは味の濃さで罪悪感にかられるが、この食材は食べられるものなのだと子ども自身が認識すると最終的にはシンプルな味付けで食べてくれる。食べるほうも作るほうもハッピーで win-win な方法が私には合っている。それでも食べないものももちろんたくさんある。それはもう出さない。嫌がって食べていただく必要はございません、と腹をくくっている。

「食育大成功やん」

大人よりも長く椅子に座り、最後までごはんを楽しそうに食べている息子を見て夫が言った。本来意味する「食育」とはちょっと違うかもしれないが、私はこの数年間の努力が認められたような気がして空も飛べるほどにうれしかった。
といっても「はよ食べ!」「お野菜もピッカリ~やで」と口うるさくしている日常は継続中である。まったく完ぺきではない。納豆ご飯、以上。の日も普通にある。でも「うちの子は座ってご飯が食べられる」私はそれだけで充分なのだ。

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