頭を縫った日

頭を縫うということ──スポーツ選手のケガなどで聞いたことはあったけど、まさか自分がすることになるとは思いもよらなかった。その原因は試合中のケガなどではもちろんなく、日常での一コマだ。

仕事に向かう途中、小道にある飲食店の看板に頭をぶつけ、いや、ぶつけたのではなく擦ってしまったのだ。その瞬間、目の上に温かい液体のようなものを感じ取った。『あ、血だ』とは呟かなかったけど、ドラマのワンジーンのように血は頭から頬を伝いジーンズへと落ちていった。

持っていたタオルハンカチで傷口と思われる場所を抑え、そのまま進む。現場から徒歩5分くらいの仕事場に行って病院に電話するか、それとも近くにあると思われる病院を探すか少し考えた。ぼくは以前、入院したことがある病院が車で10分くらいのところにあることを思い出し、電話を入れ急患でいくことを伝えタクシーに乗り込んだ。

病院では医療用のホッチキスで頭を縫われ(というのではないらしいけど)ニット帽のようなものを被せられ帰宅。そのまま、原稿を書いて野球へと向かったのだ。そんな激動の1日を年度末の前日に過ごしていた。

病気が治ったかと思えば、ケガをする。ぼくは厄年なのかもしれないな。ちなみに男の厄年は25歳である。

これこそチラシの裏に書いた方がよさそうだ。


こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。