大事なもの

ひさびさの街を歩いた。

少しだけおしゃれなそこは、世間ではちょっとおしゃれな街として取り上げられることも多い。ぼくは子どもの時から知っているし、たいした感情はなく「あぁ街がどんどん変わっているなぁ」という印象しか受けない。たしかに便利になっているとは思うけれども。

とはいえ、街が変わっても記憶というものは残っている。昔はこの辺になにがあったとか、あそこで遊んだとか、そういった思い出はちょっとしたきっかけで思い起こされる。

人間の性質なのか、はたまたぼくだけなのかわからないけれども、いろいろな場所で過去の記憶が呼び起こされる。それはトラウマとかそういったものではなく、ほんとにちょっとした記憶である。

とくに優れた能力だとは思わない。でも、なんだか「過去から今へ、そして未来へ」とつながっていることを感じることができるのは素敵なことだ、と思っている。

生きている限りは、過去があり、今があり、そして未来がある。そんなつながりを記憶の中だけでも思い起こすことができるのはちょっと誇らしい。なんでもかんでも写真に撮って、どこだかわからないフォルダーに閉まっておくよりもずっと有意義なものなんじゃないだろうか。

2度と見ることのない写真よりも、何回も呼びも起こされる記憶のほうがずっと大事である。少なくともぼくにとっては。


こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。