めまいが来るその前に

 ここ数日、調子が悪い。ひとことに『調子が悪い』といっても様々な憶測が飛び交ってしまうだろう。たとえば、仕事において(ぼくは書く仕事をしている)筆が進まないであったり、お題がひらめかない。これもひとつの調子が悪いといえる。趣味ではあるが、小説や短歌がひらめかない、というのも調子が悪いといっても差し支えがないであろう。もしかしたら、twitterで呟いていることがおもしろくなく評判がよくないというのも調子が悪いと言ってもいいかもしれない。別にお笑い芸人ではないのだけれども。

 いくつか書き連ねてみたものの、そのどれでもない。ここ数日間のそれは体調不良に近いものがある。『近いものがある』という少し含みを持たせた表現にしたのは理由がある。熱があったり、寒気がしたり咳き込んだり、喉が痛くなったりといういわゆる風邪、もしくは流行していると噂のインフルエンザの症状は皆無だからだ。長々と色々書いたが、どういう症状が出ているかというと『めまい』だ。原稿に追われてめまいが起こっているのではなく、ほんまもんのめまいである。

 風邪やインフルエンザといったことに起因するめまいであればよかった。いたって、身体は健康にもかかわらずめまいがでるのは危ない、気がする。最初は気のせいかとも思った。寝れば治るだろうと。たしかに治った。がしかし、翌日もめまいが起こる。ただ、この2回は数秒あるいは1分程度で終わり気にしなかった。ちょっと疲れているのかな、くらいなものだ。それが気のせいじゃないとい確信したのは(自身が確信に変わったわけではないが※松坂大輔の名言です)2回目のめまいの翌朝にもその症状が襲ってきたからだ。

 なんとか自力でまっすぐ歩くことはできるが、気を抜くとよろけそうになるほどのめまい。そして吐き気。これは病気かもしれない。メニエール?それともぼくの知らない他のなにか?色々なことが頭をよぎる。考えたところで症状はよくならないし、原因はわからない。google先生に聞いてもしょうがない。頼れるのはインターネットじゃない。

 いつもなら歩く程度の距離にある耳鼻科に電話し、電車に乗っていそいそと向かった。その病院は耳鼻科と内科が併設されており、耳鼻科は女医さんだ。恐らく40歳前後で少し綺麗だ、とここまで憶えているから事態は深刻ではない、はずだ。

 ひととおりの診察、そして点滴を受け処方箋を出してもらい帰宅。そこから薬を飲む日々が始まった。薬を飲み始めて2日ほどだろうか。薬のおかげなのか、治ったのかわからないが、めまいの症状は治まったように見えた。しかし、その病院の診療最終日の前夜にめまい。いつもより激しい、気がした。『明日は、忘年会なんだよなぁ、もってないなぁ』と思ったが、『診療最終日前に症状が出るのは持っている』とすぐに思い直す。思い直した直後に眠りにつき、いつもと同じように朝が来て、先日と同じように少し綺麗な女医さんの診察を受け、正月明けまでの薬を出してもらい帰宅。そして忘年会にも参加。その後、症状は出ていない。

 『めまい』の原因は多々あり、ぼくの場合、何が原因なのか今すぐにはわからない。でも、その症状が頻発している事実は変わらない。だから、最近はいつ症状がでるのかに恐怖感を憶えながら過ごしている、とまではいかないが、仕事は早い時間に終わらせようとか、小説は早めに書こう、とかいりいろ前倒しにしている。そうやって、人は成長していくのだろう。病気であったり症状は悪いことだけじゃない。うまく付き合えば、きっといいことがある。ぼくはそう信じて生きていく。

こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。